週刊こぐま通信
「代表のコラム」国立附属小学校を第一志望にされる方対象のセミナー
「合格への鍵を握る学習対策」
第927号 2025年4月25日(金)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

4月20日に行われた、「国公立7校 第1回模擬試験」に参加された皆さまを対象に、筑波大学附属小学校、お茶の水女子大学附属小学校合格のためのセミナーを実施しました。最近はオンライン併用のセミナーが多く、久しぶりに大勢の保護者の皆さまと対面でお話しさせていただきました。
こぐま会では以前から、私立小学校の試験結果次第で国立を受験する子どもたちのための補習講座を行ってきました。しかし、私立小の受験はせずに国立だけを目指すご家庭が増えてきたため、13年ほど前から国立附属小を第一志望とされる方のためのクラス「こぐまなでしこ教室」を立ち上げ、現在に至っています。ただ、国立附属小は抽選制度をとっていますので、筑波小やお茶の水小のように、最初の抽選で通過できないと受験することができません。せっかく準備してきたのに受験できない現実があるということで、私立小を受験する方とは違った取り組みになるのは当然です。ですから私立受験のように2~3年かけて準備する気持ちにもなれないし、不確定な受験のために、そんなに費用をかけられないという想いに至るのも当然です。しかし一方で、幼児期の教育はとても大事なので、仮に準備して受験できなくても、次の目標である中学受験に向けて意味のある学習ならば取り組みたいと考えるご家庭も少なくありません。セミナー会場でもよく質問をいただきますが、特にお父さまからが多いです。ある方はこんなことをお話しされていました。
「私立は考えていないけれど、国立は挑戦したい。だけど、ペーパーを使った教え込みの教育では本当の学力は身につかないし、次につながらないので、しっかりとした基礎教育を受けて受験したい。」
こうした想いをお持ちの保護者さまが多いのではないかと思っています。「仮に抽選を通過できなくても、次の中学受験に役立つ幼児期の基礎教育をぜひ受けたい」こぐまなでしこ教室では、こうした保護者の皆さまの期待に応えたいと考えています。経済的な負担を軽くし、教室授業に参加しやすいようなシステムを作り、基礎教育を徹底したうえで受験できる体制になっています。国立附属小受験のための準備教育が、将来の受験に備えた学力の基礎づくりになるように、年間カリキュラムを考え実行しています。その結果、毎年大勢の子どもたちを国立附属小や都立附属小の合格に導いてきました。
今回の模擬テストに参加された方の多くが、幼児教室に通わないでご家庭で準備をされているようです。そして、ご家庭での学習に「ひとりでとっくんシリーズ」の問題集を使われている方が大勢いらっしゃることもわかりました。そうしたご家庭で準備されている方の多くが、入試情報を手に入れられないということもよく聞いていましたので、今回は筑波小とお茶の水小の合格のために、何をどう準備したらいいのかを、過去問を分析しながらお伝えしました。長い間私立小学校の問題分析をしてきた経験から2校の問題を分析してみると、その特徴がよくわかります。私立小学校との比較においても異なる点が多く、学力だけでなく、制作や手先の巧緻性に力を入れていることがよくわかります。昨年の問題を一つ一つ分析し、そのうえで過去10年間の問題を分析してみると、2校の問題傾向がはっきりしてきます。
特に学力試験においては、筑波小の図形問題が難しく、どう対応できるのか、またお茶の水小の個別テストでは、「どうしてそう思いましたか」の質問にはっきりと答えられるかどうかが学習ポイントになります。確かに筑波小のほうが問題は難しいですが、将来の学力の基礎を考えると「どうしてそう思いましたか。お話ししてください」というお茶の水小の問いかけのほうが意味があるように思います。筑波小の図形問題を見ていて気づくことは、問題の中味は全く違いますが、問いかけの仕方、つまり短時間にどれだけの問題をこなせるかという点になると、昔からある知能テストの形式を踏んでいるように思います。なぜこのような方法をとっているのか、子どもを指導する立場から考えると「集中力」を見ようとしているのではないかと思います。
この筑波小の問題が、私立小の問題づくりに相当影響しています。それだけ工夫された思考力を問う良い問題ですが、そこまで難しい問題を課す必要があるかは疑問です。話の内容理解は必ず出題されますが、数の問題がほとんどなく、図形中心の問題づくりになっているのはなぜなのでしょうか。考える力を問う問題としては、図形問題のほうが作りやすいということがあるかもしれません。対称図形・重ね図形・回転図形といった図形問題の中でも難しい問題が頻繁に出されていますし、特に、重ね図形と回転図形を組み合わせた問題などを見ると、学校側の意図が見えてきます。また、今入試全体でテーマになっている「回転」の要素をたくさん盛り込んでいるところを見ると、機械的な教え込みではできないということを強調しているようにも思えます。
セミナー終了後、いくつかの相談を受けました。中には「国立を第一志望にしているけれど、私立も受験したい。そのために、勉強の方法を変える必要がありますか」といったものもあり、具体的にお答えしましたが、最近「なでしこ教室」からも私立小を受験して合格するお子さまも増えています。私立と国立とで学びの内容が変わるわけではありませんので、基礎をしっかり学んだあとは、学校別の講座で対策をとるのがよいと思います。
一方、小学校受験はしないけれど中学受験のために「KUNOメソッド」で学びたいという理由で、こぐま会に通ってくれた男の子もこれまでに何人かいます。男子の場合、中学受験をして中高一貫校に通い、大学受験を目指す子が大勢います。幼児期の教育の大事さが理解されていくと、そうした幼児期からの学びが増えていくはずです。
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