週刊こぐま通信
「室長のコラム」合格カレンダー連続講座10回を終えて
第235号 2010/3/5(Fri)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

11月から行ってきた「合格カレンダー連続講座」も2月23日の「図形に強くなる学習法」を終え、これで10回の講座を終了したことになります。毎回50名を超す保護者の方々が参加され、回を追うごとに参加者が増えています。この様子についてはこのコラムでも2回ほど報告しましたが(第226号・第232号)、10回を終えた今、あらためて受験生の保護者の皆さまが正確な情報・正しい学習法を求めていることがわかります。特に参加希望の多かった講座は、第6回目の「第一志望校と併願校をどう組み合わせ学習するか」と第9回目の「父親のための小学校受験入門講座」でした。この2つの講座は次のような内容で行いました。
- 「第6回 第一志望校と併願校をどう組み合わせ、学習するか」
- 2010年度に見る、組み合わせパターンと学習法
- 2010年度入試で実際に併願が可能だった学校の組み合わせ例
- 雙葉小学校が第1志望の場合の組み合わせおよび学習法
- 聖心女子学院初等科が第1志望の場合の組み合わせおよび学習法
- 東京女学館小学校が第1志望の場合の組み合わせおよび学習法
- 白百合学園小学校等が第1志望の場合の組み合わせおよび学習法
- 併願校として受験する場合の学習面での工夫
(ア)東京女学館小学校を併願する場合
(イ)光塩女子学院初等科を併願する場合
(ウ)立教女学院小学校を併願する場合
- 「第9回 父親のための小学校受験入門講座」
- なぜ父親の参加が必要なのか
- 小学校入試の現状と問題点
A)入試の現状
B)情報が公開されない入試
C)教科書のない入試 - 入試問題の変遷と現在の出題内容の特徴
A)入試問題はどのように変遷してきたか
B)現在の入試の特徴
C)どのような考え方で対策を取ればよいのか - 合否判定に絡む諸問題
A)実力主義だが学力主義でない入試
B)関係者有利といわれる実態とそれについての考え方
C)補欠合格者の出し方とその動き - 間違った受験対策に陥らない10のアドバイス
- 合格を勝ち取るために、なぜ父親の参加が必要なのか
- 父親サークル「土曜ゼミ」の実施について
- 小学校入試の現状と問題点
第6回目の併願校については、神奈川の学校から始まって国立入試まで、どのように併願が可能かを昨年度の実例に基づいてお話ししました。こうしたデータが受験生には必要なのでしょう。受験番号の付け方が受付順であったり、50音順であったり、生年月日順であったりいろいろあるため、1日の内に数校の受験が可能なのです。過去には1日に3校受験された方もいらっしゃいました。こうしたデータを示して、併願する学校の組み合わせを考えておくことは大事です。それは、家庭での学習法に大きく影響するからです。
また、第9回目の「父親のための小学校受験入門講座」は、情報が少ない父親がいかに多いか、また正確でない情報をたくさん持っている父親がいかに多いかを知るきっかけにもなりました。特に学校選択との兼ね合いで合否判定の方法についての具体的な話には関心をもたれたようでした。情報量に差があるままでは家庭の方針が食い違うことが多いため、正しい情報をしっかりつかみ、共通な土台の上で「小学校入試」を受け止めていただきたいと思います。
回を重ねるごとに一般の方々の参加が増え、最近では3~4割の方が外部生です。こぐま会にはいろいろな組織(テスト会員・書店会員等)がありますので、そうした組織に参加されている方が多いようですが、どこの塾にも通わず、家庭でこぐま会の教材で勉強している方が正確な情報を求めて参加されているケースも多いようです。最近は小学校の校長や教頭を招いて、講演会を行い、塾の宣伝や生徒集めをする方法が日常化していますが、そもそも情報を公開してこなかった小学校入試において、学校側の人間が入試にかかわる情報を流すはずはありません。また、学校側の関係者に受験を目指す子どもたちの様子などわかるはずはありません。現場で受験指導に携わっている指導者が、正しい情報を受験生に伝える義務があるはずです。
以前、ある教育評論家の方に、私に「なぜこぐま会は貴重な情報を公開するのか。そもそも小学校受験塾は情報を隠すことによって成り立っているのではないか。」と問われたことがありました。その時私は次のように答えたことを覚えています。「確かに、情報を隠すことによってその情報を必要とする人間が塾に集まるのは当然。しかし、小学校入試において一番の問題は情報が公開されていないこと。その結果、間違った情報や業者サイドの意図的な情報によって、右往左往する保護者が大勢いる。正確な情報を持っていただき、冷静に幼児期における正しい基礎教育を実践していただきたい。それが合格への近道であるし、間違った受験対策から子どもを守ることにもなる。そのためには、なんとしてでも保護者に正確な情報を提供したいし、また、幼児教室にはその義務がある。」こうした考えに基づいて、入試分析セミナーや資料集の発行等を手掛けてきました。今もその考えに変わりはありません。
正確な入試情報と正しい学習法を伝えるために、今後も「合格カレンダー連続講座」は続けていきます。3月~4月に行うセミナーの内容は別掲の通りですが、これからは、学校情報よりも家庭学習の指導法について具体的にお伝えする機会が増えると思います。実際に子どもの指導にあたっている者だからこそわかる視点で、正しい入試対策法をお伝えしたいと思います。