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週刊こぐま通信
「代表のコラム」

面接試験で何が問われているか

第919号 2025年1月31日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 現在行われている私立小学校の入学試験は、多くの場合、学力試験・行動観察・面接試験の3つによる総合点で合否が決まっています。この中で学力試験のウエイトが高いのは当然ですが、上級学校の試験のように、学力試験の点数の上から順に合否が決まっていくというわけではありません。行動観察の様子や、それと関連した面接試験の評価が合否に大きくかかわっています。ですから、特に小学校受験になじみのない地域で育ってこられた保護者の方から「学力試験で満点取れば、どこにでも合格できますよね」という質問をいただいた際に「いや、ペーパー試験で満点取っても合格できないのが小学校入試なんです」とお答えすることが多くあります。実力主義ではありますが、学力主義で合否が決まらない小学校入試の現状を知らない方が多くいらっしゃることに、正しい小学校受験準備の在り方を知っていただく難しさを感じます。
コロナ禍以前からそうでしたが、私たちが「最後の決め手は行動観察」と言ってきたように、行動観察が合否の決め手になるといっても過言ではありません。それに加え、近年面接試験を重視し始めている学校が多いように思います。
面接試験の形式や質問内容は学校によって違いますが、最近は三者面接が主流になり、質問内容も依然と比べると変化してきています。 昨年秋に行われた面接試験を次のような7つの視点でまとめてみました。これを昨年12月に行った入試結果報告会の席で公表しましたが、そのうちのいくつかをここでもご紹介いたします。
A) 志望動機と学校理解
  • 志望動機
  • 本校を知ったきっかけ
  • 数ある学校の中で、本校を選んだ理由
  • 本校に期待する事
  • 本校の魅力について
  • 本校(6年間)でお子さんはどのように成長すると思うか
  • 本校の教育理念でご賛同いただける(大切な)もの→その理由
  • お子さんのどういう点が本校に合っていると思うか
  • 本校の教育プログラムの中で、受けさせたい(合っていると思う)もの
  • 説明会や公開行事への参加について
     →参加回数・参加した種類
     →心に残っている事や印象・感想
  • 他校と本校の違い
  • キリスト教教育(カトリック教育)について
  • 国際教育について
  • 一貫教育について
  • 女子校(男子校)について
  • (両親が男子校・女子校/宗教がある学校出身の場合)自身が受けてみてどう感じているか
B) 家庭教育について
  • ご家庭の教育方針について
  • 子育てで気を付けている事
  • 家での約束事
  • 子どもの興味への働きかけかた(伸ばしていく方法)
  • 一番気を付けているしつけ
  • 我がままについて
  • 将来どんな子に育って欲しいか
  • 子育てで意見が食い違った時にどうするか
  • SNSについて
  • 公共機関でのマナーについて
C) 受験について
  • 学校選びの基準
  • 願書を書くにあたり、夫婦でどのような話し合いをしたか
  • どうして小学校受験を考えたか
  • いつごろから小学校受験を考えたか
  • 受験に際してどのように準備したか
D) 父親への質問について
  • 仕事について
  • 仕事をする上で大切にしている事
  • 学生時代に熱中したこと
  • 父親の役割
  • お父様とお子さんの日常生活での関わりについて
  • 子育てで心がけている事
  • 一番気を付けているしつけ
  • どんなお子さんか
  • 自分とお子さんが似ている所
  • 社会に出てからの経験で、子育てに活かしている事
  • 子どもの成長を通して父親として変化したこと
  • 最近お子さんとしたことで楽しい事
  • 最近お子さんが夢中になっている事
  • 子どもに伝えたい事
  • 今日のお子さんの様子
E) 母親への質問について
  • 育児で苦労したこと、嬉しかった事
  • 子育てで感動したこと
  • 子育てで困難にあたった時
  • お子さんの長所・直したい所
  • 子どもが一番大切にしている物
  • 最近お子さんが夢中になっている事
  • 園の先生からお子さんについて言われている事
  • どうして今の園に通っているか
  • 子どもが泣いて帰ってきて理由を話してくれない時、どうしますか
