ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

位置の対応(立教女学院小学校)

第26号 2006/01/01(Sun)
齋藤 洋
位置の対応(立教女学院小学校)
  • 方眼上に描かれた形をそのまま2つの方眼に描き写す。2つの方眼は右と下にある。
※方眼の大きさは同じものと違うものがある。

 「位置の対応」は、位置表象の領域の中では基本問題です。見本の方眼上の位置を見ながら、その同じ位置をその通りに再現します。記憶で出題される場合もあります。

 方眼を使う場合がほとんどです。時々マス目はあるのですが、全体の輪郭は円であったり、別の形のこともあります。今回紹介する立教女学院の問題は、正方形の方眼を使用しているのですが、そのサイズが違うものがありました。これだけで子どもにはかなり難しい問題に感じるのです。

 描く印の形が、正方形と菱形や、×と+のように、少しでも斜めに描くと気になるという場合もありますが、そのことは位置の対応で求められている子どもの力ではありません。重要なのは、対応する位置そのものの判断です。さらにその判断は早いことが求められています。
 ですから入試に出題される「位置の対応」の問題は、できるかできないかのぎりぎりのところで作られていると考えられます。その方法としてマス目の数が多くなればそれだけ難易度が上がります。また描かれている印の、種類と数が多くなればなるほど難しくなります。それに対応するためには、一列ずつ順番に見ていく方法を取る必要があります。

 入試対策初期の子どもであっても、言われなくても一列ずつやっていく子がいます。しかし多くは、目についた形からランダムに取り組むために、描き忘れをすることになります。それだけではありません。位置そのものを間違える場合が多いのです。
 一列ずつ対応させていく場合、見るスペースが限られるために、位置のミスをするのが防げます。また2列目、3列目に進んでいく時に、すでに描いた形との位置関係でも正確な位置を判断できます。描き忘れも少なく、正確な位置をとらえることができる訳です。
 さらに列をたどっていくために、残りの量を何となく感じつつ作業を進めることができるため、集中力も持続できるという利点があります。この集中力については難易度が高くなればなるほど重要なポイントになります。

 上記の問題は、子ども達から聞き取っている時にはかなり難しい印象でした。方眼のマス目も多かったからでしょう。それ以上に拡大された方眼が大問題だったようです。

 まず全体が大きいので、子どもには違う方眼に見えるのです。それが根本的な不安を与えます。それもあって、目についた形からいろいろな位置に描いていく方法だと、描いた形どうしの位置関係が同じに見えません。距離が離れてしまうからです。かといって同じ距離に描くとマス目が違ってしまうのです。
 マス目一つ一つの位置は、全体像に対しての位置関係ですから、前述のように一列ずつ見ていく方法を取れば良いのですが、それでもそれぞれの形の位置関係は同様に広がっているので、部分にこだわると心配にはなるでしょう。

 ここで重要になるのが、「位置の系列」についての理解です。
 「位置の対応」自体は、例えば「上から何番目」という言い方を知らなくてもできるものです。しかし全体像が変化したりした場合に頼りになるのは、「端から何番目の位置なのか」という「位置の系列」が分かっているかどうかなのです。このことが身についていると、大きさが変化していても、まず一列目をしっかり系列でとらえることができれば、次の列もその方法で判断できます。たぶん次の列からは描いた形との、マス目による関係性だけでも描き続けることができるはずです。
 「ひとりでとっくん 位置の対応」などを使って、この方法を大切に取り組んでみて下さい。

 さらに発展すると、見本の方眼と描く方の方眼の向きが違うものになります。一般的には「回転推理」と言われています。幼児にとっては最も難しい問題ですが、最近の入試では目にするようになりました。向きが違っても、形どうしの位置関係で位置の対応をさせていくことは可能なのです。「ひとりでとっくん 回転位置移動」がその問題を集めたものですが、年長の夏前頃から取り組んでみて下さい。

PAGE TOP