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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

創立24周年を迎えて

第99号 2007/04/13(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会は、4月11日で創立24周年を迎えました。1983年4月に4名のスタッフでスタートしたこぐま会も、今では80余名のスタッフを抱える組織に成長しました。教室での指導を中心に、正確な入試情報を伝えるための情報収集・出版活動や、家庭教育の充実を目指したオリジナル教具教材の製作販売も大事な仕事として継続しています。

 私自身の現場での指導は、この4月で36年目を迎えますが、この世界に飛び込んだ最大の理由は、幼児期における基礎教育をもっと充実したものにしなければ、日本の教育がだめになってしまうと感じたからにほかなりません。私自身の35年間の歩みと、こぐま会の25年間の歩みは、「教科前基礎教育」の中身を一つ一つ確立する歩みでもあったわけです。

 現在でも、週8~10こまの授業を受け持ち、現場での指導に身をおいて、子どもたちが物事をどのように考え、解決していくのかを観察しながら、新しいカリキュラムや適切な教具教材を考え続けています。こうした、現場での実践活動を踏まえ、「ひとりでとっくん」シリーズに代表される教材や、年間42週の「KUNOメソッド」カリキュラムを生み出してきました。

 私は、大学での経験から、教育は「現場主義」を貫かなくては新しいものは生み出せないと考え、実行してきました。もちろん、ルソーやフレーベル、モンテッソーリ、またピアジェやワロンといった先人たちの過去の遺産に学ばなくてはなりません。しかし、文献だけに頼るのではなく、実際に子供と接し、実践活動をすることを通して、現場の人間が発言していかなければ、教育は変革できないと考えています。

 学力低下懸念に端を発した教育改革は、当然幼児期の教育のあり方にまで論議が及ぶはずです。私たちは、幼稚園や保育園の教育内容のあり方が具体的に議論されることを期待していますが、伝統的な教育手法を変えることには、大きな困難が伴うものだと思います。しかし、幼児教育の改革なくしては、この国の教育再生はありえません。幼児教育の改革に、こぐま会が積み上げてきた『教科前基礎教育』の考え方や教育実践が少しでも役立つなら、私たちは全力を傾けて協力したいと考えています。

 すでに、韓国や中国においては「KUNOメソッド」に基づいた教育活動が始まっています。また1年以内に、日本の保育園においても、『教科前基礎教育』の考え方に基づいた新しい試みが始まる予定です。論理的思考力の育成は、幼児期からしっかりとしたプログラムで行わなくては、近隣諸国にますます遅れをとってしまいます。

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