週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」手先の巧緻性:塗り絵(日本女子大学附属豊明小学校)
第35号 2006/03/16(Thu)
齋藤 洋
齋藤 洋
- 手先の巧緻性:塗り絵(日本女子大学附属 豊明小学校)
- 3つの風船が濃淡に塗られている。それを見て、見本と同じように黒いクーピーペンを使って、濃淡を塗り分ける。

- 孔雀の羽のような形を黒いクーピーで同じに描き、中の色も見本と同じように青と水色で濃淡をつけて塗る。
- 見本の黒を見ながら、白いを濃く塗る。
- 水槽の中の水を、金魚や金魚の泡を塗らないようにできるだけ濃く塗る。
- 一場面の海辺の絵の中で、点線で描かれているウサギなどの形を丁寧になぞり、ビーチパラソルを中の水玉を塗らないようにできるだけ濃く塗る。
女子には特に、薄く塗ることを美意識としている子どもがかなりいます。しかしただ何となくきれいに感じても、実際は確かな運筆能力が身についていない場合があります。筆圧が弱すぎるのです。ですから豊明では濃く塗ることができなければ評価は低くなります。濃く塗るというのは、時間もかかりますしごまかしが効かないため、相当に難易度の高い課題だと言えます。
さて上記の問題では、3段階に濃淡をつけることを要求しています。
ただ塗りつぶす時は、まずは全体をある程度の濃さで塗ります。もちろんはみ出すのだけは要注意です。それから薄いところをチェックし、薄い部分は濃く塗るようにしていきます。しかし上記のように3段階に濃淡を付ける場合は、一番薄いところを塗る際に、最新の注意が必要になります。部分的に濃いところが生じると汚く見えますし、それを均一にしようと塗り重ねると、2番目濃さのものと酷似してしまい、差をはっきりさせることができなくなります。より難しくしてしまうのです。消すことができないので、均一にするためには濃くするしか方法が無いのです。
対策としては、何度も次のような練習を積み重ねて下さい。
- を3つ並べて描きます。
- 最も薄い色にしたい端のを、力を加減して丁寧にできるだけ薄く塗ります。
- 同じように2番目のも同じ薄さで塗ります。続けて3番目のも同じ薄さで塗ります。この時若干最初のより濃くなっても構いません。
3つとも大体同じ薄さで塗れたら、2番目、3番目の濃さに差をつけます。
- まず2番目のに、さっきと同じ強さで塗り重ねます。一度塗った上にまた薄く塗り重ねるだけ大丈夫です。決して力の加減を変えてはいけません。その力の違いがイロムラを生じさせます。
- 1番目と2番目のに濃さに違いがでたら、最後のに取り掛かります。同じように力を一定に塗り重ねます。まず2番目のと同じ濃さになれば良いのです。大体同じになったら、もう一度塗り重ねていきます。最後に濃さを出すようにもう一度力を入れて塗ります。
3番目については、思いっきり濃くしてもかまいませんが、できれば極端に力を入れるよりは、何度も同じ力で塗り重ねる方法を採った方がきれいに仕上がります。
- そして、もう一度中間に戻り少々微調整をします。少し塗り重ねても良い場合が多いのです。
少しずつその段階を4段階・5段階とふやしていくとさらに力がつきます。この力が身につくと明らかに集中力も養われますので、自由画の際の絵の完成度と密度を高めるのに有効です。さらに描いたり塗ったりする作業に広がりを感じることができるため、絵画だけでなく制作活動にも応用できる力につながっていきます。豊明を受験するしないに関わらず、また男子にも取り組んでもらいたい活動です。