週刊こぐま通信
「室長のコラム」合格カレンダー父親講座を終えて
第232号 2010/2/12(Fri)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

木曜日に開催している「ひまわり会合格カレンダー連続講座」第9回は、父親を対象に小学校受験の現状と正しい家庭学習のあり方をお伝えしました。普段のセミナーには仕事の関係で参加できないお父さん方のために、祝日である2月11日に行いました。定員を超える大勢の皆さまの参加希望をいただきながら、設備の関係で60名しか受け入れることができず申し訳なく思っておりますが、後日DVDでその時の話を聞いていただこうと考えています。父親を対象としたセミナーはこれまでいろいろな形で行ってきましたが、ともかく入試情報が入りにくいお父さん方にも正確な入試情報をお伝えし、ご両親が同じ土俵の上で家庭の方針を決めていただかないといけないと考えています。面談をしていていつも気になるのは、情報過多のお母さんと情報をほとんど持っていないお父さんとが学校選択や学習の仕方で意見が食い違うことが多いことでした。正確な情報を共有すれば問題解決の糸口になるのではと考え、今後も父親対象のセミナーを実施していく予定です。
さてセミナーでは、2010年度の入試結果から何が見えてくるかをさまざまなデータを使って説明し、小学校受験における父親の役割をお伝えしました。当日話した内容は以下のようなものです。
- 第9回ひまわり会連続講座
「父親のための小学校受験講座 なぜ父親の参加が必要なのか」 -
1. 小学校入試の現状と問題点
(A) 入試の現状2. 入試問題の変遷と現在の出題内容の特徴
(B) 情報が公開されない入試
(C) 教科書のない入試
(A) 入試問題はどのように変遷してきたか3. 合否判定に絡む諸問題
(B) 現在の入試の特徴
(C) どのような考え方で対策を取ればよいのか
(A) 実力主義だが学力主義ではない入試4. 間違った受験対策に陥らない10のアドバイス
(B) 関係者有利といわれる実態とそれについての考え方
(C) 補欠合格者の出し方とその動き
5. 合格を勝ち取るために、なぜ父親の参加が必要なのか
(A) 子どもとの関係において6. 父親サークル「土曜ゼミ」の実施について
(B) 母親のサポート役として
出題された問題を具体的に分析し、入試において学校側がどんな能力を求めているかをお伝えしたり、また、学校選択の際の参考にしていただこうと、合否判定の実際について、補欠合格等の動きなどを紹介しながら学校別にお話ししました。小学校入試が中学校入試や高校入試とどんな点で違うのかも具体的にお伝えしました。最近では父親主導で小学校入試に臨むご家庭も増えています。特に女子の場合、父親の考え方が前面に出るケースが増えています。しかし、小学校入試の現状を正確に知らぬまま学校選びや学習対策を取ることによって、大きなミスが生じていることも事実です。父親はご自身の教育体験だけで物事を判断する傾向が強く、特殊な小学校入試の現状を踏まえた対策になっていない場合が多いのです。また、最近は父親がよく読む経済誌などに「お受験」が取り上げられることも多く、以前よりは小学校入試に関する基本情報は伝わっているように思いますが、偏った情報で学校選択や家庭学習の方法を決めてしまうと、合格を勝ち取ることはできません。噂話の域を出ない情報ではなく、データに基づいた正確な情報で入試の実態を把握しておかないと、あとで後悔することにもなりかねません。
私がこの講座で訴えたかったことは
(1) | データに基づいた正確な入試情報を持つこと |
(2) | 学校選択は将来の大学受験のことだけを考えて決めないこと |
(3) | 学力だけ高めれば合格できるという考え方を捨てること |
(4) | なぜ小学校受験をさせるのかの、家庭の方針をしっかり持つこと |
(5) | 入試のためだけの学習ではなく、将来の学習活動の基礎づくりとして、まともな幼児教育の実践の中で小学校入試もとらえること |
(6) | ペーパー学習を先行させた入試対策でなく、事物教育を徹底し基礎学力をしっかり身につけること |
(7) | 必ず答えの根拠を説明させ、「考える力」を育てる学習を徹底すること |
(8) | 子育ての現場に父親自ら身を置くこと |
(9) | 母親と父親の役割分担をしっかりしておくこと |
(10) | 良好な母子関係を築くために、母親の精神的なサポートを父親が担うこと |
などです。こぐま会では、これから父親のための学習サークルとして「土曜ゼミ」を年4~5回開講する予定です。両親が情報を共有し、その情報のもとで冷静な判断をされることが合格につながる大事な条件であることは、多くの事例で見てきました。噂話で足元をすくわれがちな母親を父親がサポートすることによって、良好な母子関係を保つことができ、子どもが自信を失わずに前に進むことができると思います。その意味で、小学校入試は家族一丸となって取り組む課題です。