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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

図形:線対称(光塩女子学院初等科)

第48号 2006/06/30(Fri)
齋藤 洋
図形:線対称(光塩女子学院初等科)
  • 2つ折りや、4つ折りの紙に、穴あけパンチで1~4つの穴が空けられている。これを開いたら穴はどのように空いているか、下の4つの選択肢の中から選んでをつける。

  図形の問題にはいろいろなものがありますが、上記の線対称の問題は、最近よく出題されている問題です。このシリーズでも28号で、成蹊の線対称の問題を取り上げました。線対称の問題にもいろいろありますが、その最も基本となる考え方が、この光塩女子学院初等科の問題で取り上げられています。それをご紹介いたします。数の領域の重要問題である、「一対多対応」の考え方です。

 この問題でまず重要なのは、折り紙を折ったときの紙の重なり方を理解しているかどうかという、ごく当たり前のことから始まります。2つ折ならば2枚が重なっている、4つ折ならば4枚が重なっているという点です。子どもたちはこのことを意識して折ってはいませんが、この重なりが理解できなければ、折ったまま(重なった状態で)穴を開けた時に、重なっている全ての部分に同じ穴が開くというところに進むことはできません。折り紙を使った、このタイプの線対称の学習を始める際に、まずこのことをしっかり意識できるようにすることが大切です。

 次に、「一対多対応」の考え方に進みます。2つ折りの折り紙で考えてみましょう。
 1番上に重なっている紙に穴を1つ空ければ、下に重なっている紙にも同時に1つの穴が空きます。つまり開いた時に2つの穴が空くのです。同じように折った状態で1番上の紙に穴を2つ空ければ、下の紙にも2つの穴が空きます。ですから2つと2つで、4つの穴が空くことになります。3つ空ければ、3と3で6つの穴です。このように2枚が重なっている状態では、「空けた穴の数が2枚分になる」ということです。
 数領域「一対多対応」の言い方では、『「一あたり量(量=いくつずつ)」で、「いくつ分」ある』と言います。折り紙の線対称では、空けた穴の数が「一あたり量(量=いくつずつ)」です。そして重なっている枚数が「いくつ分」です。2つ折りで穴1つならば「1あたり1つの穴で、2枚分」、穴2つならば「1あたり2つの穴で、2枚分」です。4つ折ならば「1あたり1つの穴で、4枚分」、穴2つならば「1あたり2つの穴で、4枚分」です。

 さてその上で、その穴の開き方、穴の配列について問いかけているのが光塩の問題です。線対称の理解についてです。折った線は、線対称における中心線です。2つ折りならば対応する穴は、その中心線から水平に同じ距離の位置にできます。この「同じくらいはなれたところ」という理解が、とても大切なところです。4つ折りならば、一対多対応の考え方で、「どの面にも穴が空いている」ということと、穴の位置は、「縦の中心線を軸に水平に同じ距離に空く穴と、その2枚分に空いている穴について、横の中心線を軸に垂直方向に同じ距離に空く穴になる。」ということを確認していくことになります。

 線対称は、幼児にとってとても難しい考え方です。子どもが問題に取り組む際に、問題を聞いた瞬間に答えが分かるものではありません。ですから上記のように、段階を踏んで丁寧に理解を促していく必要があります。いつでもじっくり、順番に考えていくことを大切にしてください。

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