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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

オンライン講演会で皆さまからのご質問にお答えしました

第788号 2021年10月29日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 5月より3回にわたって行った「オンライン講演会」の際にいただいた多くのご質問にお答えする約束を果たすべく、10月23日午前中に「皆さまのご質問にお答えします」と題した講演会を行いました。これまでにいただいた多くのご質問を5つの項目に整理し、可能な限りお答えしました。

【5つのテーマ】
Q1. 「遊び」から「学び」へのつながり
Q2. ペーパー学習について
Q3. 子どもへの声掛けについて
Q4. 子どもの集中力について
Q5. 小学校受験に関して

Q1. 「遊び」から「学び」へのつながり
  • 家でできる「モノを使った学び(体験)」について
  • ペーパー以前の具体物の経験として、具体的に家庭でどのようなことに取り組むべきか
  • ペーパー前の具体物トレーニング、日々の遊びを通しての取り組み方
    特に数の概念や図形などペーパーだけでは難しいものについて
  • 体験、事物学習の具体例、おすすめの内容
  • 年少期の家庭で、普段の生活の中で実践したい学び(受験対策に本格的に入る前の下準備)
  • 年中でペーパーに入る前に必須の教材、ペーパー以外に取り組めるおすすめの教材について
  • 日常生活のなかで取り入れる勉強
  • 具体物教材の上手な使い方について

幼児は、生活や遊びの中でさまざまなことを学んでいます。特に集中して遊ぶ経験を学びにつなげるためには、すぐにペーパーに取り組ませるわけにはいきません。ここでは、こぐま会で実践している「事物教育」の考え方をお伝えし、家庭でできるいろいろな学びを紹介しました。子どもたちにとって、ここまでが遊びでここからが学びだという線引きはありません。楽しければ集中します。そして試行錯誤して考え方を身につけるためにも、事物教育がどれだけ大事かをお伝えしました。

Q2. ペーパー学習について
  • 具体物で分かっていても、ペーパーになるとわからなくなってしまう場合の学習法
  • ペーパーで分からない問題があった場合の対応
    すぐに答えを教えるべきか、時間をおいてもう一度行うか
  • 年長で慌てないために、年中の間に一通りペーパーを終わらせた方がよいか
  • ペーパーを年少段階で始めるにあたって、気を付けること
  • 限られた時間の中でいろいろな問題に対応できるようになるには、どのような対策にしたらよいか

ここでは、ペーパー学習が先行した学びではなぜ駄目なのかをお話ししました。最近の入試で求められているものは訓練で身につくものではなく、自ら獲得した「考える力」です。試行錯誤して身につけた力こそ、応用できる力、転移する学力になることを説明しました。

Q3. 子どもへの声掛けについて
  • 間違ってしまった際の上手な声掛けの仕方
  • 子どもが理解していない時、どこまでヒントを出すのがよいか
  • 子ども自らの言葉で発言するように促す具体的な問いかけがあれば知りたい
  • 間違うことを恐れてしまったり、失敗を自発的に改善していくための環境づくりについて
  • 子どものやる気を出すためには、どのような声掛けをすればよいか
  • 話を正確にしっかり聞いて、理解、復唱できるようになるにはどのような活動が効果的か
  • 考える力、対話力を養うためどのようなことを心がけて接すればよいか
  • 対話教育を家庭で行うための実践法・語彙の増やし方

ここでは、こぐま会で実践している「対話教育」の重要性を説明し、教師と子ども、子ども同士のやり取りの中から、言語の力で論理を育てることの大切さをお伝えしました。

Q4. 子どもの集中力について
  • 年少時期、子どもの集中力が長く続かない場合、遊びを挟みながら勉強させても問題ないか
  • 4歳児の家庭での集中力を持たせる勉強方法
  • 5歳児の家庭教育における集中力は、どれくらいの時間を持続するのが一般的か
  • 日常での取り組みや子どものモチベーションの上げ方、継続の仕方など(2~3歳児)
  • 集中力のつけ方

子どもは楽しければ集中します。その点ははっきりしています。そのためには、学びの方法をしっかり持たなければなりません。ここでは、私たちが実践している「3段階学習法」についてご紹介し、詳しくお伝えしました。

【3段階学習法】
1. 身体全体を使う活動
2. 手を使い、事物に働きかける経験を大事にする個別学習
3. 認識を定着し、発展させるペーパートレーニング

こぐま会ではこの方法を用いて、1つのテーマの学習を1回1時間半の授業で行います。一般的には、年長児でも一つのことに集中できる時間は20~30分程度ですが、目先を変え、学ぶ楽しさを伝えながら進めれば、子どもたちは1時間半でも2時間でも集中して取り組むことができます。

Q5. 小学校受験に関して
  • 受験する小学校選びの考え方、ポイントについて
  • 学校別対策はいつからスタートすべきか
  • 早生まれの小学校受験は不利なのか
  • 年中児の学びにおいて最も大切なこと、重視すべき点(年長児との違い)
  • 小学校受験をすることによってどの程度子どもにストレスがかかるのか。不自然な学びではなく、健全な学びにつなげるためにはどうしたらよいか
  • 幼児全体として、認識、把握していく力を養う一方で、本人の特質、気質、個性をどう捉えて伸ばしていけばよいか
  • 受験対策は、子どもの能力を伸ばすというより、受験で評価される型にはめるようなイメージだが、受験対策と能力開発は両立するのか

小学校受験に関するご質問が一番多かったようです。ここでは、受験において合否を分けるいくつかのポイントをお伝えし、また、小学校受験の光と影の部分を具体的にお話しさせていただきました。そして、いつも主張していることですが、小学校受験は特別な教育、訓練する教育ではなく、幼児期に大事な基礎教育によって将来の学びの基礎を築き、そのうえで受験に臨んでいただきたい・・・ということをお願いしました。

今回の講演会も含め、大変大勢の皆さまにこぐま会の教育について関心をお寄せいただき、いろいろなお問い合わせもいただいております。今後、定期的にオンラインで幼児教育の在り方についての講演会を開催していくつもりです。ホームページにて事前に告知いたしますので、ぜひご参加ください。テーマとしては、次のようなものを考えています。

  1. 幼児の数概念をどう育てるか
  2. 幼児期の空間認識(位置表象)を育てるために
  3. 図形のセンスをどう磨くか
  4. 「聞く・話す」力をどう高めるか
  5. 論理を育てる「未測量」の学習
  6. 法則性の発見は論理を育てるいい機会
  7. 小学校入試で求められる「考える力」とは
  8. 入試で出題される難問の背景
  9. 女子校合格のために
  10. 行動観察では何が評価されているのか
  11. 遠山啓氏の訴えた原教科とは
  12. ピアジェの理論から学ぶこと

皆さまからもたくさんのテーマをいただいておりますので、それも参考にしながら、子育て、受験対策に役立つお話をお伝えできれば・・・と考えています。

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読み・書き・計算はまだ早い!

家庭でできる教育法を一挙公開
子どもを机に向かわせる前に実際の物に触れ、考えることで差がつく。
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