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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

基礎段階の学習を終えた今、何が壁になっているか

第621号 2018年4月20日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 ばらクラス(会員)の授業は、今週の授業をもってステップ4の学習を終了することになります。セブンステップスカリキュラムの中で、このステップ4までの学習が「基礎段階の学習」になり、入試問題で求められている「考え方」の基礎を身につける学習になります。これから夏に向かって、ステップ5・6と進み、夏休み前までにすべての課題を終え、夏休みに入試レベルの実践的なトレーニング・難問トレーニングを積む予定になっています。
ところで、これまで各領域で学習してきたことは以下の通りです。

未測量
step1大きさ・多さくらべ多さの相対化 / 大きさの相対化
step2重さくらべ手をつかった重さの比較 / 器具をつかった重さの比較 / シーソーによる三者関係
step3長さくらべ長さの比較 / 長さの相対化・系列化 / 大きさと長さの順対応 / 長さの個別単位
step4シーソーじゃんけん・競争による三者関係 / シーソーによる三・四・五者関係 / 言葉による関係推理
位置表象
step1前後・上下関係前後関係の相対化・系列化 / 上下関係の相対化・系列化 / 方眼上の位置の対応 / 位置の記憶(つみ木・方眼)
step2左右関係右手・左手の理解 / 交差点の曲がり方 / 生活空間での位置関係
step3方眼上の位置と移動 右手・左手の理解(復習) / 方眼上の位置の理解 / 方眼上の位置の言語化 / 方眼上の位置の移動
step4四方からの観察(1)四方からの具体物の写生 / カードを使った場所さがし / いろいろなものの四方からの観察
step1計数、同数発見、5の構成買いものごっこ(命令行動) / 5の構成 / おはじきを数える / カードを使った同数発見
step2一対一対応対応に必然性のある一対一対応 / 対応に必然性のない一対一対応 / ペーパーを使った線結び / ~より~個多い(少ない)
step3等分水、ひも、折り紙の2・3・4等分 / 余りのないおはじきの等分 / 余りのあるおはじきの等分
step4一対多対応具体物を使った一対多対応 / おはじきを使った一対二・三・四対応 / 包含除の考え方(余りなし) / 包含除の考え方(余りあり)
図形
step1基本図形とその構成基本図形の理解 / 基本図形の模写 / 基本図形の構成
step2立体構成秘密袋による触索 / 立体図形の理解と製作 / つみ木の構成
step3同図形発見、点図形同図形発見 / 記憶による同図形発見 / 円柱ならべ / 点図形の練習
step4図形分割折り紙をつかった図形分割 / 三角形の構成と分割
言語
step1同頭音・同尾音、しりとり一音一文字 / 同頭音・同尾音 / しりとり / 聞き取り練習
step2短文づくり聞き取り練習 / 動詞の理解 / 短文づくり / 時間的経過の理解
step3話の内容理解、お話づくり聞き取り練習 / 話の内容理解(登場人物と順序) / お話づくり(4場面)
step4話の内容理解、昔話短文復唱 / 聞き取り練習 / 話の内容理解(善悪判断 他) / 昔話
生活 他
step1分類(1)観点を変えた分類 / わたしは誰でしょう
step2理科的常識(1)(常識)野菜、果物の切断面 / 生活の中の音の理解 / 鏡映像 / 花の名称と季節
step3分類(2)観点を変えた分類 / 二者の異同 / 共通性の発見と言語化
step4法則性の理解(1)(推理)立方体の回転 / 並び方の法則性の理解 / 変化の法則性の理解

この中でまだ十分解決していない問題がいくつかあります。そこをしっかり連休明けまでに仕上げ、応用段階の学習に備えなければなりません。その課題を列挙すると、次のようになります。

未測量個別単位 / シーソーにおける四者関係
位置表象交差点の曲がり方 / 方眼上の位置移動 / 四方からの観察
数の構成 / 暗算能力 / 量の3等分 / 一対多対応
図形立体物の図形模写 / 三角形の構成と分割
言語一音一文字の応用 / 指示の聞き取り / お話づくり
生活 他観点を変えた分類 / 立方体の回転 / 並び方の法則性

未解決の問題の一つ一つには、それぞれ特殊な難しさがありますが、全体として問題が難問化していく背景には、共通した問題点があります。それはいうなれば、領域を超えて共通な「考える力」であり、またものごとを解決していく手段の獲得ということになります。
まず前提として必要なことは、「正しく聞き取る力」が身についているかどうかです。幼児期の課題は、すべて指示を聞いてから取り組みます。この聞き取りの段階が解決しなければ答えに導くことはできません。この「聞き取る力」を身につけるためのトレーニングが必要です。もうひとつ大事なことは、指示をしっかり理解し、約束に基づいて「解決に向けた作業」がしっかりできるかどうかです。試行錯誤して答えを導き出す経験のない子どもは、そうした作業が必要な問題になるとお手上げです。これからの入試問題は、身につけている知識で答えられる問題はだんだん少なくなっていくはずです。その代わりに、約束どおりに作業して答えを導きだす問題が増えていくはずです。こうした作業への取り組みは、普段から試行錯誤して答えを導き出す練習をしておかないと間に合いません。「聞く力」「作業する力」を問題解決の大前提としたうえで、これまでの学習の壁になっている多くの問題には次のような共通点があります。

そのひとつは、「観点を変えてものごとを捉える」ことの難しさです。交差点の曲がり方や四方からの観察における左右関係の理解だけではなく、観点を変えた分類にも必要となる大事な考え方です。ひとつの観点にこだわらないでものごとを多面的に見る眼をしっかり身につけておかなければなりません。また、もうひとつ大事な点は、「規則性を発見する」ということです。並び方の法則性や、回転推理に必要な考え方の基礎になるもので、最近の入試ではいろいろな角度から問題がつくられています。「観点を変える」ということと「規則性を発見する」ということがいろいろな場面で求められているということを知っておいてください。
一方、トレーニングの積み重ねによって解決していかなければならない課題もあります。それは、「暗算練習」と「図形模写練習」です。数の課題をすばやく解くための「暗算能力」のトレーニングは相当やらなくてはなりませんし、「図形模写」能力は、書き続けるしかありません。特に立体物の模写は今後増えていくと思われますので、立方体を中心に繰り返す必要があります。

基礎段階の学習とはいえ、入試問題の8割はこれまでの学習に関連して出されていますが、同じ問題が出される時代ではありませんので、パターン練習では意味がありません。基本をしっかり理解させて、自分の力で問題を解いていく習慣づけをしっかり行うようにしてください。

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