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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

数:数の増減(東洋英和女学院小学部)

第47号 2006/06/23(Fri)
齋藤 洋
数:数の増減(東洋英和女学院小学部)
  • ウサギが3匹いるところに、また1匹やって来ました。今何匹になりましたか?その数だけを描いてください。
  • 原っぱにヒツジが5匹いました。3匹いなくなり、しばらくするとまた1匹やって来ました。今全部で何匹いますか。その数だけを描いてください。
  • 葉っぱの上にテントウ虫が7匹いました。4匹逃げて、2匹来たら、全部で何匹になりますか?その数だけを描いてください。
  • クリが6個ありました。その中の4個を食べましたが、またお母さんが3個買ってきました。今何個になりましたか?その数だけを描いてください。

 いずれも「10」未満の「数の増減」です。東洋英和に限らずこの程度の「数の増減」は、どの学校でも出題される可能性があります。
 始めの問題は、1回の変化で、変化の大きさも「1」ですから、全く問題はないでしょう。練習問題かもしれません。しかし次の問題から、2回変化する問題になりました。難しい印象があるかもしれませんが、多くの学校で、複数回の変化を出題しています。そこには理由があります。

 数の問題は、「1と2で、3になる」「2+2=4」など、数字を扱ったパターン学習に陥り易いのですが、学校側がこの問題で求めているのは、お話をしっかり聞く力です。お話を聞きながら、場面をイメージし、さらに場面の変化を追っていく力があるかどうかを、数の問題で求めていると思われます。つまり言語領域の「お話の内容理解」の力が必要なのです。

 お話を聞きながら数の変化をイメージすることができ、その上で数の固まり(集合)をつかむ力が必要になります。ただ数字としてのイメージではなく、上記の問題を例に挙げるならば、「5匹のヒツジの固まり、その中の3匹のヒツジの固まり、そしてそれとは別の1匹のヒツジ」という、絵あるいは実際の場面です。そして5匹の固まりの中に含まれている3匹のヒツジと、別の1匹が入れ替わるイメージとも言えます。その状況をオハジキなどを使って、さらにしっかりと確認する方法を採ることが大切です。

 当たり前のことですが、上記の問題のように小学校入試の問題では、足すとか引くという言い方はしてくれません。小学校に入ってからも、やはり大切なのはイメージです。足す―引くというのは、操作の方法でしかありません。子どもは問題から、操作の方法を判断する力を身につけていかなければならないのです。いくら「=?」という計算ができたとしても、日常生活の中にある数の変化をとらえることと、数式を結びつける力が無ければ、それは本当の学力ではありません。その結びつけは入学後に学習することですから、年長児に必要なのは、場面の理解であり、言葉の理解なのです。ですから小学校入試では、足し算、引き算の計算力、つまり「+と-」の記号によるパターン認識を求めているのではないのです。
 もし話を聞いたときに場面のイメージを持てるならば、小学校の算数の授業で上記のような問題を聞いて、それを式に表す段階にもスムーズに入っていけるはずです。上記の「数の増減」の問題を参考に、さまざまなお話(数の問題)を作ってあげましょう。そしてそのお話(数の問題)の中で、言い回しがいろいろ変わっても、「増える - 減る」がしっかりつかめるように練習を積んでください。

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