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週刊こぐま通信
「代表のコラム」

合格者からのアドバイス(1)

第894号 2024年5月24日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 こぐま会では、毎年受験を終えた卒業生の皆さまから、「どのようにして合格に導いたか」をアンケート形式でお答えいただき、それを「合格者からのアドバイス」としてまとめ、次年度以降に受験される皆さまに公開してきました。質問内容は次のように多岐にわたっています。

受験を振り返って

  • 良かった点、工夫したと思う点
  • ご両親にとって小学校受験はどのような意義がありましたか
  • お仕事とお子様の学習をご家庭内でどのように両立されていましたか

学校選択について

  • 情報をどのように収集なさいましたか
  • 学校説明会以外の方法を教えてください
  • 各学校の印象をお聞かせください
  • 日々どの位の時間勉強されていましたか。直前期家庭学習の時間確保について
  • 願書作成・面接試験に向けてどのように準備されましたか

家庭学習・家庭での過ごし方

  • 受験までの1年をどのようなことに留意され、生活されてきましたか
  • ご弟妹がいらっしゃる皆さま、準備期間中にご苦労された点、工夫された点をお聞かせください
  • 入試直前の期間に生活面で気を付けたこと。
  • 「入試」についてどのようにお子さまにお話しされましたか

会員のみなさまには「こぐまクラブ」で閲覧していただいていますが、ここではそのいくつかをご紹介し、広く受験生の皆さまに役立てていただきたいと思います。
今回は、多岐にわたった保護者の皆さまのご回答に対し、その全体総括を久野(私)が、受験対策については恵比寿本校室長の島津が、生活全般については進路相談室長の齋藤が担当して、それぞれの立場からコメントさせていただきます。実際に受験を経験された皆さまのお話を参考に、ぜひこれからの受験対策に活かしていただきたいと思います。まずは全体総括です。

 ご両親にとって、お子さまの小学校受験はどのような意義がありましたか?受験を通して得たことはありますか?どんなことでも良いですので、今秋以降受験を控えていらっしゃる方へのアドバイスも含めて総括をお願いします。

この質問に対し、大変多くの皆さまからご回答をいただきました。そのいくつかをご紹介いたします。
  • 小学校受験は“子どもを知る旅”でした。どんな特性があって良いところを持っていてどう育てたいのか、夫と一緒に私たち家族はどんな家族なのかを考えるとともに、子どものことを深く考えてきた時間は夫婦の宝となったと思います。
  • 昨年1年間は、緊張と不安が交錯する毎日でした。努力が必ずしも報われるとは限りませんが、努力したことは無駄にはならないと信じて取り組みました。この小学校受験で一番の収穫は「習慣」です。真剣に取り組み、真剣に戦った後の子どもには勉強の習慣やスキルが身についていました。受験はゴールではなく、これからの長い学習のスタートラインに立ったところです。今後も子どもに「目標」を持たせ、その達成のためにやるべきことを明確にし、取り組んでいきたいと思います。
  • 子どもの可能性を信じて一緒に頑張る機会を得たことです。繊細で厳しく言われたらすぐに逃げだしてしまうと思っていた子どもですが、受験を通して頑張ったことに対して自信がつき、新しいことにも前向きに取り組む姿勢が芽生えたように感じます。下の子も含めて家族みんなで同じ目標に向かって、それぞれの役割を頑張る時間は家族にとってとても良い思い出になりました。
  • 就学前の子どもにどの様な生活が良いのか、子の個性や能力を伸ばすために何をすればよいのかしっかり向き合うことができ本当に貴重な経験でした。合格を目指すことは生活を見直すことであり、子とよりよく向き合うことであり、私の経験した高校以上の受験とは全く別物でした。とはいえ、毎日の生活では時間やスケジュールに追われこぐまの学習の習熟度のことで頭はいっぱいでした。常に長いスパンの学習スケジュールを頭に入れながら、毎日の学習内容をピックアップしていきました。思うように進まないことばかりでしたが、1カ月後にはこの問題も理解できているという思いを忘れず子どもがきちんと頑張っている様子なら大丈夫と自分に言い聞かせました。そして、イライラしそうになった時は単に怒るのではなく、自分の率直な気持ちをそのまま口にするようにしたら少し楽でした。その方が子どもも素直に聞いてくれました。

