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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

未測量:長さの構成(桐朋学園小学校)

第22号 2005/12/01(Thu)
齋藤 洋
未測量:長さの構成(桐朋学園小学校)
※2種類の長さの違う棒がたくさん用意されている。

ペーパー上に描かれたいくつかの棒状の細長い枠に、ぴったり合うように棒を組み合わせて下さい。

※棒は2本~4本使用する。

 この問題は、以前に桐朋学園の兄弟校である、仙川の桐朋小学校でも似た形で出題されたことがあります。「基本図形パズルの構成」と同じように、棒を使った「長さの構成」をする問題です。
 この問題で学校側求めているのは、量(長さ)の相対的な見方が身についているかどうかです。
 例えば、まず1本目の長い棒を当てはめてみます。次に残っているスペースに対して、長い棒か短い棒のどちらが適当か相対的に考えます。長い棒で2本目をつないだ時、全体の長さより長ければ、2本目を短い棒に換えます。それでも全体が長くなってしまう場合は、どこに問題があるのでしょうか? そうです。1本目も短い棒に換えなければなりません。一見瞬時に分かりそうな構成ですが、実は常に相対的に判断しているのです。
 短い棒を先に使って、もし与えられた長さに足りない場合は、逆に長い棒に換えます。

 図形構成を行う場合は大きい形から構成していくのが基本になりますが、この問題のように、長さだけの構成ではケースバイケースです。しかし使用する本数が多くなってきたらやはり長い棒を先に使った方がよいでしょう。実は桐朋学園ではこの問題後に、ここで使った2種類の棒をB5サイズ1面の大きな図形の輪郭に構成する問題も出題していたのです。つまり上記の問題は練習問題にもなっていたのでしょう。

 2本の棒を使用する場合の組み合わせは、次の3種類です。そしてこの組み合わせでできる長さも3種類になります。

 長い+長い  短い+長い  短い+短い

 同様に3本・4本の棒を使用する場合の組み合わせも考えてみると、それほど難しいものではないことが分かります。しかし当初子どもは、うまくいかない時には全部初めからやり直したり、また失敗した同じ組み合わせ方法を何度も繰り返したりします。まだ相対的な見方が身についていない子どもにはよく見られる様子です。
 「相対的なもののとらえ方」というのは、今後の発達に欠かせない土台になります。ですからこの試行錯誤の中で、より的確な方法を、より早く見つける方法を獲得してほしいものです。

 桐朋学園はペーパーテストを行いません。しかし個別テストではないので、たくさんいる先生方が一人一人の子ども達の様子をチェックしていきます。仙川の桐朋小学校では、ペーパーテストの中でペーパー上に描かれた棒の上に構成させていました。ペーパー上にそのまま棒を乗せておくことはできません。ですからやはり採点方法は、周りにいるたくさんの先生方が何人かの子どもを同時にチェックしたはずです。
 どちらの学校も、完成した数が多いことと完成度が高いに越したことはありませんが、このような方法を採っていることからすると、構成していく子どもの様子も、その観点にはなっていると思われます。
 その様子として望ましいのは、棒の全体の長さが長すぎたり短すぎたりした時に、その中の1本についての長さを他の棒と比較し、部分修正をしていくことができるかどうかです。

 過去の相対化の出題を調べてみると、桐朋学園小学校や桐朋小学校は極めて多く出題しており、その他の学校ではたまに出題される程度です。しかし図形構成や数の多少等の問題の中に、その考え方は盛り込まれている場合が多いので要注意です。こぐま会の授業方針にあるように、具体物を使った実際的な学習を積み、確かなもののとらえ方を身につけて下さい。その力が必ず役に立つはずです。

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