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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

ステップ1の学習が終了しました

第742号 2020年10月23日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 すでに神奈川県の学校では試験が終わり、合格発表もありました。今年の入試は予想した通りペーパー問題では基本問題が多く、また行動観察を中止した学校もありました。学校側もWithコロナの時代に合わせて相当工夫した入試を行っているように思います。

こぐま会のゆりクラス(年中児)では、9月から始まったステップ1の学習が終了し、10月25日には第1回ステップ別発達診断テストが実施されます。10月27日からはステップ2の授業が始まり、入試期間をはさんで本格的なばらクラスの授業となります。週1回の日常授業の学びを効果的に身につけてもらうために、これまでも家庭用教材の充実に力を入れ、教室と家庭が同じ方法で子どもたちの「考える力」の向上に努めてきました。今年は家庭用補助教材として「こぐま会Webレッスン」の配信を始めており、これまでのペーパー学習だけでなく、事物を使った家庭学習によって効果的な学びができる環境が整ってきました。これまでにステップ1に関する16単元の配信が終了し、現在ステップ2の撮影に取り掛かっています。日常授業で行うステップ学習に即したテーマ学習になっていますが、その関係がどうなっているか、ステップ1の学習に即して詳しくお伝えします。週1回行ってきたステップ1では、以下のような学習を行いました。

【ステップ1の学習内容】

領域単元学習内容
step1-1未測量大きさ・多さくらべ
  • 多さの相対化
  • 大きさの相対化
step1-2位置表象上下・前後関係
  • 前後関係の相対化・系列化
  • 上下関係の相対化・系列化
  • 方眼上の位置の対応
  • 位置の記憶(つみ木・方眼)
step1-3計数、同数発見、5の構成
  • 買いものごっこ(命令行動)
  • 5の構成
  • おはじきを数える
  • カードを使った同数発見
step1-4図形基本図形とその構成
  • 基本図形の理解
  • 基本図形の模写
  • 基本図形の構成
step1-5言語一音一文字、しりとり
  • 一音一文字
  • 同頭音・同尾音
  • しりとり
  • 聞き取り練習
step1-6生活 他分類1(仲間あつめ)
  • 観点を変えた分類
  • わたしは誰でしょう

この学習に即して配信したステップ1の「Webレッスン」は、以下のとおり16単元で構成されています。

【ステップ1の「Webレッスン」学習内容】

領域単元学習内容
未測量1多さくらべ
  • ジュースの量を比べる時は、同じ形のコップに移して比較する
  • 同じ形のコップに入ったジュースの量を比較して、多い順に並べる
  • ~番目に多い(少ない)コップはどれか?
  • ~より多い(少ない)コップはどれか?
2大きさくらべ
  • 大きさの違う7個の箱を積み上げる
  • ~番目に大きい(小さい)箱はどれか?
  • ~より大きい(小さい)箱はどれか?
位置表象3前後関係
  • ~は前(後ろ)から何番目にいるか?
  • 前(後ろ)から~番目にいるのは誰か?
  • ~より前(後ろ)にいるのは誰か?
  • ~より前で、~より後ろにいるのは誰か?
4上下関係
  • ~は上(下)から何番目にあるか?
  • 上(下)から~番目にあるのはどれか?
  • ~より上(下)にあるのはどれか?
  • ~より上で、~より下にあるのはどれか?
5位置の対応と記憶
  • 方眼上に描かれた模様の見本を見ながら、同じ模様を作る。
  • 方眼上に描かれた模様の位置を記憶して、同じ模様を作る。
65の構成
  • 5の構成を理解する
  • あといくつで5になるか?
7正しく数える
  • いくつあるか正しく数える。
  • 音の鳴った回数を数える
  • 指示された数だけを描く
8同数発見
  • 同じ数のものをさがす
図形9基本図形の理解
  • 丸、三角、真四角、長四角、ひし形という基本図形を覚える
  • 身近にあるもので似ている形をさがす
  • それぞれの形の特徴の同じところと違うところを考える
10基本図形の模写
  • 長さの違う2種類の棒を使って三角、真四角、長四角、ひし形などを作る
  • 自分で紙にいろいろな形を描く
11図形構成
  • 図形パズルを完成させる
  • パズルの外枠を使わずに形を完成させる
  • どれとどれを組み合わせれば形ができるか、頭で考える
言語12一音一文字
  • 言葉がいくつの音でできているか?(「すいか」であれば3)
  • どこにどの音がくるか?(「すいか」であれば「い」は2番目)
13同頭音・同尾語
  • 同じ音ではじまる(終わる)言葉をさがす
14しりとり
  • しりとりになるように絵をつなげていく
  • 逆からしりとりをする
  • 最初と最後が何になるかヒントがない状態でしりとりになるように絵をつなげていく
生活 他15生活用品の名称や用途
  • 身近な生活用品などの名前を覚える
  • それぞれの用途や材質を覚える
  • 特徴を聞き、それが何であるかを考える(私は誰でしょう)
16仲間あつめ
  • ある観点から生活用品を仲間分けする
  • 仲間はずれを探し、なぜ仲間はずれなのか理由を説明する

それぞれの内容は、具体物を使った授業と最後のまとめのペーパーで構成されています。実際に使っていただいた皆さまからアンケートを頂戴し、お子さまの様子を報告していただいておりますが、ペーパー学習まで入れると40分前後になる課題もあり、少し時間が長すぎるのではないかというご意見もいただいております。教室とは違い、ひとりで画面に向かって学習するわけですから、集中力の持続を考えるとやはり15分~20分が限度かもしれません。しかし、1回の内容は細かく3~4のテーマに分かれていますので、別々に取り組んでいただければ、そうした問題は解決できると考えています。前半の具体物授業と後半のペーパー学習に分けて行うことでも、子どもの集中力は持続できるでしょう。不十分な点はいくつかありますが、保護者の皆さまのご感想はおおむね良好です。撮影する側の懸念としては、質問した後、子どもに答えてもらうための時間をどのように確保し、間合いの取り方をどう工夫すればよいかという点がありますが、そのことを常に念頭に置いた声掛けを心がけています。一方通行にならないようにするための配慮が幼児期のオンライン授業のポイントになりますので、そのあたりの問題点を改善しながら、残された80の課題の撮影に取り組んでいきたいと思います。すべての課題の撮影が終了するには来年5月頃までかかる予定です。一番の問題は、家庭で使う具体物教材をどう準備するかで、授業内容に合わせて教材を準備してから撮影を行うため、それくらいの時間は必要になってきます。96単元が完成した後、このWebレッスンにさらなる価値を持たせるためにいろいろな企画を考えています。当面の課題は、教室授業と家庭学習をどのようにうまく組み合わせて進行していけるのか、この点に最大限注力してこの作業を続けていきたいと思います。コロナ時代に取り組んだオンライン授業の経験が新しい形に進化すれば、幼児用のオンライン授業の典型が完成するはずです。ステップ1の学習を終えた今、この学習方法をあらゆる角度から検証し、「考える力」がどう身についているかを見ながら、ステップ2の学習に進んでいきたいと思います。

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