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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

数:数の合成(早稲田実業学校初等科)

第20号 2005/11/10(Thu)
齋藤 洋
■ 数:数の合成(早稲田実業学校初等科)
※ジャンケンのグー・チョキ・パーがいくつか描かれている絵を見ながら行う。
  1. このジャンケンの手で、曲がっている指はいくつあるか、その数だけマスの中にを描いて下さい。

 単純な問題のように感じられると思います。確かに特に難しいところのない問題なのですが、この問題の出し方に、学校側の出題意図が見えています。

 ジャンケンの手ですから、子ども達の多くは、まずジャンケンの勝ち負けをイメージすると思います。しかし問題を聞いて見ると、これは数の問題でした。
 さらに数を合成するとしたら、普通は今目に見えている、指の数の方を意識するでしょう。しかしここでは曲がっている指、つまり折られている指の方についてでした。数えにくい方の指でもあります。
 グーは5本、チョキは3本、パーは0本の指が折られていますので、0を足すという子どもにとっては、「あれっ?」と思われる要素も含まれています。簡単そうに見えて、いろいろ考えさせられる問題なのです。

 この問題では、ペーパーを見た時に、子どもがすぐに気づくことや、簡単に感じるものを絵にしています。しかし問題はそこには無く、別の観点で出題しているのです。従って、発問をしっかり聞かなければ、問題の意図がつかめません。

 これは、この問題にだけ表れていることではありません。また早稲田だけの入試の特徴ということでもありません。どの学校についても見ることのできる、最近の入試傾向です。どの学校も、特に東京圏の難関校と呼ばれている学校は、絵と問題の組み合わせに、かなりの工夫をするようになりました。
 求められているのは、実は単純な問題を、単調な学習経験を積むことで、驚くようなスピードでやりこなす力ではありません。小学生にできないような複雑な問題を解くテクニックでもありません。
 与えられた問題の中にある様々な要素を感じ取り、口頭やテープでの発問の意図をしっかり理解し判断できる力が必要です。

 ある時期、基本問題を繰り返しやり、その原理を身につけることは大切です。しかしいつまでもそればかりでは、ただその問題のパターンを知ることでしかありません。
 もっと大切なのは、ある程度原理を知ることが出来たら、観点を変え、いろいろな角度で確認することができる力を養うことです。
 こぐま会の問題集を利用される場合にも、まずは用意されている設問通りに取り組んでいただきたいのですが、時間を置いて次に取り組む際に、いろいろな工夫をしていただくことをお勧めいたします。

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