ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「室長のコラム」

ステップ2の学習が終了しました

第749号 2020年12月11日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 10月末から始まった「ステップ2」の学習は12月5日で終了し、その後2回ほどトレーニングの授業を行いました。今年行われた2021年度の入試を見ると、ステップ2で学習した関連問題も数多く出されています。基本が重視される傾向になってきた証拠です。ステップ2の授業内容に関しては746号(「ステップ2の学習に入りました」)で紹介しましたが、実際の授業を行った結果、いったいどこで子どもたちは躓いているのかをお伝えしますので、家庭学習の参考にしてください。また、ステップ2の学習内容に関する入試問題も少し紹介したいと思います。

1. 未測量:「重さくらべ」
シーソーによる三者関係については、ほとんど問題なく理解していましたが、四者関係になると結構間違いが目立ちます。三者関係が分かれば、すぐに四者関係も分かるというほど単純ではありません。実際に調べる経験をペーパー学習にどう生かすかがポイントになります。
2. 位置表象:「左右関係の理解」
自分の右手・左手の理解から始まって、自分以外の人の右・左が理解できるかどうかがポイントです。状況によってはまだまだ混乱が見られます。右手・左手そのものが入試問題になることもありますが、左右関係の理解は、今後学習する「方眼上の位置・移動」「四方からの観察」「地図上の移動」など大事な課題にすべて絡んできますので、今しっかり身につけておいてください。
3. 数:「一対一対応」
数の操作の基本となる「数の比較」です。「どちらがいくつ多いか(少ないか)」「違いはいくつか」などは、数の総合問題でよく問われます。線結びの方法をはじめ、作業の仕方もしっかり身につけてください。また、ある数を基本に「~より~個多い数(少ない数)」が分かるかどうかも大事です。具体物を使った経験を活かし、今後暗算で数の違いが分かるように練習してください。絶対に指は使わないよう徹底してください。
4. 図形:「立体構成」
立体図形が入試で出される場合、つみ木に関する問題がほとんどです。かつては、「積んであるつみ木の数はいくつか」を問う問題がよく出されましたが、現在では、「積んであるつみ木のうちどのつみ木をどこに動かせば形が変えられるか」を問う問題が多くみられます。「全体と部分の関係」をよく観察させる問題といえます。その練習のためには、子どもたちにも人気のある「山手線ゲーム」がとても有効です。1個ずつつみ木を動かし形を変形させていくゲームです。また、触策だけでものの特徴をつかむ「秘密袋」も大事な課題です。特に触った形を描く課題では、出来具合に相当の差が見られます。触った立体を紙に描く練習をたくさんしてください。
5. 言語:「短文づくり、動きを表す言葉」
動詞の理解に関する課題です。具体的には、「お話づくり」で適切な動詞が使えるかどうかですが、そのお話づくりの前提として4枚の絵カードを時系列に並べる練習をしました。最近では、必ずしも4枚の絵カードではありませんが、絵を見て順序が分かるかどうかはとても大事です。動詞の理解は、入試ではよく「同音異義語」として問われるケースがあります。生活の中で、適切な言葉遣いを練習してください。
6. 生活 他:「理科的常識」
2021年度入試でも、理科的常識問題はよく出されています。知識としてしっかり定着させておかないと、今わかっていても実際の試験の時には忘れてしまっているということもあります。しっかり定着させるためには、手を使い、体を使って経験させることが大事です。図鑑を持ち出して知識として教え込んでも、実際の場では使えないことが多いということを知っておいてください。今回は、「音の理解」「鏡映像」「季節の花」などについて学びましたが、中でも鏡映像の問題は理解度に差が出ました。ぜひ、毎日の生活の中で鏡への映り方について体験させてください。音の問題は、自然界の音に対する理解がとても難しかったようです。

ところで、こぐま通信746号でこのステップ2に関係する入試問題の傾向をお伝えしました。それは以下の通りです。
  1. シーソーによる四者関係
  2. 他人の右手-左手の理解
  3. 交差点の曲がり方
  4. 数の多少(違いはいくつ?)
  5. つみ木による立体構成
  6. 鏡への映り方
それも含め、ステップ2に関連する実際の入試問題をいくつかご紹介しましょう。

