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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

数:数の多少 (暁星小学校)

第32号 2006/02/23(Thu)
齋藤 洋
数:数の多少 (暁星)
下に5種類の動物がたくさんいる。
その中で2番目に多いものを調べて、上に並んでいる動物の顔にをつける。

「数の多少」の問題は、数領域の問題の中で最も多く出題されているものです。そして他の数の考え方との複合になる場合も多いので、確実に力を養っておかなければなりません。
 しかしこの暁星の問題は、その中でも基本の部類に入るもので、1枚のペーパーに1問だけの出題でした。特に思考力を必要とするものではありません。問題の難易度が暁星にしては低く感じられるでしょう。しかしペーパー全面に動物がびっしり描かれていました。
 「時間が短くて、合っているかどうか分からない」と、情けない感想を漏らしていた子が多くいました。
 数える時間が短いということだけが原因なのではないでしょう。子どもは、簡単そうに思って数え始めるのでしょうが、数える種類が5種類もあるので、数えている内にどれがいくつあるか不安になり、数え直しをしなければならなくなるのです。

 1つの種類が最低でも「4」以上はあると思います。とすると、その他のものが1つずつ多くなっていくとして、5・6・7・8個描かれているならば、全部で少なくとも30個以上の絵があることになります。もちろんきれいに並んで描かれてはいませんから、それぞれしっかり数えて確認しなければならないと思ったのでしょうが、それでよかったのでしょうか?

 普通に考えると、2番目に多いものが問題になっているので、明らかに少ないものは数えなくても大丈夫なのです。しかし違う種類でも、同じ大きさのものがばらばらに、それも30個以上あったので、あまりにも多すぎて、どれが少ないかをチェックする余裕などなくなってしまったのです。つまり多少判断の基本がしっかり身についていなかったのでしょう。
 これが多少判断の重要ポイントです。まずは「数の多少」のいろいろなタイプを挙げてみましょう。

  • 2種類を比べて多い(少ない)方にをつける。(多少判断)
  • 2種類を比べて、数の違いはいくつかを描く。(求差)
  • 2種類を比べて多い(少ない)方に、多い(少ない)数だけを描く。(多少判断と求差)
  • あるものより、個多い(少ない)ものを選びをつける(多少と同数発見)

 どの問題についても共通しているポイントがあります。それが次の点です。

多い少ないの判断は、まずは直感が大切である。

 どちらが多いか(少ないか)の多少判断だけの場合、律儀に一つずつ数えていく必要はありません。大まかには直感で判断できる力も大切です。明らかに分かっているのに数える子もいるのですが、もし心配ならばをつけた上で確認しても良いのです。
 この直感的な判断は、差を求めなければならない問題でも必要になります。差を求めるときは、まず少ない方を判断してからそれを数え、多い方を少ない方にあった数まで数えていきます。余った数がその差です。これが「一対一対応」の応用的な作業方法です。
 指定された数だけ多い(少ない)ものを探す場合も、まず見当をつけなければなりません。明らかに少な過ぎたり、多すぎるもの、或いは同じ数だと思われるものは除外して、答えに近そうなものを確認する方法が採れるのが良いのです。大人が行うのと同じです。

 上記の暁星の問題も、この方法が身についていれば全く問題なかったと思われます。ひとりでとっくんの「数の多い少ない」をやる時にも、ただ答えが合っていれば良しとするのではなく、その方法をしっかりチェックしてあげて下さい。

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