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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

その他:常識問題(東洋英和女学院小学部・暁星小学校)

第3号 2005/05/19(Thu)
齋藤 洋
その他:常識問題(2005年度 東洋英和)
  • きちんと食べている人はどれかをつける。
    箸を机にトントンしている絵、片手を茶碗に添えないでご飯を食べている絵、
    きちんと箸を持って食べている絵、箸を頭においている絵
  • テーブルの上の食器の位置で、きちんと並べられている絵はどれかをつける。
  • お友達の玄関できちんと靴をそろえているのはどれですか。

その他:常識 (2005年度 暁星)
  • お箸を持つ手の形で正しいものにをつける。
  • 5人並んでいる人の中で、席を譲ってあげたほうがいい人にをつける。

 これらの問題は、明らかに、日常的なご家庭での躾を問題にしています。以前は、このような問題が出されることはほとんどありませんでしたが、最近少しずつ目にするようになりました。たぶんこれも、小学校入学後の子どもたちの様子から、学校側が幼児期の子どもの日常生活をチェックしたい気持ちになったのだと思われます。つまり、入学してきた子どもたちの、お昼の時間の様子や、登下校時の靴脱ぎの様子などに、目に余るものがあるのではないでしょうか?それにプラスして、我々の生活様式の変化も、そこに関係があります。日本の文化・伝統についての考え方です。例えば江戸時代ならば、大殿様のお膳にも、長屋のはっつあんのちゃぶ台にも、茶碗・お椀・箸は、同じように並んでいたはずです。でも今や大人の世界でも、ないがしろにされ始めています。忘れても困ることではありません。しかし、我々が存在している元となった、大切な日本の文化・伝統です。それを意識することが他の文化・伝統・風習をも理解することにつながるのです。

 また暁星の、席を譲ってあげたほうがいい人の問題は、やはり小学校入学後の子どもたちが、電車やバスの中でどのような行動をしているかを暗示しているように思われます。

 これらのことは、幼稚園や保育園でも当然話題にはなるはずです。しかし実際に子どもの身につけることができるのは、ご家庭でのご両親の、考え方と関わり方にあるように思われます。問題集のトレーニングばかりではなく、このようなことの大切さを子どもを囲むわれわれ大人が、しっかり認識していることが必要です。

 またただ言葉で言うだけではなく、機会あるごとに、しっかり子どもに意識させるようにしなければならないでしょう。そしてみんなで実際に行動することが大切です。頭で分かっているのは、「分かっているつもり」になる場合が多いのです。実際に働きかけることによって知ることは膨大です。その時に感じた、不安・動揺・喜び・満足といった感覚は、働きかけなければ味わえないものです。

 どの学校も、家庭でのご両親の子育てについて、いろいろと考えさせられることが多くなってきているのでしょう。少なくとも幼児期にしっかり子育てをしてきたご家庭の子どもを、学校に迎え入れたい。そしてそのような考え方のしっかりしたご家庭と、長くお付き合いしたいと願っていることは確かです。それは幼児期だけでなく、将来に渡って行われていく親子の関係だからです。

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