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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

数:数の分配(聖心女子学院初等科)

第31号 2006/02/16(Thu)
齋藤 洋
数:数の分配(聖心女子学院初等科)
  • お母さんが1つの大きなケーキを8個に分けました。
    花子さんに3個あげて、健太君にいくつかあげたら、1個だけ余りました。健太君はいくつもらいましたか? その数だけ健太君のお皿に青いクーピーで△を描いて下さい。

 「数の増減」の問題と考えてもよい問題ですが、この学校は量や数の分配をよく出題しているので、その流れの中にある問題だとしてみました。
 この問題には3つの難しさがあります。それは次の点です。

  • ケーキを切り分けるという、量の分割のイメージがあるため、単純に数だけを意識できない場合がある。
  • 数の問題として意識できても、2回の変化がある。
  • さらに逆思考の考え方ができなければならない。

 量の分割のイメージというのは、問題の聞き取り段階の問題と考えてよいでしょう。それほど難しいものではありませんが、量の分割と数の分配を複合した問題であることは確かです。ですから「お母さんが1つの大きなケーキを8個に分けました。」という文章を聞いた時に、8個にナイフで切り分けているイメージができれば、数の思考方法に進むことができるのですが、それがイメージとして頭に浮かばないと、かなり難しい印象になるのです。
 ケーキは初め1つとあるため、そこにこだわってしまう場合があります。またいい加減に聞いていて、1つと8個で9個になったなどいう勘違いもあるのです。
 今、この問題文を気をつけて読んでいらっしゃるお母様、お父様は、まさかと思われるかもしれませんが、入試会場で突然この問題を、絵がなく、耳で聞くだけだった子ども達には起こりうる間違いです。この問題は、2003年度聖心入試の一番初めの問題だったのです。

 次の2回の変化については、その変化の順序をしっかりとらえなければなりません。分かるところを明らかにしていくことで、問題となっているところをしっかり意識することが大切です。

  • 8個のケーキから、花子さんが3個取る。
  • その残りの中から、健太君がいくつか取ると1個余る。

 式を立てるように、順番の考え方を持ち込むと分かり易いでしょう。花子さんがもらった段階で、残っているのは5個であるということが明らかになります。もう8個のことは考えなくてもよいのです。

 そして下の部分が、逆思考の考え方が必要な部分です。この問題は増減の問題とした時、単純に元の数から増えたり、減ったりしているわけではありません。子ども向きではありませんが次のような式になります。子どもはこの順番を感じとってくれればよいのです。

5 - = 1

 この部分を解く力は、数の構成の学習をしっかりやっていれば、十分身についているはずです。
 聞き取る段階で、その場面のイメージができること、そしてその問題の順序性をつかみ取ることができることは、小学生の算数で「式を立てる力」に直接つながっている重要な能力です。フラッシュカードでパターン練習をしたり、百マス計算をしたりしてもこの力を養うことはできません。生活場面での数の問題を、しっかり意識して考え続けることが、何よりも大切な学習のはずです。

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