週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」音による計数(立教女学院小学校)
第19号 2005/11/03(Thu)
齋藤 洋
齋藤 洋
- 音による計数(立教女学院小学校)
- ※太鼓・トライアングル・タンバリンの音をテープで聞く。
これから楽器の音を聞いてもらいます。それぞれの楽器の音の数を数えて、その数だけペーパーのその楽器のお部屋に、聞こえた数だけを描いて下さい。

音は絵に比べて格段に難しいものになります。ですからその数の大きさは、「10」を超えることはなく、一桁がほとんどです。しかし一桁でも十分に難しいのです。
描かれているものを数える場合は、印をつけて数えることもできますし、見直しも可能です。しかし音の場合は、鳴った瞬間に消えてしまいます。ですからその音が聞こえている、その時にしか数えることができません。つまり高い集中力が必要なのです。
音を数えていく時は、音が一つ鳴るたびに「1・2・3・・・」と数えていくわけですが、音がいつ鳴るか分からないので、音と音の間隔によってはついていけなかったり、逆に遅すぎてリズムが合わない場合もあるのです。
さらに音と数えるリズムがぴったり合っていくと、今度は調子よく数えていき、音が鳴り終わってもそのまま数を唱えていってしまうということも起こります。7回のはずが、8・9回になってしまうのです。自分でも数え過ぎたことは分かるのですが、どこで終わったか、そこまで戻れることはほとんどないでしょう。
楽器によるリズムの違いも重要です。タンバリンとトライアングルの音の間隔はまったく違いますから、音が鳴るのにしっかり合わせて数える必要があります。基本的には、聞こえる音のリズムは一定で、例えばカスタネットならば「タン・タン・タン・・・」という感じです。しかし時には、「タン・タ・タ・タン・タン・タ・タ・タン」のように、変化をつけたリズムを数える場合もあります。数え方もリズムに合わせなければなりません。
「数える」は、数の学習の基本です。ただ数を唱えるだけでなく、いろいろなものをしっかり一つずつ対応させて数える経験を積むしかありません。数える対象は、指手で触れる具体物、絵、遠くにあるもの、音や記憶の中にある見えないものまで。そしてそれらのものを数える時には、「数える必然性」を子どもに与えることも忘れないで下さい。数えた先には、「多い―少ない」「足りない―余る」が必ずあり、だからこそ数える必要があるのです。