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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

位置表象:位置の移動(立教女学院小学校)

第43号 2006/05/25(Thu)
齋藤 洋
位置表象:位置の移動(立教女学院小学校)
  • ウサギとイヌが、サイコロの目の通りに交互にすごろくをして、先にゴールした方にをつける。
※ハートのマークのところは、1回お休みの条件がある。

 ウサギとイヌ、それぞれがサイコロの目の数に従って進み、最終的に先に着いた方がどちらかを判断します。
 ペーパー上には、横1列にサイコロの絵が並んでいます。それぞれのサイコロの上にはウサギ、イヌ、ウサギ、イヌ・・・というように、交互にサイコロを振るイメージになっています。ですから右手の指と左手の指をそれぞれウサギとイヌにして、サイコロの目の数に従い場所を押えていく方法が思い浮かぶでしょう。難しいようならば、一回ごとに着いた場所に、ウサギとイヌ、それぞれ別の印を描いていくという方法もあります。どちらでも構いません。
 目で追っていくだけで、毎回着いた場所を確認していくのは、かなり大変だと思います。指を使ったとしても、サイコロの目にハートのマークが出た場合は、1回お休みなので、そこでその位置まで決めていた、ウサギとイヌの指が入れ替わってしまうこともありそうです。

 最近の傾向として、このようなゲーム感覚の「位置の移動」は多くなってきています。基本は、スゴロクでの動き方なのですが、その他にも、様々な応用問題が登場しています。上記の問題はその中でもまだ易しい方です。
 いずれにしても、スゴロクでの動き方を、完全にマスターすることが第1です。それは止まっている場所の次から、「1、2、3・・・」というように数えていくというものです。
 間違えの多くは、止まっている場所を「1」として「1、2、3・・・」と数えてしまい、本来着く場所の1つ手前にしてしまうものです。止まっている場所は、動いていないのですから「0」です。実際にスゴロクをする際には間違えずにできていても、ペーパーで間違えることはよくあります。ペーパー上の絵は、実際は動きません。動かすイメージだけだから、その絵に指を置いたとたんに「1」としてしまうのでしょう。ですから、ペーパー上でも実際に動かすように、その絵の場所に指を置いてから、「せーのっ!『1』」というように指でたどっていく練習を積むことが大切です。

 すごろくをやったことがあれば、目的ははっきり理解できるはずです。しかしペーパーの上部に描かれている、サイコロを順番に見ながら、目の数を数え間違えないように進んでいくことは、幼児には難しいことです。このようなタイプの問題の経験が無いと、たぶん意味は分かっても、やる気にならないというのがほとんどでしょう。経験があっても、どちらかというと楽しいイメージではありません。最後まで、一つ一つのサイコロをしっかり見て、少しずつ確実に進んでいくしかないのです。その丁寧さ一生懸命さのみが、この問題を解く鍵になっていると考えて下さい。
 このタイプの問題に限らず、地道な作業活動が必要な問題について、ご両親から「何かもっといい方法はありませんか?」と相談を受けることも多いのですが、そんな魔法はありません。
 このような問題を出題するのは、学校側の意図として、この地道な作業をしっかりできるかどうかを求めているからでしょう。この問題の中には、《数を数える力》《位置を移動する法則性の理解》という学力面の観点が含まれているのはお分かりでしょう。さらに《持続力》と《集中力》が求められているのです。

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