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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

幼児の教科書作りをめざして

第236号 2010/3/12(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 1987年7月に「ひとりでとっくん」シリーズ5冊を同時発行して以来、すでに20年以上たちました。この間、何度も修正しながら100冊のシリーズものとして発行し、多くの皆さま方に使っていただいております。単元別にした問題集は、この「ひとりでとっくん」シリーズが最初だったと記憶しています。今では小学生の問題集にもこの手法が取り入れられ、学年でくくった問題集だけでなく、単元別の問題集が流行っています。

つい先日、ある大手書店の学参売場に足を運びました。類似した問題集がたくさん発行されていることに驚きました。どんな業界でも、ヒット商品が出ればみな真似をして類似品を出す世の中ですから、さほど驚くことではないのかもしれません。ただ以前から私たちの作った「ひとりでとっくん100冊」の問題集を集め、分解し、体裁よくネーミングを変え再編集した問題集がでているという噂話を聞いていました。実際にその商品を手にしてみると、この国の知的財産はどう守られているのかという疑問と、長い時間と費用をかけて作り出してきた商品の作り手として怒りがこみあげてきました。私が20年以上もかけ、現場で実践したことを幼児の発達に合わせ、時間をかけて一つ一つ作り上げてきた商品を、たったの1~2年で体裁を変え作りなおすといった行為は、到底許されるものではありません。商品作りの拠って立つ基盤が教育現場ではなく、他社の製品であるなら、コピー商品といっても過言ではありません。私たちもこうしたことが予想できたため、「ひとりでとっくんシリーズ」の内容に関する商標登録を出願しましたが、結局認められませんでした。こぐま会の問題集は隣国の中国や韓国でも出版していますが、すぐにコピーされてしまうことを防ぐために、出版に際していろいろな工夫をしています。日本では全くそのままコピーした商品はさすがに出ませんが、しかし、それ以上に巧妙に細工をして、知的財産を侵害する者が大勢いる国であり、その意味でお隣の国より悪質だと思います。「真似されて一人前」と慰めてくれる人たちもいます。教育理念とオリジナル性を持っていれば、どんなに真似されても生き残っていくと確信しています。真似て作ったものは偽物であり、子どもへの想い、オリジナルな商品への想いなど、ひとかけらもありませんし、きっと人々の心を打つことはないでしょう。真似されたらまた新しい発想で作りなおす。それだけのことです。

指導経験を活かした独自の商品作りを今後も継続し、多くの皆さま方に正しい基礎教育の在り方をお伝えしていきたいと思います。「幼保一元化」や「幼小一貫教育」が再び注目され始めています。今後、「何をどう学ぶのか」という具体的な教育の内容や方法が議論されていくでしょう。その際に私たちの経験が少しでも活かされれば・・・という想いで、新しい発想による「幼児の教科書作り」に着手しています。また、唯一「教科書がない受験」である小学校入試の対策用に「ひとりでとっくん365日」が多くの受験生に使われています。ひとつの単元の教材が、毎年2,500部~3,000部以上印刷されても不足している状況ですし、多くの学校の入試問題を見ると、明らかにこのシリーズから採用したと思われる問題が多数見受けられます。その意味で「ひとりでとっくん365日」はすでに小学校受験の教科書になっているといっても過言ではありませんが、今準備しているものは、こぐま会30年の集大成として世に問う新しい幼児向けの教科書になるはずです。どうぞご期待ください。

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