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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

KOGUMA ひまわり会がスタートします

第98号 2007/03/23(Fri)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会は従来から、集団授業を基本とし、1クラス10~14名を2名の教師で指導してきました。集団活動による教育的効果や実際の入試が集団で行われることから、12名前後の集団活動が最適であると考えているからです。しかし、学力における個人差は、幼児の場合月齢差の問題も含め、小学生や中学生とは比べものにならないくらい大きいものがあります。2人集まれば、その時点から学力差の問題が生じ、それを教育的にどう解決するかが問題になるのです。しかし、だからと言って「1対1」の指導がすべて良いわけではありません。幼児期の教育に限らず、指導が個別化に向かうのは当然の流れですが、だからといって集団授業の意味が薄まるわけではありません。幼児期であればあるほど、集団活動の意味は大きいはずです。

 体を使った体験、物事に働きかける試行錯誤の活動、自分の考えていることを言語を通して発表する経験、子ども同士が学びあうチャンス、良い意味での競争心の育成、協力してひとつのものを完成する経験・・・そうしたことは小学校に入る前から経験させておかなくてはならないことです。小学校入試で「行動観察」が重視される背景を考えれば、当然のことだと思います。個人の学力さえ高めておけば、それが小学生として教育を受ける「レディネス」になると考えるなら、行動観察などの試験は重視されるはずはありません。年長11月のペーパーで仮に100点をとっても、そのことが将来の学力の伸長を保証しないということは、現場の先生方の誰もが認めていることだからです。

 教室にわざわざ通っていただく意味は、家庭ではできない経験を積むことにあるわけですから、私たちは集団活動の意味を最大限生かす指導を、事物教育や対話教育という形で実践しています。その上で生じる学力差を解決するには、家庭の協力なくしては実現できません。だからこそ、私たちは家庭用学習教材を授業の進度に沿って準備し、教室と家庭が同じ方針で子どもの思考力を育てるシステムを作り上げてきたのです。しかし、家庭学習の時間確保や学習の進め方については、それぞれの家庭の事情もあり、同じようにはできません。特に最近家庭学習に関して、2つの問題が顕在化しています。

  1. お母さんが仕事を持っている関係で、家庭学習の時間の確保が難しい。
  2. 指導の仕方が十分わからず、教え込みに走ってしまい、時間をかけた割には、本当の力が身につかない。その上、母と子の関係が次第に悪くなってくる。

 こうした問題を抱えて、教育相談に見える方が増えています。これを教室として何とか解決できないか・・・ここ数年検討してきましたが、いろいろな物理的制約で良い案が出ても実行できませんでした。しかし昨年は、以前行っていた「ひまわり教室」を9月から2カ月だけ復活させ、学校別小グループ指導を日曜日を使って行いました。直前の小グループ指導は大変効果があり、合格者の方からも好評を得ましたので、今年4月からは「KOGUMA ひまわり会」 と名称を改め、新教室において開講いたします。

 ところで、こぐま会が開発した問題集の中で、一番使われている「ひとりでとっくん」シリーズは、私が20年以上前から10年間ほど行ってきたこの「ひまわり教室」から生まれた問題集なのです。少人数であるからこそ、一人一人の子どもの考える過程が手にとるようにわかるのです。用意した問題を子どもがどのように解いていくのかを観察し、出来具合を見ながら難易度を確認し、問題があれば修正して完成させ、それを世に送り出したものが「ひとりでとっくん」100冊なのです。

 家庭学習の時間が十分確保できない方や、子どもの理解力に合わせた効果的な指導法がわからない方のために、単元別にさまざまな講座を用意するつもりです。集団授業を基本とし、それを補うための講座として活用してください。通う負担を軽くするために、8回や10回をワンセットにして拘束する講座ではなく、苦手な領域だけを受講できる1回ずつの単元別チケット制にしました。無理のないよう受講の方法は子どもの生活リズムに合わせて、ご検討ください。

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