  • 「いじめられている」と言われたらどうしますか
  • どのような小学生だったか
  • 学生時代に学んだこと
  • (兄弟がいる場合)兄弟での違いと気を付けている事・関係性
  • (仕事をしている場合)緊急時や送り迎えの確認、サポートについて
F) 子どもへの質問について
  • 園の名前
  • 先生の名前・友だちの名前
  • 好きな遊び(屋外屋内、家、園、父母と、友だちと等)
  • お手伝いについて
  • 将来の夢
  • 今頑張っている事
  • 「ごめんなさい」「ありがとう」と言う時はどんな時
  • お友だちに優しくするとき
  • 好きな○○(動物・食べ物・絵本 等)
  • 褒められる事・叱られること
  • 家族について
  • 家族で出かけて楽しかったところ
  • お父さんやお母さんの好きなところ(凄いところ)
  • (兄弟がいる場合)兄弟について
  • 運動会について
  • お父さん(お母さん)が好きなもの
  • 学校名
  • 学校に入ってやりたいこと
G) その他
A校親子での課題3人で相談してしりとりを完成させる(子どもが発表)
B校親子での課題3人で神経衰弱を行う。行事を通して子どもが成長したことを、子どもに向かってわかるように話す(子どもに今のを聞いてどう思うか聞かれる)
C校親子ゲーム裏返された食べ物カードから子どもが2枚ひく。それを親に渡して、親がそのもののヒントを出して子どもが答える。親子逆にしても行う。
D校親子での課題用意した絵本を普段通りに読む
私が今回注目したいのは、「G) その他」で列挙した親子での課題や親子ゲームの課題です。今回は4校の課題を掲げましたが、かつてはあまり見られませんでした。一体これで何を見ようとしているのでしょうか。たとえばしりとりを完成させる問題も結構難しい問題でした。
親子課題(しりとり)
《出題例1》
* 円形状に丸が並んでいて、1番上の丸の中に「か」の字が書いてある紙が用意される。
  • 「 か」で始まって「か」で終わるようなしりとりを考えてください。お父様とお母様に相談しても良いですよ。→子どもが発表する→発展
《出題例1》
* 間がいくつか空いているしりとりが、文字と絵で描いてある紙が用意される。
  • しりとりでつながるように空いているところを埋めてください。お父様とお母様に相談しても良いですよ。→子どもが発表する→発展
私たち大人でも難しい問題をあえて出しているのは、全部できることを求めているのでは決してなく、難しい課題であればあるほど子どもをどのように励まし、どのような対応をとるか、一方的に大人が教え込んでしまってはいないか、子どもの自主性を育てるためにどう対応しているのか、そこに普段の家庭での関係性が見え隠れしているはずで、学校側はそれを見ようとしているのです。
学校の教育方針との兼ね合いで、家庭の考え方を見ようとしているのですが、子どもに対する親のかかわり方を見れば、言葉以上に関係性がわかりますから、そこを学校側は見たいと考えているはずです。以前、ある学校を退職した先生が「母親に質問するときは父親の顔を、父親に質問するときは母親の顔を見ているんですよ」とおっしゃっていました。つまり、答えた内容の評価より両親に信頼関係があるのかどうか、それが家庭教育にとって大事であると・・・。
口頭試問では、答えた内容によって評価が下されると考え、一生懸命想定問答集を使って練習し、面接に臨む方が多いようですが、答えを頭の引き出しにしまって臨んでも何の役にも立ちません。違った質問がされたり、答えた内容に対して新たな質問をされると頭が真っ白になり、声も出なかったというケースをたくさん見てきました。答えを丸暗記するのではなく、そのことについて普段から両親で意見交換しておくことが大事で、どのような答えが100点でどのような答えが50点かなどあるはずありません。ご家庭の考えをしっかりお伝えすることが面接ではとても大事です。願書も同じことで、美辞麗句を並べても学校側に見抜かれてしまいます。自分の言葉で、普段考えていることを書くのが一番いい願書になるはずです。
小学校受験で重要さを増す面接試験やその前提となる願書書きは、その家らしさを主張する唯一のチャンスです。それを借り物で済ませてしまったら何のための面接試験かということになります。子どもの受け答えも同じです。教え込まれた借り物の意見ではどこかで破綻しますし、これも学校側に見抜かれます。正解があるわけでもない面接試験です。そこをぜひ間違いないようにしてください。


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