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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

位置表象:四方からの観察(光塩女子学院初等科)

第45号 2006/06/09(Fri)
齋藤 洋
位置表象:四方からの観察(光塩女子学院初等科)
※立方体のみで作られた形が描いてある。

  • 左の部屋の中の積木を、いろいろな場所から見た時の絵が右側に並んでいます。
    この中でどこから見ても絶対見えない形が一つだけあります。その形を探して、×をつけてください。

 「四方からの観察」の問題は、幼児の「空間認識の発達」を見ようとしているものです。
まず第1に具体物を、「自分のいる場所から見たときと、別の場所から見たときの見え方が違う」ということを理解できることが重要です。
そして第2に、別の場所からの見え方を、今自分が見ている状態から推測できるようにしていくことがポイントになります。

 視点については、幼児への課題ですので、基本は次の4方向からになります。

 正面 ・ 反対側 ・ 右側 ・ 左側

 しかし最近の入試問題の中には、上から見たときの見え方が出題されることがあります。

 光塩では、四方観察の問題が毎年のように出題されています。上記の問題は、積木を上・左右・前後から見た時、見えないものを選択肢から選ぶタイプで、この「上から見た場合」が含まれているものは、四方からの観察の中でも、最も難しい問題に入ります。
 その難しさの1番の理由は、積木をある一面から見たときには、ただ真四角が集まっているようにしか見えない点です。その集まり方、組み合わさり方を判断しなければならないのです。
 さらに、どこからもそのように見えないものを選ぶというのは、結局どの場所からどう見えるか、選択肢全部について調べる必要があるのです。ですから作業的にも大変なことが難しい点として挙げられるでしょう。
 光塩でも「具体物を、四方にいる人からはどう見えるか」という、選択肢から選ぶ一般的なタイプも出題されることがあります。その際も積木のようなものを使う場合が多いのですが、上記の立方体だけを使うのとは違い、いろいろな積木の組み合わせになります。しかしその方が、上記の問題よりも子どもには取り組みやすいのは確かです。

 子どもに分かりやすく、系統性を大切にした学習を進めていくためには、まず正面から反対側の見え方を推測する方法がよいでしょう。左右が逆に見えるということを理解するためには、まず「見る場所を変えたら、見え方も変わる」ということを当たり前の感覚として身につける必要があります。
 幼児はある時期まで、「ものはどこから見ても同じ」だと思っています。また日用品などの具体物の形状は、その具体物の特徴が最も「それらしく見える」向きでしか理解できない場合があります。ですから実際に反対側に行ってみて確認することから始めます。
 反対側をある程度意識できるようになってきたら、左右方向からの見え方を学習していきます。最後が上からの見え方です。この順番でやっていきますが、上方向からを学習すると、さらに空間認識が飛躍的に身につくようです。

 さてものの見え方については、自分の右手左手の確認から、「右側に見えるものは?」「左側に見えるものは?」や、その場所から「近くにあるのは?」「遠くになるのは?」というように、正確に位置を言葉で確認していく方法を学習していきましょう。その方法が採れるようになれば、ほぼ正確に解答できるようになっていきます。反対の場所からは、左右が逆に見えたり、遠くにあるものは近くのものに隠されて見えない部分があったりする、という認識が身についてくるのです。

 また「四方からの観察」をしっかり身につけるのに、実際に描く練習をするのは有効です。家庭学習にぜひ取り入れてください。まず自分の側から見えたとおりの絵を描くことから始め、次に反対側から見た絵、そして左右から見た時の絵に挑戦していきましょう。左右関係、重なりをイメージできるかがポイントになります。イメージはできているし、良く分かっているのに、描くことができない場合もあります。その場合は、しっかりアドバイスをしてあげたり、お手本を描いて模倣させてあげたりする必要があります。 

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