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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

図形:積み木構成(早稲田実業学校初等科)

第25号 2005/12/22(Thu)
齋藤 洋
図形:積み木構成(早稲田実業学校初等科)
  • 一面だけが赤く塗られている、立方体積み木を7個(~9個)使用し、先生が見せるお手本の通りに作る。

 積み木構成の問題は、多くの学校で出題しています。早稲田の問題のように、個別テストで見本通りに積み木を積む問題や、ペーパーテストの中で、「積まれている積み木にどんな積み木が使われているか? 使われていない積み木は何か?」というものもあります。

 今回扱っている早稲田の問題は、一般的な積み木構成の問題ではありません。使用している7個~9個の積み木は、どれもその一面だけが赤いのです。
 積み木の数を7個~9個としているのは、受験した子どもの月齢によって、積み木の数が変えられていたからです。一人の子どもに与えられる見本の課題は1問です。つまり月齢の低い子どもには7個の課題だったということです。

 立方体積み木はサイコロ状ですから、8個で大きな立方体を作ることができます。立方体8個は積み木構成の基本ですから、8個前後を使った見本構成ならばほとんどの受験生はすぐにできてしまうでしょう。早稲田でも上記の問題が出される以前は、無色の立方体積み木での見本構成を出していましたが、こぐま会から受験したどの子も完璧に対応していました。ほとんどの子ができてしまうのではテストになりませんから、学校側としては若干負荷を高めようとしたのでしょう。
 しかしその負荷は若干ではありませんでした。ただ1面が赤いだけでかなりの難問になっています。

 先生が見せるお手本は、早稲田では実際に先生が積んだものです。赤い面のことを考えなければ、その通りに構成するのは容易いでしょう。しかし赤い面も同じにしなければなりません。子どもから見えている側の赤い面を同じにするのでも、一つ一つの積み木の向きに配慮しつつ積んでいくことになります。これだけでもただ積み上げるのに比べるとかなり時間がかかります。
 さらに見えている側だけでなく、見えない方も確認しなければなりません。推理するわけではありません。乗り出して覗いても構いません。しかし乗り出して確認しても自分の位置に戻るとその位置関係がまた不安になります。

 この問題はもちろん立体構成の力を中心に、次の4つの要素をより深く求めている難問と言えます。

  1. 積み木の構成力
  2. 四方からの観察(空間認識)
  3. 位置の対応
  4. 記憶力

 1. は見本の全体像をつかみ構成する力です。向こう側が見えなくても積み木の高さでその下にある積み木を意識することはできます。
 2. は、いろいろな方向から見たときの見え方が違うことが意識できること、そしてその見え方を判断する力です。今回の問題では、見えている状態でそれを推理するのではなく、見えない部分がどうなっているのかを探らなければならないことの理解です。
 3. は同じ位置関係を判断する力です。方眼上の同じ位置に対応させて印を描く問題がありますが、平面の場合でも回転した場合の同じ位置などもあります。積木構成でも同じ位置に同じ積み木という対応の仕方をするのですが、早稲田の問題ではさらに、立体的な形の中の、それぞれの赤い面の位置まで対応させるのでより高度なのです。
 4. の記憶力は、裏側を見て確認した位置を、再現するときには記憶していなければならないから必要な力です。

 このように立体構成の問題には、ちょっとした工夫で様々な要素を入れ込むことができます。また難易度を調整することもできるのです。入試対策として子のような工夫を家庭学習に取り入れること、「Shopこぐま」のさまざまな積み木教材はもちろん、変わった積み木があればぜひ利用してみて下さい。

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