週刊こぐま通信
「代表のコラム」受験対策の学習が、将来の学びの基礎となるように
第932号 2025年7月23日(水)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

入試でよく問われる27単元
この大事な27単元を、単にペーパー問題ができればよいのではなく、出した答えの根拠をしっかり説明できるまで徹底してください。幼児は解き方を教え込めば忠実に守って、その限りでは解いてしまいます。しかし、何の理解もないまま言われた通りの解き方で解いてもすぐに忘れ、応用力は身につきません。時間がかかっても自分で試行錯誤して解く経験がどうしても必要です。自分で考え、自分で解いていけば、そのプロセスは言語化できるはずです。そうしたやり方で一つ一つの課題を解いていけば、しっかりとした理解が身についていくはずです。現在のペーパー主義の受験対策では、主体的な学びを育てないために小学校入学後の学力を保証できません。どんなやり方でも〇さえもらえればいいという発想の指導では、考える力は身につきません。合格さえすれば教え込みの教育でいいと考える対策では、子どもの自ら学ぶ力を育てるどころか、その大事な学ぶ意欲を奪い取ってしまう結果になりかねません。
- 単位の考え方
- シーソー
- つりあい
- 左右関係の理解
- 四方からの観察
- 飛び石移動
- 地図上の移動
- 一場面を使った総合問題
- 数の増減
- 一対多対応
- 数のやりとり
- 交換
- 点図形
- 図形構成―分割
- 線対称
- 重ね図形
- 回転図形
- 一音一文字
- しりとり
- 言葉つなぎ
- 言葉づくり
- 話の内容理解
- 理科的常識
- 社会的常識
- 魔法の箱
- 回転推理
- 図形系列
それだけではありません。ペーパー主義の教育は、幼児期の基礎教育としてやはり間違っています。子どもたちが知識をどのように獲得していくかはとても大事な観点です。ピアジェは知識を3種類に分けました。
1.物理的知識
2.社会的知識
3.論理数学的知識
その中で、物理的知識や社会的知識は、その源が自分の外にあるのに反して、論理数学的知識の源は自分の中にあり、物事の関係づけを通して子ども自身が自分の頭の中に作り出していくものであると述べています。つまり、経験を通して身につけていかない限り、生きた知識にならず、それは応用できない知識に終わってしまいます。 子どもたちが小学校に入学以降、伸び悩む大きな原因は、幼児期にどのような方法で学習を積み上げてきたかにあります。本来持っている学ぶ力が、ペーパー主義の受験教育によってそぎ落とされてしまっているのです。こんな無駄な話はありません。2~3歳ごろから小学校受験を目指して「学び」を積み上げてきているわけですが、その学び方が間違った学びになっていないかどうか、ぜひ一度振り返ってみてください。
幼児期に大事なのは、たくさんの知らない知識を身につけることではなく、経験を通して生きた知識を身につけることです。そのために必要なのは、ペーパーを使った安易で手っ取り早い教育ではなく、事物教育・対話教育を実践すべきです。私たちが行っている「3段階学習法」こそ、生きた知識を生み出す唯一の方法です。

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