週刊こぐま通信
「代表のコラム」がんばれ受験生 (3)
最後の決め手は、聞く力
第907号 2024年10月4日(金)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

都内の入試まで、残り1カ月足らずとなりました。願書提出も終わり、面接試験が始まります。今年の応募状況はもうすぐ判明すると思いますが、全体として応募人数が減る傾向にあるように思います。
願書提出も終わり、保護者の皆さまも合格に向けた直前学習に力が入る時期ですが、やり方を間違えると自信を無くす結果となり、これまでの頑張りが合格につながらないことも考えられますので、ぜひ残り3週間の家庭学習のやり方に気を使っていただきたいと思います。 この時期になると、ほとんどの課題の学習は終えているはずで、難しい過去問も解けるようになり、応用力も身についているはずです。それなのになぜ得点できる子とできない子に分かれてしまうのでしょうか。今教室で行っている最後のまとめの授業の様子を見ると、この点を強く感じます。そもそも理解できていない子ならば、じっくり基礎を学習しなおすしか方法はありませんが、理解ができているはずの子が○をもらえないという状況を見ると、いったい「なぜ?」と首をかしげてしまいます。
得点できなかった子に、どんな質問だったかを聞き返すと、自信をもって答えられないことが多いです。皆さまも、模擬テストの結果を見て、なぜこの問題ができなかったのだろうとお感じになることがあるかと思いますが、それは、質問がしっかり聞けていないケースが多いのです。小学校受験は、すべて指示の聞き取りが前提になっていますので、1回の指示がしっかり聞けないと理解していても得点にならないのです。ですからこの聞き取りが合否の決め手になっているのです。そのことにあまり気づいていない保護者が多いのです。聞く力に関しては、具体的な問題でいえば「話の内容理解」がその典型ですが、それ以外にも聞く力が問われる問題がたくさんあります。その一つが「数」に関する問題です。最近は一場面の絵を使って四則演算につながる問題が多いのですが、それ以外に多いのが、いわゆる小学生の算数でいえば「文章題」です。お話を聞いて数の操作をする問題ですが、暗算能力が求められる分、聞き取りの問題としてもかなり難しい問題になります。このほかに、聞き取りの出来不出来が問題になりやすい問題は、
- 飛び石移動
- 地図上の移動
- 回転推理が絡む法則性の理解
- 言葉づくり
- 交換
- 数の増減
問題の理解ができていないのか、指示の聞き取り、質問の意味が分からなかったのかそこはしっかり見てください。内容を理解していながらできなかった原因は、聞き取りが十分にできなかったからということであれば、聞き取りミスをしない対策が必要です。
そのための学習の工夫は、
- 30分集中力を保つ経験を普段の家庭学習の中で実践する(つまりだらだら時間をかけないで、実際の入試に合わせて30分間集中できるトレーニングをする)
- 間違えた問題についてはどんな問題であったかを説明させる
- 時には子どもを先生役に仕立て、子ども自身に問題を作らせる
- 時間がなく多くの問題に取り組むことができない場合、問題を読み上げたら解かせなくてもいいので、どんな問題であったのか問題の趣旨を説明させる。これが正しくできればほとんど○になるはず
点が取れないと、おけいこの数を増やしたり、他塾に出向いたり、勉強時間を増やしたり、その結果ますます自信を無くし点が取れなくなっていくのです。9月・10月になって「なぜ?」と思うほど、今までできていた問題ができなくなってしまい自信を無くして本番を迎えるお子さまが最近は増えています。 これは周りの大人の焦りが子どもに影響しているとしか思えません。入試直前になって、勉強の環境を変えるのが一番よくありません。今まで通りの生活リズムを崩さないように試験日を迎えるようにしてください。その中で、合否を分ける「聞き取りミス」をしないよう、しっかり対策をとってください。
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- 飲みかけのジュースから「量」を学ぶ
- 折り紙で遊びながら「図形」を学ぶ
- 読み聞かせや対話から「言語」を学ぶ
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