週刊こぐま通信
「室長のコラム」応用段階の学習法
第809号 2022年4月15日(金)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

昨年、ゆりクラス(年中)の9月から始まったセブンステップスカリキュラムによる授業は11月からはばらクラス(年長)につながり、3月末で基礎段階のステップ4までの学習が終了しました。今週からはいよいよ応用段階の学習に入りました。ステップ6までの学習は夏休み前までに終了し、夏から秋にかけては総合実践トレーニングを積みます。そして、9月半ばからのステップ7総まとめの学習を終えて入試本番を迎えます。今週からスタートした応用段階の学習内容は以下のとおりです。
step5 | step6 | |
---|---|---|
未測量 | 逆対応 | 重さのつりあい |
位置表象 | 四方からの観察(2) | 地図上の移動、飛び石移動 |
数 | 10の構成、交換 | 数の増減、数のやりとり |
図形 | 展開図、線対称 | 重ね図形、回転図形 |
言語 | 言葉あそび、短文づくり | 話の内容理解、お話づくり |
生活 他 | 法則性の理解(2)(推理) | 社会的常識(常識) |
入試で出題されるテーマがたくさん並んでいますが、実際の入試問題はさまざまな領域の課題が複合されていますので、これらの学習だけでは不十分です。ここで考え方の基本をしっかり学び、過去問トレーニングによって複合問題を解く力を身につけます。特に「数」「図形」領域が重要です。ステップ4までの基礎学習を踏まえ、自分の力で解く練習をしなければなりません。そこでもし壁にぶつかるようでしたら、ステップ4までの基礎をもう一度復習してください。難しい問題だからこそ、本当に理解しているかどうかがはっきりわかります。応用問題への取り組みによって、弱点が判明することがよくあります。特に「位置表象」領域の「四方からの観察」「地図上の移動」は、ステップ2で学習した「左右関係の理解」が十分身についているかどうかが問われます。こうした事例は他の領域でもたくさんありますので、前に戻るゆとりを持って取り組んでください。
応用段階の勉強法についてよく質問されますので、効果的な学習法をお伝えします。
- 学習は幼稚園や保育園に行く前の朝型に切り替える
- 1回の学習に、実際の入試に合わせて8枚程度のペーパーを用意し、テスト形式で行う。そのためには、取り組むペーパーを事前にしっかり検討して用意しておく。難易度の異なる問題の中で難問は2問程度に抑え、自信を無くさないように配慮する。30分ほどでできるはずなので、答え合わせは別の時間でも構わない。ともかく30分は集中させる。このテスト形式の取り組みが1日に何回できるかは、それぞれの生活スタイルに合わせて行えばよいが、毎日1回は欠かさず行う
- 答え合わせの際に、必ず解き方を説明させる。できていてもできていなくても、それを実行する。自分の力で解ければ、きちんと説明できるはずだが、教え込まれた方法では説明は難しい。間違えた場合、説明していく過程で自分のミスに気付いていくことが多い
- 問題の聞き取りで間違えているかもしれないので、間違えたらどんな問題だったかを説明させる。そうすることによって、聞き取りミスでの間違いか、もともと理解できなくて間違えたのかが判別できる
- 学習は、ペーパーだけではなくカードを使ったり、ゲームをしたり、ごっこ遊びをしたり、手先の練習をしたり・・・、子どもが楽しく取り組みながら、物事の関係性や論理性を身につけられるように工夫する
- 志望校で出された過去問は、必ず入試までに3回はやってみる。しかし過去問にも難易度があるため、どの時期に取り組ませるかはよく考え判断する。5月の連休明けからは、家庭学習でも過去問トレーニングを取り入れる。どこで間違えたのかをしっかり伝え、同じミスを繰り返さないようにする
- 入試では「聞く力」「作業する力」「考える力」が求められているが、「作業する力」が身についていない子が多いので、問題の意図をしっかり理解し、作業して答えを導き出す経験をたくさん持たせる
以上、工夫すべき点をお伝えしましたが、応用段階の学習では相当難しい問題に取り組むことになるため、自信を無くさないようお子さまとのかかわりについては細心の注意を払ってください。ばらクラス生の皆さまは、教室で学んだことの復習として毎日の「こぐま会Webレッスン」を実行するのが効果的です。
- 重版決定!! こぐま会代表 久野泰可 著「子どもが賢くなる75の方法」(幻冬舎)
読み・書き・計算はまだ早い!
家庭でできる教育法を一挙公開
子どもを机に向かわせる前に実際の物に触れ、考えることで差がつく。- 食事の支度を手伝いながら「数」を学ぶ
- 飲みかけのジュースから「量」を学ぶ
- 折り紙で遊びながら「図形」を学ぶ
- 読み聞かせや対話から「言語」を学ぶ