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こぐま会の教育は、3つの考え方によって支えられています
2.「事物教育」の実践

実際にものに働きかけ、試行錯誤して得た情報や思考法は、
しっかりと身につきます

 幼児期の教育方法の基本は、事物に対する働きかけを、どこまで保障してあげられるかということに要約されます。つめ込み主義の教育の一番の誤りは、子どもたちの主体的な働きかけを最大限ひきだすのではなく、どれだけ多くの情報や知識を注入するか、ということに教育全体が集中する点です。こうして形式的な教え込みが、ひんぱんに行われることになります。しかしそのような指導では、論理的な思考力が育つはずはありません。私たちは、指導する内容にあわせ、できる限り具体物を用いた授業を考えています。

「事物を使った学習はやさしくて、ペーパー問題は難しい、だから一刻も早く過去問に取り組みたい…」という方は非常に多いと思います。しかし、ペーパーのみの学習では本物の学力は絶対に身につきません。すべての学力の土台を形成する幼児期に必要なのは、ものに触れ、働きかけることを通して「認識を育てる」教育であり、「試行錯誤する力を育てる」教育なのです。

事物を使った学習が幼児期の教育方法として適している理由の一つとして、「生活や遊びを想起しやすく、子どもの興味関心をひきつけられる」ということが挙げられます。幼児にとって遊びはとても大切で、遊びの中で「楽しく集中」し、また「ものに働きかけることを通して遊びを発展させている」という事実があります。この遊びの役割を、教育方法としてどう活用するか。そのためにはまず、授業は楽しくなくてはなりません。知的好奇心を刺激するような場の設定が必要です。集中しなくては教育効果は上がらないからです。そして事物を用いることの最大の理由は、「教え込まれた知識は時間が経てば忘れてしまうが、実際にものに働きかけ、試行錯誤して得た情報や思考法は、忘れることなくしっかり身についていく」ということです。こうした基礎ができ上がった段階ではじめて、ペーパー教材を使うことに大きな意味が生まれ、また考える力が要求される難問にもチャレンジしていくことができるようになるのです。

実際、事物を用いて入学試験を行う小学校では、ペーパーよりも難しい課題が多く出されています。答えの根拠の説明まで求められる、ということもその難しさのひとつですが、むしろ事物を使って質問されるからこそ、本質的であり、難しいと言えるのです。

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