週刊こぐま通信
「代表のコラム」夏休み前の最後の授業です
第900号 2024年7月12日(金)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

昨年11月から始まったばらクラスの授業も順調に進み、今週は「ステップ6」最後の授業です。これをもってすべての単元の学習が終わり、8月末の集中授業から入試直前まで、まとめの授業を挟んで総合問題の演習を行います。ステップ1~4の基礎学習、ステップ5・6の応用学習を終え、残り4カ月足らずの残された時間で総合問題の演習を行い、入試を迎えます。最近の入試問題は洗練され、一つの問題の中に異なった領域の設問が含まれています。そして指示をしっかり聞き、問題の意図を理解したうえで作業して答えを導き出す、そうした問題が増えています。機械的な教え込みで対応できる問題は減り、考える力が求められるようになってきています。その問題の多くが、ステップ5と6で学習した応用課題の中に見られます。
step5 | 領域 | 学習内容 |
---|---|---|
step5-1 | 未測量 | 「逆対応」 ろうそく・飲んだ水の逆対応 / 移しかえと元のコップの対応 / 砂糖水の濃さ |
step5-2 | 位置表象 | 「四方からの観察(2)」四方からの観察(二者) / 反対から見たときの位置関係 / 反対から見たときの写生 |
step5-3 | 数 | 「10の構成、交換」 10の構成 / 方眼を使った数の構成 / 10をテーマとした数の構成 / 一対多対応の応用(交換) |
step5-4 | 図形 | 「展開図、線対称」 立体の作成 / 展開図と立体の対応 / 線対称 |
step5-5 | 言語 | 「言葉あそび、短文づくり」 聞き取り練習 / 反対言葉 / 総合分析のお話づくり / 助詞の理解 |
step5-6 | 生活 他 | 「法則性の理解(2)(推理)」 図形系列 / 観覧車 / 魔法の箱 |
step6 | 領域 | 学習内容 |
---|---|---|
step6-1 | 未測量 | 「重さのつりあい」 シーソーによる三・四・五者関係 / 均衡のくずれ / 重さの一対多対応 / 置き換えをつかったつりあい |
step6-2 | 位置表象 | 「地図上の移動、飛び石移動」 地図上の移動 / すごろく移動 / 飛び石移動 |
step6-3 | 数 | 「数の増減、数のやりとり」 数の増減 / 約束による数の増減 / 数のやりとり |
step6-4 | 図形 | 「重ね図形、回転図形」 2枚重ねの重ね図形 / 上下折りの重ね図形 / 回転図形 |
step6-5 | 言語 | 「話の内容理解、お話づくり」 聞き取り練習 / 話の絵画化 / 絵と話の異同 / お話づくり(一場面、単語) |
step6-6 | 生活 他 | 「社会的常識(常識)」 公衆道徳 / 標識 |
最近の入試問題の難しさを整理すると次のようになります。
- 指示が複雑になっているため、聞く力が求められる
- 知識だけでは解決できず、みずから手を動かし作業して解く問題が多い
- 論理性が求められる問題が増えている
- 生活や遊びの中で経験したことが入試問題作りの根拠になっているため、経験の豊富さが求められる
さて一方で、来年秋の受験に向け、ゆりクラス(年中児)では先週から「セブンステップスカリキュラム」による学習がスタートしました。ステップ1の内容は以下の通りです。
step1 | 領域 | 学習内容 |
---|---|---|
step1-1 | 未測量 | 「大きさ・多さくらべ」 多さの相対化 / 大きさの相対化 |
step1-2 | 位置表象 | 「前後・上下関係」 前後関係の相対化・系列化 / 上下関係の相対化・系列化 / 方眼上の位置の対応 / 位置の記憶(つみ木・方眼) |
step1-3 | 数 | 「計数、同数発見、5と7の構成」 5と7の構成 / おはじきを数える / カードを使った同数発見 |
step1-4 | 図形 | 「基本図形とその構成」 基本図形の理解 / 基本図形の構成 / 基本図形の模写 |
step1-5 | 言語 | 「同頭音・同尾音、しりとり」 一音一文字 / 同頭音・同尾音 / しりとり / 聞き取り練習 |
step1-6 | 生活 他 | 「分類 (1)」 観点を変えた分類 / わたしは誰でしょう |
昨年までは、ゆりクラス9月からステップ1を開始していましたが、すみれクラス・ゆりクラス・ばらクラスの授業の継続性と子どもたちの理解度の現状を踏まえ、7月からのスタートで問題はないと判断し、今年から実行することにしました。その結果、来年の入試直前の総合演習に充てる時間が増え、複雑になった入試問題の対策に十分時間が取れることになります。
すみれ・ゆり・ばらと進む3年間の学習内容が「らせん型カリキュラム」になっており、すみれクラスから3年間通う子どもたちを追跡調査し学力の伸びを見ていると、やはりかけた時間に比例して物事の理解が深まることがわかります。最近、私もすみれクラスの授業に出て子どもたちの物事に取り組む様子を見ていると、3歳児からの幼児教育の可能性をこれまで以上に感じ、この年齢からしっかり始めることの大事さを実感しています。特に事物教育が意味を持つ年齢であると思います。そこで育った子どもたちが、年長クラスで物事にどう取り組み、どう理解していくかを実際に見ると、やはり幼児教育は時間がかかるし、今はやりの「タイパ」の考え方はなじまないことを痛感しています。
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- 飲みかけのジュースから「量」を学ぶ
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