週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」数:一対多対応と合成(成城学園初等学校)
第12号 2005/09/15(Thu)
齋藤 洋
齋藤 洋
- 数:一対多対応と合成(成城学園初等学校)
- ※玄関の靴と玄関のすぐ外側、そしてお庭が描いてある絵がある。玄関には靴が4足(8個)ある。玄関の外に一人、お庭に3人の子どもがいる。
・全部で何人の子がいるか、オハジキを並べて下さい。

上記の文章としての書き方では、「靴が4足」としてあるので、家の中には4人いるように表現してしまっています。しかし子ども達が目にしていたのは、バラバラに玄関にある8個の靴です。
この時に子ども達は、明らかに目に見えている、玄関のすぐ外にいる子どもと、お庭の子どもから数えていくはずです。
ミスの一つ目は、この見えている人数を数えて終わりにしてしまうケースです。答は4人です。玄関の靴から、お家の中にいる子がいることを推測できなかったミスです。靴の数による人数の問題の経験が少ない場合に起こりうるものです。
ミスの2つ目は、靴の数を1個ずつ人数に加えてしまうものです。答は12人になります。慌てて数え始め、ついうっかり外の人数に続けて数えていってしまうケースです。数え始めると少ない数ではないので、一所懸命になって、気がつかないままになってしまうのです。
ミスの3つ目は、逆に靴にだけ目が行ってしまい、問題を「お家の中にいる人は何人ですか?」と思い込んでしまうケースです。答は4人になります。
これは、ただ単純な「計数」の問題ではなく、「靴の数による一対二対応と、数の合成」として、問題を解くための「思考の順序性」を見ようとしている問題です。
まず聞き取りの段階で、「家の中・玄関のすぐ外・庭の3箇所に子どもがいる」ことを、「全部で何人…」の部分から推測することができなければなりません。そして、まず家の中の子どもについて、靴の数から判断することを始めます。8個の靴から4人いることが分かれば、次に外にいる人数(1+3)を加えれば良いわけです。答は8人です。
お分かりのように、その解法の手順は、目に見えている子から数え始めてしまうのと、逆の順序になります。
数の複合問題は、大人にとっては何でもない問題なのですが、子どものうっかりを誘う部分が必ずあります。それを克服していくために、数の操作についての基本をしっかり押さえるとともに、状況の判断をしっかりできるように、実際の場面を使った学習を積み重ねることが大切です。