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世界の子どもたちに「KUNOメソッド」の学びを
国内・海外からの実践報告

第7回 「言語聴覚士の視点から見た教材選び」
― 海外における母語の獲得について―

2026年3月31日(火)
シンガポール日本人会クリニック 言語聴覚士・公認心理師 鈴木利佳子
こぐま会代表 久野泰可より

鈴木利佳子先生と最初にお会いしたのは、3年前にシンガポールの日本人会で行われたセミナーでした。「学習塾KOMABA」様主催のセミナーで、海外に住む日本人の子どもたちの「母語」の獲得に関する相談や治療にあたっている立場から、日本語獲得に関する問題点を指摘していただきました。
鈴木先生は、以前からこぐま会のオリジナル教材、特に「おはなしづくりカード」を使って日本語の獲得に関する治療を行ってきたようです。
今年も、3月15日に日本人会でセミナーを実施し、私を含め鈴木先生、学習塾KOMABAの石川晋太郎先生の3名で「母語」の獲得に関する実践報告をそれぞれの立場から行い、議論を深めました。
シンガポールにおける日本語の獲得の問題は、日本における英語教育の在り方を考える際に大変役立ちます。それだけではなく、日本における国語教育の在り方を考える良いきっかけになっています。今回、日々の治療活動を踏まえて実践報告を送っていただきました。ぜひお読みください。
 言語聴覚士は、「ことば」に関わる仕事です。大人では、病気の影響でことばが出にくくなったり、はっきり話しにくくなったりした方への支援を行います。子どもでは、ことばの発達やコミュニケーション、読み書きに関わる支援をしています。

私は言語聴覚士になって23年になります。最初の20年は日本の病院で、主に大人の失語症や構音障害の訓練に関わってきました。現在はシンガポールの日本人会クリニックで、子どもたちのことばの発達や学習の支援を行っています。

言語聴覚士になったばかりの頃から、私はいつも「よい教材はないかな」と探してきました。そんな中、紀伊國屋で見つけて心をひかれたのが、こぐま会さんの教材でした。それから少しずつ買い足しながら、長く大切に使っています。中には、20年近く使っている教材もあります。近年、こぐま会代表の久野泰可先生にお会いし、ことばの発達や幼児教育についてお話を伺う機会がありました。先生の子どもたちへの思いや、教育に対する深い愛情に触れ、教材への愛着もさらに深まりました。

大人でも子どもでも、ことばの訓練に使う教材は、見てわかりやすく、思わず話したくなるようなものが理想です。

ことばの発達は、まず「単語」が増えることから始まります。次に、「ママ きて」のように、二つのことばをつなげて伝えられるようになります。その後、少しずつことばが長くなり、「が・を・に」などの助詞を使ったり、動詞の言い方が整ったりしていきます。さらに、「だから」「でも」などを使って、理由や気持ちのつながりを表現できるようになっていきます。こうした力が育つ中で、会話を続ける力も少しずつ伸びていきます。そして最終的には、「いつ」「どこで」「なにがあって」「どう思ったか」を順番に話し、体験したことや出来事をひとつのお話としてまとめて伝えられるようになります。このことばの育ちが、深い思考力や学びにつながっていくのです。

私がこのクリニックでよく使っている教材も、こうしたことばの発達の流れを意識しながら選んでいます。単語を増やしたい時期、二語文を育てたい時期、助詞や文の形を整えたい時期、会話や説明する力を伸ばしたい時期では、適した教材が異なります。お子さんの今の力に合った教材を選ぶことで、無理なく取り組みながら、次のステップへ進みやすくなると感じています。

クリニックに相談に来られるお子さんの多くは、「ことばの発達が少しゆっくりかもしれない」と心配されている3~6歳のお子さんです。しかし、ことばの育ち方は一人ひとり違います。だからこそ、その子の今の姿をよく見て、その子に合った方法を考えることが大切だと思っています。

たとえば、ことばの音に注目する力を育てたいお子さんには、しりとりカードを使います。絵や文字を見ながら楽しくことばや音に触れられるだけでなく、絵を使ってなぞなぞ遊びや仲間分けに広げることもできます。お話づくりカードは、出来事を順番に話す力や、「どうしてかな?」「このあとどうなるかな?」と考える力を育てるのに役立ちます。

ことばの発達には、単語や文法だけでなく、考える力、想像する力、相手に伝わるように話す力も深く関わっています。私は、「今この子に必要な力は何かな」「この教材で、その力を楽しく引き出せるかな」と考えながら教材を選んでいます。訓練は、楽しく取り組めることがとても大切です。机の上に並べたときに、「これなに?」「今日はこれやりたい!」と、お子さんが興味を持って自分から手を伸ばしたくなる教材が理想です。こぐま会さんの教材には、そんなふうに子どもの気持ちを自然に引きつけてくれるものが多いと感じています。これからも、一人ひとりの子どもの姿を大切に見つめながら、その子に合った教材と関わり方で、ことばの育ちを支えていきたいと思います。
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