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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

言語・常識(立教女学院小学校)

第53号 2006/08/04(Fri)
齋藤 洋
言語・常識(立教女学院小学校)
※ 先生の言ったものを絵の中から選んでをつけて下さい。
  • 7羽の子どもをかわいがる、お山に住んでいる鳥はどれですか。をつけてください。
  • 鳥の仲間でないものにをつけて下さい。
  • 走るのが速くて飛べない鳥はどれでしょう。
  • 虫を食べる虫はどれでしょう。
  • ウサギの人形が壊れてしまいました。何を取りかえたらよいでしょう。
  • 「何本」と数えるものにをつけてください。

※ 答(上から順に)カラス・コウモリ・ダチョウ・カマキリ・テントウムシ・電池・エンピツなど

 立教女学院では、常識問題が毎年出題されます。常識問題にはいろいろあり、こぐま会では、次のように分類しています。
  • 一般常識
  • 社会的常識
  • 理科的常識

 一般常識というのは、生活上の常識とも言えます。ただし、これには社会的常識や理科的常識に当てはまらないものも含まれます。
 上記の問題では、「ものの数え方」と「7羽のカラスの子」がこれに当たります。「ものの数え方」は多くの学校で出題されており、「1本」「1枚」「一頭」「一匹」等、身近なもの・典型的なものについては、しっかり整理しておく必要があります。「7羽のカラスの子」は、唱歌の理解の問題ですが、多くの子がこの歌を知りませんでした。「赤とんぼ」「たきび」なども入試で出題されましたが、我々大人がごく当たり前に知っているものだと思っていても、今の子どもたちにとって聞き慣れないものはかなりあるようです。
 「ウサギの人形」は一般常識のレベルですが、理科的な理解にもつながると言う見方もあるでしょう。入試では、身体の部位の名称や、自分でできることについてなども多く出題されています。

 社会的常識は、今回例に取り上げた立教女学院では出題されていませんが、これは言い換えると道徳に関する問題といえます。つまり社会で生きていく上での「きまり」です。一般常識である「ご挨拶」も、人との関わりという意味で社会的常識につながっています。また、多くの学校で出題されているものでは、公共の場所でやってはいけないこと、弱者への対応の仕方やそのマーク等があります。道路標識についても、通学路でよく見られるものなどは出題例があります。そのほか、単純に職業についての理解も社会的常識の一つです。
 社会的常識については、ペーパーだけでなく、面接や個別テストで口頭試問の課題にもなっています。それだけ重要視されている問題だと言えるでしょう。

 理科的常識は最も出題が多く、過去の例では、花・生き物・野菜・果物・季節(行事)・光と影・食べ物の断面図・水面の傾き、などが思いあたります。
 上の例題にあげた「鳥・獣の理解」は、仲間はずれなどの分類でもよく出題されます。虫を食べる虫という問題もありますが、幼児にとって身近なものである昆虫類、少なくとも目にすることのある生き物の生態などについての知識は必要です。
 屋外で季節の植物・動物(虫・鳥・獣)などに触れること、そして興味を持たせることは大切です。その上で図鑑などを使いさらに理解を深めましょう。季節に関しては、花や野菜や果物、行事、生き物などを一緒に関連づけて覚えておくとよいです。

 常識といっても、初めから常識であるものなどほとんどありません。幼児にとっては、これから知っていかなければならないものばかりです。常識を身につけていけるかどうかは、子どもの周囲にいる我々大人の関わり方に、その責任があると言えるでしょう。「ひとりでとっくん」にも「常識1・2」がありますが、それだけでカバーできるようなものではありません。日々の生活の中で、さまざまな常識を身につけさせてあげてください。

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