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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

図形:回転推理(成蹊小学校)

第49号 2006/07/07(Fri)
齋藤 洋
図形:回転推理(成蹊小学校)
  • =左に1回、=右に1回、=左に2回、=右に2回の、4種類のお約束で、左の形が転がった時、どんな向きになるか選択肢から選んでをつける。

    ※上記4種類の中の約束を、同じものも含めて3つから4つ形の上に並んでいる。
    ※元の形には、三角形、正方形、平行四辺形などがある。

 成蹊小学校の入試問題は、図形課題が中心となります。
 上記の問題は、典型的な「回転推理」ですが、その元の形に含まれている要素が多いのが、成蹊らしい難しさです。

 正方形は回転そのものが単純なので、まだ考えやすいかもしれませんが、三角形は回転のイメージがやや難しくなります。平行四辺形は、その転がりが奇数回と偶数回で、図形そのものの印象が違って見えるためさらに難しかったでしょう。

 さらにこの図形それぞれが持っている特長があります。図形の中はいくつかに分割されていて、その分割数も徐々に増えていきます。またそれぞれのスペースの中のいくつかが黒く塗られていたり、さらに記号が描かれていたりする部分もあります。全体像の回転推理だけでなく、中の黒い部分や記号の位置関係についても考えなければなりません。
 大切なことは、「向きが違っていても、その中の模様どうしの位置関係(配置)は変化しない」という点です。

 成蹊は「同図形発見」の問題も良く出題します。そしてその考え方は元々、「向きがちがっても同じものは同じ」という、実際に存在している具体物としてのイメージです。最近は多くの学校で、同図形発見の問題にこの考え方を取り入れていますので、成蹊受験を考えている方に限らず、しっかり練習しておく必要があります。その学習の中で「観覧車」についてもこなしておくとよいでしょう。「観覧車は回転していても、乗っている人たち同士の関係は変わらない」のと同じ考え方です。

 この問題を解く力を養うためには、積み木の一面に絵を貼り、積み木を右(左)に「カタン」と1回ずつ転がした時に、その絵がどんな向きになるかを観察することから始めます。その上で「ひとりでとっくん」の『回転図形』『回転位置移動』『回転推理』などに取り組んでみてください。

◎重要な読み取り

 上記の出題方法についてもお話しておく必要があります。回転の方向とその回転数を記号から読み取るという入試問題中、最も難しい方法を採っていました。一生懸命答えを選んだつもりでも、初めに回転の向きと回転数を読み違えていれば、間違えてしまうのです。最近の入試問題に多いのが、このような読み取りの問題です。基本的な問題内容は与えられているのですが、その問題を解くための手順の中に、自ら発見しなければならない要素が含まれています。
 例としては、上記の回転推理を初め、位置の移動や数の変化、置き換えなどさまざまです。その究極の問題形式が、「魔法の箱」と呼ばれているものです。いくつかの変化を読み取り、その変化を当てはめて解答するというものです。これについては次週解説いたします。

 上記の問題では、4つのお約束が1枚目のペーパー上部に描かれていました。ですから確認することができます。学校によっては、約束を記憶する場合や、教室前の黒板にお手本が貼られているといったケースもあります。まだ約束が見えているので、安心して取り組めるのですが、お分かりのようにいちいち確認していれば、作業のスピードが遅くなってしまいます。ですから、2枚目にいく前には記憶できている必要があります。

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