ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

図形:図形構成(成蹊小学校)

第54号 2006/08/24(Thu)
齋藤 洋
図形:図形構成(成蹊小学校)
  • 図のような5枚の形を、紙に描かれた大きな形の中に、ぴったり収まるように構成する。

※問題は2枚で、1枚につき4問ずつの設問。1枚目は形を5枚全部使うが、2枚目は4枚を使うように指示がある。

 成蹊小学校の入試の特徴は、図形の問題が多いことです。
 かつてこの学校では、上の図のような問題を個別テストの形式で行っていました。左2つはピースの余りが無いほうの問題で、右2つは1枚余る問題です。「ピース数が多い方が難しいのでは?」と思われるかもしれません。しかし余りの無い方がピース数が多いのですが、余る問題の方が難しいのです。余る形がどれか分からないためです。
 まず1枚目の余りの無い方から始めます。1つの枠に構成ができたら、それを壊して次に進みます。制限時間が来ると、途中でも2枚目の余りがある方に進みます。そして同じように完成したら壊して次に挑戦します。それぞれ制限時間内に完成できた数が、得点になりますが、個別テストですから、どのような関わり方をしていたかという、行動観察の要素もあったと思われます。
 現在、成蹊小学校の入試は、ペーパーテスト中心です。志願者が多くなり、時間のかかる個別テストを行うゆとりが無くなったことによるのかもしれません。この学校のペーパーテストが難しいのは、かつての個別テストの内容が反映されているからだと思います。

 このような問題にスムーズに対応できるかどうかは、パズル片の特徴を把握しているかどうかにかかっています。正方形は、小さい直角二等辺三角形2枚で作れるもので、台形は3枚で作れます。ということは、どの問題見本(枠)についても、小さい直角二等辺三角形だけで構成することができます。そして直角二等辺三角形だけで構成するならばそれ程難しくはないでしょう。つまり大きい正方形や台形を入れることで、問題をより難しくしていると考えられます。小さい形はどこにでも入れることができますが、大きい形を入れることができる場所は限定されるからです。
 この問題以降、まず基本の形があり、それを2つ~4つ合わせた形を使う図形構成が、目につくようになりました。雙葉でもペーパーでの出題でしたが、小さい直角二等辺三角形2つと、小さい三角パズル2枚分の直角二等辺三角形2つ、計4枚を使用した過去問があります。その4枚を使って、できる形とできない形を判断する問題でした。最近は、このような関係性を利用した問題が、よく出題されています。特に直角二等辺三角形を基本とした形は多いようです。
 こぐまパズルは、このタイプの図形構成を幅広く学習出来る教材です。ぜひご利用ください。

 さて、図形構成(パズル)を、手際よく完成するための基本は、大きい形から考えるという方法を採ることです。これが優先順位の第1番目です。この問題では、台形を収める場所を考えることから始めるのがよいでしょう。
 その収め方としては、外枠にぴったり合うように入れるという点です。これが優先順位の第2番目です。図の大きな直角二等辺三角形では、上の台形をそのまま三角形の左下に入れる方法です。
 もう1つは、入れた形にくっつけて、次の形を入れなければなりません。別の外枠部分に入れてしまうより、形同士の関係を確認していくことができます。これが第3番目です。
 2番目と3番目については、入れた形によって、残りの空間が複数の箇所に分散されないようにすることも大切です。つまり残りの空間は一箇所に集まるようにし、形を入れるたびにその空間が、少しずつ狭くなっていくようにしたいのです。そのように作業を進めていくと、全体がどのような構成になるのかが予測しやすくなるのです。

 ペーパー中心の出題しかない学校を志望されている場合でも、図形構成のトレーニングには、実際にパズル片を構成する活動が基本です。その経験が少ないと、どんなにペーパートレーニングをこなしても、力がつきません。
 上記の問題は、この図形構成の方法を身につけるために、とてもよい素材だと思います。この問題を参考に、十分な経験を積ませてあげましょう。

PAGE TOP