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週刊こぐま通信
「代表のコラム」

数の内面化のために指は使わないように

第885号 2024年2月16日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 昨年秋に受験を終え、4月から小学校に入学する子どもたちの就学準備クラスが1月から始まり、現在6回ほど授業が終了しました。そのカリキュラムをご覧ください。

第1回たし算・ひき算って何?
第2回たし算・ひき算の計算法
第3回隠れた数を探せ(魔法の箱を数式で)
第4回かけ算って何?
第5回わり算って何?
第6回かけ算の答えはどう出すの?
第7回文章題に強くなる(1)  立式練習
第8回図形課題(三角形の分割・線対称・展開図)・時計
第9回文章題に強くなる(2) 数式を見てお話をつくる
第10回総まとめ

私が担当する算数は、これまでばらクラスで学習してきたことを前提に、小学校低学年で学ぶ四則演算につながる内容を中心に授業を進めています。小1で学ぶたし算・ひき算だけでなく、小2のかけ算、小3のわり算の考え方も指導しています。計算ができる―できないという前に、それぞれの計算の考え方を、これまでばらクラスで学んできた内容につなげて指導しています。
かけ算の考え方の基礎は「一対多対応」、わり算の考え方の基礎は「等分除」と「包含除」と、すでにばらクラスで学んでいることです。決して早く学ぶことに意味を置くのではなく、これまで学習してきた内容ですから、それにつなげて指導するというものです。計算の練習は、たし算・ひき算だけでなく一部のかけ算まで(2の段・5の段)学びますが、その内容が子どもたちにとって負担になることはありません。長年の実践で実証済みです。
ところが、計算のスピードとなると、ここには大きな差が生じます。24問あるたし算の計算の場合、1分以内でできる子もいれば、2分かけても終わらない子もいます。その様子を観察していると、時間のかかる子のほとんどが指を使って答えを導き出そうとしているのです。特にひき算に時間がかかります。指を使って答えを出すやり方については賛否両論あると思いますが、私は数の内面化(頭でイメージし、暗算できる力)を促進するためには、指を使うことはよくないと考えています。ですからその代わりに、まずおはじき等の具体物を使って数の操作を繰り返し練習し、理解できるようになったら、そのおはじきを取り去って同じような問題をやると、頭の中で操作し、暗算できるようになるのです。「使えるものは何でも使う」・・・これは受験対策としてよくやる方法ですが、それではいつになっても数が抽象化されず、頭の中で数の操作ができなくなってしまいます。指もおはじきも同じではないかとよく言われますが、全く違うのは、おはじきは取り去ればなくなりますが、指は「使ってはいけない」といっても身体の一部ですから、どうしても頼ってしまいます。
数字は極めて抽象的なものですから、遠山啓氏はイメージ化しやすいようにタイルを使った「水道方式」を開発しましたが、おはじきの代わりに「タイル」(正方形)を使った学習も有効です。数の大きさが量の多さとして表現されますから、イメージ化しやすいと思います。
これまで3年生まで指導してきましたが、2年生になっても指を使う子はいますし、計算がとても追いつかず、算数嫌いになってしまう場合も少なくありません。そうした将来の学びを考えると、幼児期のうちに指から離れて数の操作ができるようにしておくことは大事です。また、抽象的な数字の世界に足を踏み入れる前に、生活に即した「数体験」をたくさん持つことが大事です。最初から指を使わない学習を実践してください。最後に、授業で実際に使用しているペーパー教材をご紹介します。



読み・書き・計算はまだ早い!

 こぐま会代表 久野泰可 著「子どもが賢くなる75の方法」(幻冬舎)

家庭でできる教育法を一挙公開
子どもを机に向かわせる前に実際の物に触れ、考えることで差がつく。
  • 食事の支度を手伝いながら「数」を学ぶ
  • 飲みかけのジュースから「量」を学ぶ
  • 折り紙で遊びながら「図形」を学ぶ
  • 読み聞かせや対話から「言語」を学ぶ

 KUNOメソッド こどもがかしこくなる絵カード(幻冬舎)

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