ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

「意欲を育てる」幼児期の基礎教育

第490号 2015/7/10(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 7月5日の日曜日に、来年以降受験される方を対象に、「幼児期の基礎教育と小学校受験」と題した教育講演会を行いました。年中児(ゆりクラス)のテストが当日開催されたため、それに合わせて行いました。大勢の保護者の皆さまにお集まりいただきましたが、お父さま方の参加が多く、受験に対する関心の高さを痛感しました。9月から、「セブンステップスカリキュラム」による指導が始まりますが、それに先立ち、現在の入試の様子と、幼児期における基礎教育のあり方をお伝えしました。

こぐま会代表セミナー
来年秋に受験される方のために 「幼児期の基礎教育と小学校受験」
幼児期の基礎教育の内容と方法
こぐま会の指導理念
1. 教科前基礎教育
2. 事物教育
3. 対話教育
変わる小学校受験の現状
何を評価しようとしているのか
1. 学力テスト・・・少ないペーパー/考える力がどれだけ身についているか
2. 行動観察・・・小1プロブレム対策/集団活動のレディネス
3. 面接・・・第一志望かどうか
ゆりクラス9月からばらクラス10月までの指導の流れ
学習の順序性を重んじた「セブンステップスカリキュラム」
子どもの成長に合わせた合格カレンダー
1. 基礎(ステップ1~4) : 年中9月~年長4月
2. 応用(ステップ5~6) : 年長5月~年長7月
3. 入試予想問題トレーニング(実践) : 年長8月集中授業
4. 総まとめ(ステップ7) : 年長9~10月
年中夏からの学習の進め方
1. ペーパーをする前にすべきことがたくさんある
2. 生活や遊びは学びの宝庫
3. はじめて学ぶ内容がペーパーからでは、思考力は身につかない
4. 働きかける経験・試行錯誤する時間を保証する
5. 学習計画をしっかり持つ。1年間の成長を信じ、あせらない
6. 母子関係を良好に保つために、母親が怖い先生役を演じない
7. 生活態度と学力は密接につながっている。生活の中で意欲と自立心を育てる

最近の入試の現状につきましては「入試が変わる」と題して、このコラムでも数回書いてきましたが、(第476号第482号第484号第485号第486号第487号)

(1) 入試問題はかなり洗練され、少ないペーパーで子どもの「考える力」を見ようとしている
(2) 繰り返しのトレーニングで解決してしまう「知能検査的な問題」はほとんど出されず、問題の意図をしっかり聞き取り、作業して答えを導き出す問題が増えている
(3) ある学校で出された「新出問題」が他校に波及する速度が速くなった
(4) 行動観察の重要性が増しているが、一方で「型」にはめ込む幼児教室のやり方に、学校側から「好ましくない」旨の批判が出されている
(5) 願書・面接の重要さが増している背景には、合格辞退者を出さないようにとの学校側の判断があり、第1志望校かどうかを見極めようとしている
(6) 「認知能力」だけでなく、「非認知能力」も大事にされ、行動観察でみられる子どもの様子が丁寧にチェックされている。物事に対する取り組み方、特にどれだけ意欲的に取り組むことができるかどうかが詳しく見られている

こうした現状の中で、1年半後に受験する子どもたちが、「これからどのような考え方で対策を進めていけばよいのか」を具体的にお伝えしました。

(1) 受験であろうとなかろうと、幼児期の学習は事物教育を徹底すべきである。特に学習意欲を高める教育は、教え込みの指導やペーパーだけの教育では実現できない
(2) 1年間の指導計画をしっかり持ち、早い段階からペーパーのみの過去問学習におちいらないようにしていただきたい
(3) 「子育ての総決算のための入試」だと考え、机に向かうことだけが入試対策だと考えないこと
(4) 年中から入試に向けての学習を始める場合、年長の4月までに基礎段階の学習を終え、それ以降過去問に取り組むように、学ぶ順序を大切にする

年中9月からはじまる「セブンステップスカリキュラム」を説明した後、事物教育による授業がどのようなものなのかを知っていただくために、私の授業の映像を見ていただきました。小学校受験イコールペーパートレーニングだとお考えの方には、相当びっくりする授業風景だったと思いますが、これからますます重視される「学ぶ意欲を育てる」教育は、子どもたちの成長に見合った「事物教育」しかありえません。

学力試験・行動観察・面接の三本柱で行われている不透明な入試方法が、実は時代の最先端を行く入試であるのではないかと考えると、行動観察の重要性と、その中で何が問われているのかが良くわかるようになってきます。学力だけで合否が決まらない入試の現実をよく考え、「意欲を育てる」幼児期の基礎教育を実行することが、遠回りのようでも一番有効な入試対策であるということがよくわかります。

PAGE TOP