1. 重さくらべ(シーソー・バネばかり)
  • シーソーとバネばかりを使っていろいろな重さをくらべました。お部屋の中で一番重いものにをつけてください。

この問題は、シーソーとばねばかりを使った問題です。シーソーの方は四者・五者関係まで出ています。入試では三者関係はほとんど出ませんが、関係推理の基礎ですからしっかりやっておく必要があります。

2. 右手・左手
  • 右手に白い風船を持っているウサギにをつけてください。
  • 左手に白い風船を持っているネズミに◎をつけてください。
  • 右手に色のついた風船を持っているクマに×をつけてください。

他人の右手・左手の問題ですが、「誰が」「どちらの手に」「何色の」風船を持っているかが問われますので、聞き取り問題としても大事です。

3. 数の多少
  • 上のお部屋を見てください。ウサギさんとキリンさんがドングリを拾いに行きました。ドングリの数の違いが2個のお部屋の上にをかいてください。
  • 真ん中のお部屋を見てください。ライオンさんがキリンさんより3個多く拾ったお部屋の上にをかいてください。
  • 下のお部屋を見てください。キツネさんの持っているドングリが、リスさんよりも2個少なくて、タヌキさんより1個多いお部屋の上にをかいてください。

「違いがいくつか」「~より~個多い」「~より~個少なくて~より~個多い」といった課題が問われています。

4. つみ木の移動
  • 上のお部屋のつみ木から、2個動かしてできる形を下から探して、をつけてください。

元の形から2個動かした形を探す問題ですが、2個動かすとかなり形が変化しますので、子どもにとっては難しいです。逆に2個戻したら元の形に戻るという発想も大事です。

5. 動詞の理解
  • この絵の中で「つむ」と言うものにをつけてください。
  • この絵の中で「つまずく」と言うものにをつけてください。
  • この絵の中で「つまむ」と言うものに×をつけてください。

同じ言い方をして意味の違う動詞を探す問題です。「積む」の答えが3つありますので、発見できるかどうか試してみてください。また、違う絵はどんな言葉で表現できるのか、やってみてください。

6. 音の理解
※「除夜の鐘の音」「スズムシの鳴き声」「カラスの鳴き声」「雨の音」の音源を準備してください。 「除夜の鐘の音」「スズムシの鳴き声」「カラスの鳴き声」「雨の音」の音を流したあとに
  • 今聴いたのは何の音ですか。をつけてください。
※「ブタの鳴き声」「包丁でものを切る音」「雷の音」「風鈴の音」の音源を準備してください。 「ブタの鳴き声」「包丁でものを切る音」「雷の音」「風鈴の音」の音を流したあとに
  • 今聴いたのは何の音ですか。をつけてください。

「音の理解」が入試で出されるのは珍しいのですが、こうした問題も今後出される可能性はあります。スズムシ、カラスはおそらく分かると思いますが、「除夜の鐘」「雨の音」が分かるかどうかがポイントです。わたしたちの経験でも、生活音は分かっても自然の音の判別が難しいようです。経験がなければ当然ですが、水に関していえば、「雨の音」「滝の音」「川の流れの音」「波の音」の判別が大変です。ぜひ、自然の音に耳を澄まして聞く経験を持たせてください。

7. 断面図
  • それぞれのお部屋の左上に、果物の切り口の絵があります。これはどのように切ったものでしょうか。3つの切り方から選んでお部屋にをかいてください。

果物を切った断面図の問題です。縦か横に切る問題が一般的ですが、斜めも入っているところがこの問題の特徴です。普段切る切り方ではありませんが、どんな断面になるか一度経験してください。
以上、ステップ2の学習がどのような形で入試に出題されるかを紹介しましたが、ばらクラスで扱う基本問題が少し形を変えて出されているのが実情です。難しい過去問だけに取り組ませず、基本問題をしっかり練習し、4月以降の過去問トレーニングに備えてください。

PAGE TOP