週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」常識:季節(立教女学院小学校)
第23号 2005/12/08(Thu)
齋藤 洋
齋藤 洋
- 常識:季節(立教女学院小学校)
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- 縦に4つずつ3列ならんでいるもので、それぞれの季節のものを線結びする。
紅葉 - 柿 - お月見
ひまわり- セミ - 団扇とカキ氷
お雛様 - 桜 - 蛙
コマ - 鏡餅 - 雪だるま
- 縦に4つずつ3列ならんでいるもので、それぞれの季節のものを線結びする。

季節の常識なんてものは簡単そうに思われるでしょうが、幼児にとってはかなり難しいものです。その一番の理由は、年長児の幼児でも季節の様々な事象に意識して関わった経験は、1~2年間程しかないからです。
入試対策のために一生懸命、記憶カードや「ひとりでとっくん」に取り組んでやっとものになるかどうかです。漫然と会話の中に季節を織り込んだところで、子どもには定着はしてくれません。このことは念頭に置いておかなければなりません。
さて上記の問題で学校側が求めているのは、「季節の常識」とは言っても常識とはいえないものも含まれているように思われます。
例えば、団扇(うちわ)とカキ氷を知らない子や、蛙が春に出てくる生き物であることや、コマ遊びがお正月と結びつく認識が無い子もいるのです。そしてそれは、自然に理解できることではないことも確かです。
ではこの問題は、子どもの現状を知らない学校側の無知によるものなのでしょうか? それともそれだけの学習を積まなければ合格させないという意味なのでしょうか?
この問題の意図は、別のところにあるようです。
生きている時代により、また子どもの育つ環境により常識は変わります。しかし幼児の場合、その常識を知る機会というのは、周囲の大人からの情報しかありません。幼稚園や保育園の先生もその情報源にはなるはずですが、幼稚園や保育園の指導は、園により担任教諭により大きく違うことは学校側も知っています。ですから、常識課題については季節の問題に限らず、明らかに「ご両親の子どもへの関わり方」を見ようとしているのです。
ご両親が子育てをしていく中で、まず子どもに伝えることができることは、日常的な様々な現象についてでしょう。その関わりをしっかり家庭の中で持っているかどうかは、子どもの成長過程の中で、幼児期はもちろん小学生として入学後もとても重要なことなのです。学校側はまさにそれを求めていると思われます。入学後も。ですから子どもの入試の中で、行動観察を含め、親の関わり方を見る問題が必ずあるのです。
常識問題は、その一つです。
その関わりの中で伝えていく常識は、ご両親の世代・時代の常識で構わないのです。子どもは親から伝えられた常識を、成長していく過程の中で自分の時代の常識と照らし合わせて理解していくことになります。我々がしてきたと同じようにです。
カード教材や問題集を利用することも大切です。それ以上にお母様・お父様がご自身の親から伝えられたことや経験を、ぜひ機会あるごとに語りかけてあげて下さい。