たくさんいただいたご意見の中から今回は4人の方の感想を紹介させていただきました。受験ですから合格させることが目的ですが、小学校受験は本人だけの問題ではなく、家族全員で取り組まなければなりません。辛いこともたくさんあったことでしょうが、受験がなければ経験できないこともたくさんあったと思います。毎年それぞれのご家族にとって小学校受験はどんな意味がありましたかと質問してきましたが、子どもの成長だけでなくご両親にとってもかけがえのない経験だったことは間違いありません。特に、受験がなかったらこんなに深くご両親で子どもの将来について話し合うことはなかっただろうというご意見が多くみられます。生まれて初めての受験にどう取り組むか、学校選択はどうしたらよいか・・・子どもの将来を決める受験ですから、ご自身の受験より真剣にならざるを得ないと思います。特に、毎日50枚ペーパーをやらなければ合格できないといった誤った噂話に足をすくわれ、右往左往する保護者が多い今の受験競争の中で、しっかりとした考えをもって受験勉強に臨むのは大変な苦労が必要です。その苦労を乗り越えながら得た貴重な経験、貴重な習慣づけを将来生きていくうえでの糧にできたら、素晴らしいことだと思います。子どもを信じて一緒に前を向き、家族全員の受験になってほしいと思います。

次に受験対策に関することです。今回は願書についての感想で、恵比寿本校室長の島津がコメントいたします。

願書作成・面接試験に向けてどのように準備されましたか
  • まず自分たちの軸をしっかりと持つことが大切だと思います。「なぜ私立なのか」「どのように育ってほしいのか」「自分の子どもはどのような子で、何が足りない(から小学校で学んでいってほしい)のか」等々、夫婦でしっかり話し合いました。学校研究はもちろんしっかりしましたが、「A校だからこのパターン」というのではなく、自分たちの思いを真正面からぶつけること、我が子がこの学校に入ったらどのような生活を送るのだろうかと言うことをイメージしながら何度も夫婦で話し合いました。
  • 学校に関して感じたこと、子どもについてなど、どんな些細なことでもメモしておくことが大事と感じました。こぐま会のセミナーでお話を伺った願書面接対策のノートは用意しておくと良いと思います。スマホなどでも良いですが、本番や学校訪問中は入力したり見たりすることができません。記憶にも残るため「書く」ことをお勧めします。
  • 学校見学や説明会などを通して、自分たちが肌で感じた学校の良さを率直に、具体的に自分の言葉で書き表すよう心がけました。
  • 父親の参加が大切です。説明会への参加や、願書作成を行うことで、受験校について知ってもらう、感じてもらうことができると思います。
  • 我が家では願書を書くために育児日記を作成し、夫婦で書くことにしたら、ことのほか夫の育児に対するモチベーションが上がりました。母と子が過ごす時間というのを、父は知ることが少ないのだなと思いました。

願書は試験前にご家庭の思いを伝える大切な機会です。「学校のどんなところを良く思い、我が子を託したいと考えているのか」「ご家庭が大切にしていることは何なのか」を伝えることで、学校側にも「一緒に歩んでいただきたいご家庭」だと感じていただきたいところです。志望理由における学校理解は、教育内容を深く理解した上で、ご家庭として何故その学校に入学させたいかを、自分たちが感じた思いも大切にして具体的に伝えてください。それぞれの学校の特性を理解し、説明会や見学会でどんなことにも目を配ってメモをしておくことで、その学校を志望する強い理由となります。もちろん、それはご夫婦どちらかの思いだけでは成り立ちません。ご両親それぞれの視点で見て情報共有することで、深みのある願書になるでしょう。ご家庭を伝えるためのエピソード選定は、自分たちとしては何気ない出来事でも、それがご家庭らしさとして説得力を持つこともあります。ここにご紹介させていただいた方のように、日々の生活の小さな成長に気づく工夫を持つのも1つですね。限られたスペースですが、せっかくですから願書にはご両親それぞれの思いを存分に込めていただきたいと思います。

