週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」位置表象:前後関係(聖心女子学院初等科)
第4号 2005/06/02(Thu)
齋藤 洋
齋藤 洋
- 位置表象:前後関係(2005年度 聖心)
- 8匹のネズミのかけっこです。前から3番目がネズミの花子さんです。花子さんはその後2匹のネズミに抜かされましたが、その後、1匹に追いつきました。花子さんは今どこにいますか。青いクーピーでをつけて下さい。

花子さんはリボンをつけていたそうです。ペーパーに描かれた花子さんは移動しませんから、いつも前から3番目にいます。しかし、問題に取り組む子どもたちは、見えてはいない花子さんの位置の変化を、頭の中でイメージしていかなければなりません。前から3番目の花子さんにこだわっていては、この問題は解けないのです。
このように、変化をイメージする力は、とても高度なものです。小学高学年の算数の問題に、抜かれたり抜いたりして、結局何位になったかという、似たような問題があるのはご存知でしょう。しかし幼児にできない問題ではありません。必要なのは、順序を追って考えていく力です。
子どもはこの絵をどのようにとらえる必要があったのでしょうか。それは次の点です。
- ペーパーに描かれているのは、お話の初めの絵(かけっこの初めの場面)であること。
- お話が進むに従い、花子さんの場所は変化するということ。
- その位置は、描いてあるネズミの位置だけでなく、それぞれの間も大切であるということ。
← ◎ ×
黒丸、◎二重丸、白丸が、矢印方向に走っているネズミです。×は、ネズミとネズミの間です。
図のように、初め、黒丸の位置にいた花子さんは、2匹に抜かれましたから、×の位置になります。そして次に、1匹に追いついたので、◎二重丸のネズミと同じ位置になります。ですから答は、◎二重丸の位置のネズミに、青いをつければよいのです。
最後に「1匹に追いついた」とあるので、このような答になりますが、もし「追い抜いた」ならば、花子さんの位置は、◎二重丸とその前のの間になります。
家庭での学習の際にも、いろいろな実際の場面を想定して、考える経験を積んでいきましょう。お人形を使っても良いと思います。