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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

推理:指示作業(桐朋学園小学校)

第7号 2005/07/14(Thu)
齋藤 洋
推理:指示作業(2005年度 桐朋学園)
がたくさん三角の枠の中に並んでいる。その中の3箇所に3色のシールが貼ってある。他の空いている場所すべてに、3色のシールを隣同士が同じ色にならないように貼っていく。

 かなり難しい判断力の問題です。自分で隣同士を同じにしてしまうミスをするようでは困ります。少なくとも必ず貼った次の色は、別の色を選ばなければなりません。

 まずどこか予め貼ってある、1つの場所の周りからシールを貼り始めます。しかし予め貼ってあるシールの周りから、違う色を貼り始めたとしても、別のすでに貼ってあるシールに近づいていく時に、どうしても同じ色が隣同士になってしまう場合があります。予めそのことを調べなければならないのです。


 もし貼っていく中で、失敗をしてしまったならば、すぐに貼り直せばよいと思われるかもしれませんが、その近くを貼り直すだけでは済みません。今まで貼ったものを、全てはがさなければならないのです。その理由を解説しましょう。


 貼るシールの色が、赤・青・黄の3色だとしましょう。

 三角形に並んでいるは、頂点から下に行くに従い、が1つ、が2つ、が3つ…というように1つずつ増えていくように並んでいます。その中のある場所に予め貼ってあるのが、赤いシールだったとします。

 その赤いシールが貼ってある場所の周りには、左右に1つずつ、上下には斜め方向に2つずつのがあり、全部で6個のに、六角形に囲まれていることになります。この6個全てが中心の赤いシールの貼ってあるの隣になります。ですからこの6個のには、赤いシールは貼れません。とすると、青か黄色になります。また、6個それぞれも隣同士に並んでいるので、青と黄色は交互に貼ることになります。やり始めるとすぐにこのことに気がつくはずです。そしてその調子で進めていくと、自分で貼った6個のシールそれぞれについて、今と同じ原理で、別の2色を交互に貼っていくことになります。その先に、また予め貼られた別の色のシール、例えば青が待っているのです。

 待っている青の位置は、ランダムに用意されているのではなく、必ず青か別の1色になるようになっているはずです。もしその青の隣に青を貼らざるをえない場合は、一番初めに赤の周りに貼り始めた、青と黄色の位置が逆でなければならないのです。もし途中で失敗に気がついて、はがしてからやったとしても、制限時間内で完成できる可能性は低いでしょう。


 確かに、何も考えずにやっていっても、うまくいく確率は、この初めの青と黄色の位置だけのことなので50%です。たまたま初めのシールの色が合っていれば、自分で隣を同じ色にしない限り、後は問題なく完成してしまいます。しかしこの問題は、論理的に予測を行うために、とても良い、そして単純な問題です。利用したいものです。

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