週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」記憶:触索(学習院初等科・成城学園初等学校)
第9号 2005/08/18(Thu)
齋藤 洋
齋藤 洋
- 記憶:触索(2005年度 学習院初等科)
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- 中が見えない箱の中に手を入れて、中に入っているものを触る。その後、どんなものが入っていたのか5本の紐の中から選ぶ。
- 箱の中に手を入れて、蓋の無い入れ物を触る。その後、その入れ物に合う蓋を、6つの実物の中から選ぶ。
- ■ 記憶:秘密袋(触索活動)(2005年度 成城学園初等学校)
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両側に穴の開いている箱に両手を入れ、中に入っているものをよく触る。次の部屋で、前の部屋で触ったものと同じだと思うものを、8個くらいのものの中から選ぶ。
※ミカン・リンゴ・ナシ・モモ・レモン・スイカ・ブドウ・メロン 答えは梨
学習院や成城学園に限らず、個別テストを中心にしている学校、またペーパーテストと個別テストを併用している学校では、このような問題が良く出題されます。こぐま会ではこのタイプの問題を「触索」の問題と呼んでいます。問題をご覧になってお分かりのように、具体物を目で見て判断するのではなく、手で触ることだけで判断するというものです。その判断は、具体物の次のような特徴についてです。
・形 ・大きさ ・長さ ・重さ ・固さ ・表面の感触 ・暖かさ
上記の学習院では、1問目で紐の長さと感触について、2問目で箱の部分的な形状についてを問題にしています。成城では、形と感触から具体物そのものが何であるかについてを問題にしています。いずれも触ってみた感触から、それと同じものをいくつか用意されたものの中から選ぶ方法です。
しかし過去の入試問題を分析してみると、上記2校の問題よりも、言語の問題に発展させているものが多く見られます。やはり目で見ることなく、手でしっかり触ってみた感じを、言葉で表現するという方法です。その場合は、明らかに何が入っているか分かるようなものではなく、具体的なもののイメージが沸かない物を使うことが多いようです。そのこともあって、選択肢から選ぶよりもより高度になります。
これらの問題の重要な点は、手だけを使うという特殊性ではありません。次に挙げることを目標に、ぜひ家庭学習に取り入れることをお勧めいたします。
- 微妙な形、大きさ、長さ、重さ、固さ、表面の感触、暖かさ等の差を感じ取る
- それを言い表す言葉、さらに比較する言葉を身につける
- 頭の中でイメージ化する力を養う
- 集中を持続する力を養う
ゲームのような感じで、楽しくイメージを膨らませ、言葉を思い切り使っていきましょう。さらに触ったものを紙に描いてみる方法にも挑戦してみましょう。実際の入試でも、描かせる方法を採った学校があります。