ページ内を移動するためのリンクです
MENU
ここから本文です
週刊こぐま通信
「代表のコラム」

受験対策の学習が、将来の学びの基礎となるように

第932号 2025年7月23日(水)
こぐま会代表  久野 泰可
 7月に入り、秋の受験に向けて夏の対策が始まりました。この夏の頑張りが、秋の受験の結果を左右するといっても過言ではありません。基礎段階の学習を終え、これから受験までの期間は応用課題に挑戦し、難問対策もしなくてはなりません。しかし、この夏は難しい問題に挑戦するだけでなく、もう一度「基礎学力の点検」に時間を割いていただきたいと思います。コロナ禍に易しくなった問題が元に戻ると予想しましたが、予想に反し基本問題を中心とした課題が多く出されました。しかし、学力問題が易しくなった分、行動観察や面接の評価が重視されたように思います。今年の秋の入試では、学力問題はもう少し難易度が高まるのではないかと思いますが、それでもコロナ禍前のレベル以上の問題は出されないと思いますので、必要以上に難しい問題に取り組む必要はありません。コロナ禍前の過去問10年分にしっかり取り組めば、十分対応できるはずです。そのうえで、最近の傾向を見て、よく出される課題に絞りこんだ学習をする必要があります。その課題は、以下に掲げる27単元の問題です。10年以上にわたってそれぞれの学校で出された問題を分析すると、これらが克服できれば十分対応できるはずです。
 入試でよく問われる27単元
  1. 単位の考え方
  2. シーソー
  3. つりあい
  4. 左右関係の理解
  5. 四方からの観察
  6. 飛び石移動
  7. 地図上の移動
  8. 一場面を使った総合問題
  9. 数の増減
  10. 一対多対応
  11. 数のやりとり
  12. 交換
  13. 点図形
  14. 図形構成―分割
  15. 線対称
  16. 重ね図形
  17. 回転図形
  18. 一音一文字
  19. しりとり
  20. 言葉つなぎ
  21. 言葉づくり
  22. 話の内容理解
  23. 理科的常識
  24. 社会的常識
  25. 魔法の箱
  26. 回転推理
  27. 図形系列
この大事な27単元を、単にペーパー問題ができればよいのではなく、出した答えの根拠をしっかり説明できるまで徹底してください。幼児は解き方を教え込めば忠実に守って、その限りでは解いてしまいます。しかし、何の理解もないまま言われた通りの解き方で解いてもすぐに忘れ、応用力は身につきません。時間がかかっても自分で試行錯誤して解く経験がどうしても必要です。自分で考え、自分で解いていけば、そのプロセスは言語化できるはずです。そうしたやり方で一つ一つの課題を解いていけば、しっかりとした理解が身についていくはずです。現在のペーパー主義の受験対策では、主体的な学びを育てないために小学校入学後の学力を保証できません。どんなやり方でも〇さえもらえればいいという発想の指導では、考える力は身につきません。合格さえすれば教え込みの教育でいいと考える対策では、子どもの自ら学ぶ力を育てるどころか、その大事な学ぶ意欲を奪い取ってしまう結果になりかねません。
それだけではありません。ペーパー主義の教育は、幼児期の基礎教育としてやはり間違っています。子どもたちが知識をどのように獲得していくかはとても大事な観点です。ピアジェは知識を3種類に分けました。
 
  1.物理的知識
  2.社会的知識
  3.論理数学的知識
 
その中で、物理的知識や社会的知識は、その源が自分の外にあるのに反して、論理数学的知識の源は自分の中にあり、物事の関係づけを通して子ども自身が自分の頭の中に作り出していくものであると述べています。つまり、経験を通して身につけていかない限り、生きた知識にならず、それは応用できない知識に終わってしまいます。 子どもたちが小学校に入学以降、伸び悩む大きな原因は、幼児期にどのような方法で学習を積み上げてきたかにあります。本来持っている学ぶ力が、ペーパー主義の受験教育によってそぎ落とされてしまっているのです。こんな無駄な話はありません。2~3歳ごろから小学校受験を目指して「学び」を積み上げてきているわけですが、その学び方が間違った学びになっていないかどうか、ぜひ一度振り返ってみてください。
幼児期に大事なのは、たくさんの知らない知識を身につけることではなく、経験を通して生きた知識を身につけることです。そのために必要なのは、ペーパーを使った安易で手っ取り早い教育ではなく、事物教育・対話教育を実践すべきです。私たちが行っている「3段階学習法」こそ、生きた知識を生み出す唯一の方法です。
こぐま会 3段階学習法
受験のための学びが、小学校入学後に始まる教科学習の基礎となるように、ペーパーだけに頼った学習はやめ、学ぶ意欲と考える力が身につくよう、夏の学習法をぜひ工夫してください。
こぐま会代表 久野泰可監修 2025年度小学校入試厳選50問
- 傾向をつかんで、一歩前へ
全問に詳しい解説付き。最新入試問題から到達目標や対策方法を正確に知り、確実な対策を!
 
「ショップこぐま」で購入された方には、冊子「2025年度小学校入試分析速報」を進呈いたします。(非売品・部数限定)

PAGE TOP