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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

行動観察:自由遊び(東洋英和女学院小学部)

第34号 2006/03/09(Thu)
齋藤 洋
行動観察:自由遊び(東洋英和女学院小学部)
※積木、フープ、木のままごと、輪投げ、マット、跳び箱みたいなお山、細長い板などいつもと同じものが用意されていた。

  • これからお友達と一緒に、好きなところで遊んで下さい。でも置いてあるふろしきや箸やタッパーは使わないで下さい。

 集団行動観察の課題には様々なものがありますが、最近の傾向として「自由遊び」がかなり多くなっていることに注目しています。
 以前は道具が限定されていたり、或いはルールのあるゲームであったり、また先生の指示がいろいろある場合など、ある程度の制約の中で遊ぶ課題が多かったのです。今でもそのような方法も少なくはないのですが、そのような課題があっても、さらに自由遊びも出題している学校が目立ちます。これは学校側が、一人一人の子どもの日常の様子をできる限りそのままの形で見てみたいという気持ちの表れだと思います。
 自由遊びのポイントを、3つだけあげておきましょう。
1.「何で遊ぶか、すぐに決める!」
 どの道具を使ってもかまいません。選んだ道具によって評価が違うということはありません。しかし道具によって、お友達が集まらなくて一人遊びになる場合や、逆に集まり過ぎて混乱を招く場合もあります。しかし子どものことですから、遊び道具を選ぶ段階では迷わないように良く言っておいた方がよいでしょう。ここで迷っているとなかなか活動が始められず、確実に評価が低くなります。自由遊びでは、最初に解決して欲しいことです。
2.「できるだけお友達と関わる!」
 難しいことですが、どの遊び道具を使うにしても、友達とも関わりを持って遊ぶ方が良いでしょう。道具が人数分ない時には譲り合いが必要ですが、待つことやお友達の活動を見ることがしっかりできる子なら、あえて順番を待たなければならない状況に飛び込むのも良い判断です。待たなくても自分の自由になる場面では、どうしても普段の遊びの様子にのめりこんでしまいます。すると周りへの配慮や工夫があまりできない状況になりやすいのです。
3.「自由の中にもルールを見出す!」
 ルールのあるゲームでは守るべきことが明確ですが、自由遊びでは日常的な家庭や幼稚園・保育園での躾等が、結局は見られます。特にみんなと遊ぶときの配慮は、人と人が関わる際の最も大切なルールです。でも子ども達はそれを意識の表面に登場させずに、「ついうっかり…」やってしまう場合がとても多いようです。上記の課題では、なぜか・・・置いてある中で、いくつかのものは使わないように・・・との指示があります。これは特別なルールを、「常に忘れず」そして「守れるか」を見ようとしていたと思われます。
 このようなお約束を常に意識して活動するためには、何よりも家庭生活の中で、常に守るべきポイントをしっかり確認していることが大切です。「親子や兄弟姉妹であっても、お互いに気持ちよく関わるためにはどうあるべきか?」ということです。その上に一緒に行う活動が成り立っているのです。
 ルールのあるゲームに多く取り組むのも大切なことです。その中で「ルールを守るから楽しいのだ」ということを知る必要はあるのです。

 子どもらしい行為に見えますが、やはり「おふざけ」はよくありません。おふざけの中にはルールを無視する、ワザと失敗するなどの要素があります。普段の生活の中でも、人の目を引こうとか、お友達の笑いを取ろうとする行為の根本には、自信の無さも感じます。楽しむ様子とおふざけの境界線ははっきりしないかもしれませんが、しっかり様子を見ていて度が過ぎる場合は、必ず注意するようにしましょう。

 小学校に入学後に、友達や先生と関われないようでは困ります。今学校側が一番不安に思っていることは、ペーパーの得点の高さ以上に、人間関係のとり方だと思われます。友達に限らず人と関わることの大切さと、人に対する配慮を、遊びや集団活動の中で体得していく必要があるでしょう。

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