最後に、生活全般に関することです。進路相談室長の齋藤がコメントいたします。

家庭での過ごし方で気を付けたことをお聞かせください
  • 「勉強することを嫌いにならないように」を一番に、ペーパーだけではなく、お行儀、自分の意見を言う大切さ、お友だちと関わりをもって仲良く過ごすこと、6歳児として心身ともに健康で過ごすことを大切にして参りました。 側で支える私ども、できる範囲のことを無理せず支えていくことを大事にして過ごしました。
  • 親が「こうしなければ」と焦ると娘に負担がかかると思い、自分たちが理想とする受験への向き合い方を夫婦でよく話し合い、受験の情報サイトなどはほとんど見ることなく、自分たちのペースを守ることを心掛けました。
  • 週末は家族でこれまで大切にしてきた季節の変化や体験を楽しむ時間は削らず、伸びやかに過ごす時間を確保しました。
  • 一番は子どもの精神状態を乱さずに取り組めるように、常に先生にご相談させていただきながら生活しておりました。
  • 机の上の勉強だけにならないように、春休み、夏休みは多くの体験をできるように家族で旅行したりして過ごしました。夏休み前にやることがイヤという気持ちがありましたが、先生と一緒にハンコやコメントを頂きモチベーションを上げて最後までどうにか過ごせました。
  • 学力の向上というよりも、人の言うことを素直に聞いて試してみるという姿勢を育てることを目的に受験に取り組みました。また、規則正しい生活と健康管理は今まで以上に気を付けました。
  • 毎月小さな目標を話し合って決めて、達成できるように努力することを続けました。(お手伝い、縄跳び、走る研究など)
  • 生活リズムと学習習慣をつけること。学習は、はじめは楽しく遊びの感覚で行い、だんだん本格的になると学習を嫌がることもありましたが、「お勉強は必要だよ」としっかり話しました。家庭学習では、「Webレッスン」を重視しました。欠かさず行うのは大変でしたが、手と物を使って授業をもう一度行うことはとても効果的で何としても頑張りました。

「勉強することを嫌いにならないように」私たちも、それを何よりも大切に考え、子どもたち一人ひとりに接するようにしています。「弟妹は勉強していないのに」「テレビが観たいのに」「難しいから」など、お子さまや保護者さまからいただく訴えやご相談の理由はさまざまです。それを乗り越えるのに必要なことは、子どもたちが「自分でできた!」という成功体験です。出来そうなこと(得意と感じていること)に取り組み、成功し、次へ挑戦していくことで難しい、いやだなと感じる山も登れるようになるのです。
日々時間に追われる中で、さまざまな体験するのは大変なことと思います。身近なことで体験は十分にできます。スーパーマーケット・料理づくり・園への行き帰り。保護者さまとの会話やお子さまからの発語を大切にして頂くと、お子さまも自分の生活を大切に過ごせるようになるようです。


読み・書き・計算はまだ早い!

 こぐま会代表 久野泰可 著「子どもが賢くなる75の方法」(幻冬舎)

家庭でできる教育法を一挙公開
子どもを机に向かわせる前に実際の物に触れ、考えることで差がつく。
  • 食事の支度を手伝いながら「数」を学ぶ
  • 飲みかけのジュースから「量」を学ぶ
  • 折り紙で遊びながら「図形」を学ぶ
  • 読み聞かせや対話から「言語」を学ぶ

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