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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

年中夏からの受験対策

第732号 2020年8月7日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 新型コロナウイルスの感染者数が増えつつあり、第2波が来たのではないかといわれる一方で、封じ込めのための緊急事態宣言も出される状況でないことを考えると、現在の状況を容認しながら人々の感染症対策に望みを託した無策が続くのでしょうか。何もしない政治に失望するのは私だけでしょうか。学校説明会も延期になり、ホームページでのオンライン説明会が盛んにおこなわれています。チャンスがあれば従来と同じ説明会を行いたいと思っている学校がほとんどですが、それができない状況下で、受験生の保護者の皆さまも情報の少なさに心配な毎日を送っていることと思います。特に、併願校を考えるための学校情報が手に入らないことへの不安が日増しに増大しています。

そんな中でも、少しずつ今年の入試の在り方に関して情報が入りつつあります。幼稚園受験では集団活動を取りやめる幼稚園が増え、小学校入試にも多少なりとも影響が出てくるのではないかと思います。面接が重視されるだろうということはすでにお伝えした通りですが、それを裏付けるように学校によっては面接日を1日増やしています。3密の状態を作ってこそ意味のある「行動観察」が今年はどのように行われるのか、私たちもその判断に苦慮していますが、先日講演をしていただいた校長先生も、面接時間をこれまで以上に十分にとって、ご家庭の考え方と子育ての在り方をお聞きしたいというようなことをお話しされていました。そうした考え方が面接日を1日増やす結果になったのではないかと思います。今年の入試は面接重視の入試になることは間違いありません。それは同時に「行動観察テスト」の変更を意味しているし、願書や面接でいかに「家庭らしさ」を表現できるかが大事になってくるでしょう。緊急事態宣言中に家庭でどんなことをしたのか、あるいはまた短縮された夏休みにどんな経験をしたのかが必ず問われるでしょう。そこにそれぞれのご家庭の子育ての考え方が反映してくるからです。

「お母さんとどんな楽しい遊びをしましたか」と問われて「お母さんは遊んでくれなかった。勉強をたくさんしていました」・・・こんな答えが返ってくるのではないかと心配していますが、これでは合格できません。

来年秋に受験する皆さまから、いつから準備に取り掛かればいいのかといった相談が増えています。コロナの感染状況を見ると、外に出したくないとお稽古を自粛されているご家庭も多いのではないかと思います。例年、年中4月から入会される方が多いのですが、今年の4月は緊急事態宣言の真っただ中で、私たちも休校措置を取っていた関係で体験授業を組むことすらできない状況が続いていましたが、授業再開後の6月以降、年中児の皆さまの入会相談が増え、ステップ1の学習が始まる9月から入会したいという動きが加速しています。

例年7月から8月にかけて行っている「年中夏からの受験対策」セミナーも、今年は大勢の方が教室に集まることができないためにオンラインに変更して実施する予定ですので、ぜひお聞きいただければと思います。ここに毎年お伝えしている「受験対策」のポイントを少しまとめておきます。

  1. 1年間の学習計画をしっかり持つこと。来年の夏休み前までに入試で問われる内容の学習が終わるように、基礎から応用への系統性をしっかり持った学習計画をもつこと
  2. 第一志望校の選択を年内に終えておくこと
  3. 正確な入試情報をしっかりつかむこと。特に今年の入試の動向はしっかり把握し、根拠のないうわさ話で右往左往しないようにすること。「withコロナ」時代の行動観察がどのように行われたかをしっかり分析しておくこと
  4. 最初からペーパーに取り組ませる教え込みの学習ではなく、事物を使い、対話を重視した指導を徹底すること
  5. 解き方を教え込むのではなく、自分で試行錯誤して「考える力」を身につけること
  6. 指示をしっかり聞き、理解し、作業を通して答えを導き出す経験を豊富にさせること。学校側が重視しているのは「聞く力」「作業する力」「考える力」の3つです
  7. 過去問に取り組むのは年長4月になってからで十分。それまでは焦らず、基礎をしっかり身につける学習を徹底すること

以上のような考え方で、9月から1年後の入試に備えた準備を始めてください。こぐま会では9月から「ステップ1」の授業が始まります。ステップ4までの基礎段階を5月連休前に終え、5月から夏休み前までに応用段階の学習を行い、夏から秋にかけて総合演習をして入試を迎えることになります。しかし、小学校入試は学力試験だけで合否が決まるわけではありません。行動観察で非認知能力が問われ、集団学習の基礎が身についているかが問われます。その前提として、家庭の考え方と学校の教育方針が一致するのかどうかも問われます。その意味で小学校入試は子育ての総決算としての試験です。子どもの学力を高めることだけに奔走しないよう、問われているのはお母さま、お父さまであることも忘れず、家族一体となった取り組みが必要です。

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