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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

言語:動詞の理解(雙葉小学校)

第58号 2007/01/26(Fri)
齋藤 洋
言語:動詞の理解(雙葉小学校)
※部屋の中に、たくさんの具体物が描いてある。

の印がついているラッパは、吹くものですね。同じようにこれから先生が言う使い方をするものに、先生が言った通りの印をつけてください。


では、上のお部屋の中のもので、弾くものにをつけてください。

 「弾く(ひく)」という動詞が、どのような動作を表すものか理解を問う問題です。これは言葉の意味だけではなく、常識的な理解も必要になるとても難しい問題だと思います。
 楽器を使った動作表現としては、まず全ての楽器について使える言葉として、「演奏する」「鳴らす」という動詞があります。幼稚園や保育園でも使う言葉でしょう。「奏でる」と言う表現もありますが、幼児で分かる子はほとんどいないでしょう。

 さらに、楽器の種類による演奏方法の違い、鳴らし方の違いを意味するいくつかの言葉があります。それが今回の問題です。

弦楽器・・・弾く(ピアノ・バイオリン・ギターなど)
管楽器・・・吹く(ラッパ・笛など)
打楽器・・・叩く(たいこ・タンバリン・カスタネットなど)
その他・・・振る(鈴など)

 このような楽器演奏の動作を表す言葉は、普段正確に使う習慣がないと、いい加減になります。どれも「鳴らす」で済ましている場合もあります。ピアノを習っている子は、弾くという言葉を普段使っているはずですが、指導される際に「鍵盤を叩く」という表現を耳にしている子も多いでしょう。そうすると混乱しそうです。
 また「弾く」という言葉は楽器にしか使いませんが、子どもたちが耳にした「ひく」という言葉は、「引っ張る」という意味にも取れます。ここで誤解が生じ、選択肢の中にある絵の中に、無理にこじつけてしまうことも考えられます。
 さらに「吹く」「叩く」「振る」という動詞は、楽器演奏以外に、一般的に使う言葉です。ですから選択肢に描かれているものによっては、いろいろなものが該当する場合もあります。実際選択肢には、楽器の他に次のようなものもあったようです。

 ハサミ、カッター、包丁、筆、はけ、せんたくばさみ、トング等

 この中から「弾くもの」を選ぶのですが、今回受験した子ども達で、時間帯の違うグループによっては「弾く」ではなく、「塗る」ものや「はさむもの」という出題の場合もあったようです。いずれの場合でも迷うものがありそうです。

 このように動作を表す言葉は、とても難しいものです。大人でも漢字表記でならば分かっても、会話の中では聞き違えることがよくあります。ですから当たり前のように思えても、幼児にとっての難しさは大変なもののように思えます。
 家族の中の会話は、何となく通じてしまうので、曖昧な表現で済まされている場合が多いものです。しかしもしかすると幼稚園や保育園では、先生やお友達の話を、本当には理解できていないのかもしれません。絵本を読んでもらっても、何となく楽しんでいるだけで、正確には味わえていない場合もあるでしょう。それではとてもかわいそうな気がします。

 「動作を表す言葉」は、最近出題が多くなっている課題です。この対策としては、日常会話の中で注意していくことはもちろんですが、もっと多くの言葉に触れることが大切です。そのために絵本や、問題集などを十分に活用してください。例えば「ひとりでとっくんシリーズ」の「うごきことば」「たんぶんづくり」「おはなしづくり」「はなしのないようりかい」「ときのけいれつ」等も参考になると思います。入試に出るからだけでなく、小学校入学後に困らないように、ぜひ正確な言葉の学習を心がけてください。

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