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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

運動:指示運動(成城学園初等学校)

第36号 2006/03/23(Thu)
齋藤 洋
運動:指示運動(成城学園初等学校)
※ 靴と靴下を脱いで行う。

1.準備体操
  • 屈伸運動の後、手と足首をブラブラさせる。
  • 青色のクニャクニャしたヘビみたいなものを指差し、「これは水溜りです。ふまないように跳び越えて下さい」と指示がある。
2.平均台
  • 2つの平均台の上を、ドッジボールを頭にのせて渡っていく。黄色い線のところまできたら、先生に渡しておりる。
3.かけっこ
  • 赤と白のコーンが置いてあり、次のような指示が出される。
    「男の子は走っていき、白いコーンを右から回って帰って来て下さい」(女の子は別の指示)
    「ジャングルです、ライオンに食べられないように、急いでコーンを回って来て下さい。もし倒れても、コーンはそのままにして下さい」
4.キャッチボール
  • 線から出ないようにして、壁のところにドッジボールを当てる。そしてはね返ってきたボールを線から出ずに両手で受け取る。
     ※2個ボールが置いてあり、始め失敗したら別のボールでもう一度行う。

 この成城の課題は、典型的な指示運動です。他校でも同じように出題されることがあるものです。もちろん他にもいろいろな課題がありますが、基本はここに集約されていると思ってよいでしょう。
 このような複合課題の場合、いくつかの指示をしっかり聞き、記憶することが一番大切なポイントです。どの学校でも、その際のお行儀と集中力が行動観察のチェックポイントになっています。

 1.は準備体操ですが、身体をほぐすだけでなく、緊張している気持ちを和ませることも考えているかもしれません。しかしメリハリよく活動しているかどうかをチェックしていると思われます。簡単そうなので、ついいい加減になりやすいところですが、要注意です。

 2.はバランス感覚の課題です。ただ平均台を渡るだけならば、ほとんどの子どもにとっては簡単なことです。しかし何か一つ課題が加わることによってかなり難しいものになります。上記の「頭の上にボールを乗せる」というのは、両手がふさがってしまうのでバランスが取り難く、また背筋が伸びるためより高いところを歩いているような錯覚も起こす場合があります。不安が大きくなる工夫された課題です。
 また渡るのに全意識が集中するため、「黄色い線のところまで」という指示を忘れて通りすぎてしまうこともありそうです。

 3.のかけっこは、最近いろいろな学校でよく出る問題です。単純な課題ですが、それだからこそ子どもの普段の様子が良く見えるように思われます。
 まずは簡単な指示ですが、走るコースの指示をしっかり守ることができるかどうかです。そしてただ短い距離を走るだけですが、一生懸命さが大切です。だらだらはいけません。

 4.のキャッチボールはなかなか難しいものです。投げる際の姿勢もチェックポイントです。格好の良さ悪さという問題ではなく、投げ放つときに、ボールに全身の力がしっかり伝わっているかどうかです。結局はそれが格好の良さにもつながるのですが…。
 さらにボールに勢いがないとはね返ってきません。そのため、つい線から前に踏み出してボールを取ろうとしてしまいます。経験がないとほとんど失敗してしまうでしょう。一応やり直しができるようになっていますから、一回目がうまく行かなければ、2回目に工夫が必要になります。ここも見られています。
 壁にぶつけて遊べる場所が少なくなりましたが、ぜひお家の周囲で探してみて下さい。トレーニングというのではなく、何気なくぶつけてキャッチを繰り返すことで、特に男の子が野球を憶えていったものです。

 どの課題についても、できる―できないを見ているのではなく、やはりその時の取り組む姿勢をみていると思われます。失敗してもふてくされたりせずに、最後までいかに頑張れるか、その点が最も問われているところです。

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