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週刊こぐま通信
「最新入試問題で求められているものは何か?」

図形:断面の形の理解(成城学園初等学校)

第2号 2005/04/28(Thu)
齋藤 洋
図形:断面の形の理解(2005年度 成城)
四角すいと円柱の積木が2つ立っている。横に切ると、切り口はどのようになっているか、ペーパーの描かれた6つの絵の中から、指でさして答える。

選択肢:円、直角二等辺三角形、正方形、ひし形、正三角形、星の形

 小学生の図形の問題に同じものがあります。子どもたちは、実際には切ることのできない、石膏でできた立体を目の前にして考えます。子どもがそのままの経験をしているはずはありません。しかし、お手伝いなどで野菜や果物を切る経験や、粘土を切る経験はあるはずでしょう。とすると、その経験を応用することで、この問題を解くことはできるはずです。

 重要なのは、日常生活の中でのそのような具体的な経験と、目の前の具体物が持っている、共通性・関係性に気がつくかどうかです。ペーパートレーニングだけで身につくものではありません。

 成城は個別テストの形態ですから、子どもが答えを選んだ時、どうしてそう思ったのかを、尋ねていると思われます。つまりこの問題は、ただ解答が合っていればよいのではなく、どうしてそうなるのか、子どもが考えた理由を重視している問題だと言えるでしょう。

円柱について
「上から見たら丸に見えるから、途中でいくら切っても、同じ形の丸にしかならないよ。だってそういう飴を食べたことあるもん。」
「ニンジンを横に切った時に、切ったところが丸くなったから。」
四角柱について
「テレビで、ピラミッドを作るところ見たから、四角になる。あっ真四角だ。」
「折り紙みたいな、大きさの違う真四角が、大きい順番に重なってできていると思う。」

 いずれも子どもらしい理由説明ですが、この考え方は、経験に基づいた確かな答えです。そしてすばらしい論理性の芽を含んでいます。幼児にできない説明でしょうか。経験していても、それを自分のものにできない場合もあると思います。それを可能にしていくのは、私たち子どもを取り巻く大人の役目でしょう。

 このような考え方から、我々は教室での授業に、できる限り具体物を使い、実際に体験することを大切にしてまいりました。またそこでは、「その答えを覚えておいて下さい。」ではなく、様々な言葉のやり取りが行われます。また授業の終わりには、「お家でも、もっといろいろ調べてみてね。お母さんにも頼んでおくからね。」と続いていくのです。

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