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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

図形:折り紙の線対称(成蹊小学校)

第28号 2006/01/26(Thu)
齋藤 洋
図形:折り紙の線対称(成蹊小学校)
左のお部屋の折り紙を、線のところで切って穴を空け、開くとどんな形ができるか、右の4つの形の中から選んでをつける。形が回っていることもある。

※折り方は、長方形に2つ折・直角二等辺三角形に2つ折・正方形に4つ折り

 「折り紙の線対称」は、よく出題されている問題です。上記の成蹊の問題は、その中でも最高難度の問題ですので、まずは基本レベルの問題について、その考え方をお伝えします。


  1. 折り紙を長方形2つ折りにし、折った部分を図1のように半円に切り取ります。これを開くと先ほどは見えていなかった裏側にも同じ半円が切り取られています。切り取ったものは折った部分でつながっているため、穴の方も同様につながり、半円が向かい合わせにつながった円になります。
  2. 1. と同じに、折り紙を長方形2つ折りにしたものの、折った部分の反対側(外側)を図2のように半円に切り取ります。今度は切り取った半円はつながっていないため、半円の穴の方も折り紙の両側に分かれてしまいます。

 以上が最も基本となる考え方で、このまま入試にも出題されているものです。1. のような切り方が見本として描かれており、選択肢には1・2の開いた状態や、半円一つだけのもの、位置がずれているもの、全く違う形の穴などが用意されている形です。
 大切なポイントは次の2点です。

 「切り取ったのは1つの形なのに、開くと形が2つあるということ」
 「その形がつながって一つになる場合と、分かれて2つできてしまう場合があること」

 長方形に2つ折りにしたものと、三角形に2つ折りにしたものは、考え方は全く同じですから難易度は同じように思えるのですが、実際は三角形に折った場合の方が難しくなります。見本の向きやきり方にもよるのですが、正方形の折り紙を斜めに折るため、その対角線を中心線としての線対称が幼児にはイメージしにくいためだと思われます。

 折り紙を正方形に4つ折りにしたものは、長方形に2つ折りにしたものの応用です。しかし極端に難しい印象になります。それは次の理由によります。
 4つ折りにした小さな正方形では、折ってある辺が2箇所あります。この辺に対してそれぞれ線対称になります。左右に同じ形ができるだけでなく、上下にも同じ形ができるのです。そのことだけでも十分に難しいことです。
 さらに、部分を切り取り折り紙を開いた時にできる穴の位置が問題になります。
 開いた時に中心になるのは、折ってある2箇所の辺で作られる角です。(図3)この位置は重要です。切り取る形が4つ折りにしたどの場所であっても、開いた時に同時に4つできています。でもその穴のでき方は次の3種類もあります。

 4つの形が中心でつながり1つになる場合
 2つずつくっついて2箇所に分散する場合
 4つとも離れてしまう場合

 つまり、小さく正方形に折った折り紙の向きを正確に判断できなければ、穴の位置を正確に特定することはできないのです。

 成蹊の問題はさらに、選択肢は回転しているものがあるとあります。全部で12問程度はあったはずですから、たぶんその半分位は同じ向きで出題してくれていると思いますが、残り半分は1問解くのにかなりの時間を要したはずです。解ければの話ですが、合格者の中にも「全部は間に合わなかった!」という報告がありました。このことを考えると、できる問題では絶対にミスをしないことがいかに大切かが分かります。

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