週刊こぐま通信
「室長のコラム」働く母親を支援し、正確な入試情報を伝える 大森クラブ
第865号 2023年7月21日(金)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

こぐま会大森校では、働く母親の小学校受験をサポートするために、新たに「大森クラブ」を発足させ、今年4月からさまざまな活動を展開してきました。活動内容は多岐にわたっていますが、主たる目的は、仕事を持たれているために受験対策にかける時間が制限されているお母さまに対し、正確な情報を伝えること、また限られた時間内で有効な家庭学習をするにはどうしたらよいかを伝えることです。4月からこれまで行ってきた活動内容は以下のとおりです。
- 1. シリーズ「在校生の保護者からお話を伺う会」
- 受験を終え、志望校への入学を果たしたOBの方にご参加いただき、どのような対策を立てて実行してきたのか、また現在の学校の様子についてなどをお聞きする会です。これまでに雙葉小学校・聖心女子学院初等科・東京女学館小学校・学習院初等科・立教女学院小学校・東洋英和女学院小学部の在校生の保護者さまにお越しいただき、お話を伺いました
- 2. 外部生を対象とした願書・面接対策セミナー
- 幼児教室に通われていない一般の方にもご参加いただける「願書の書き方」「面接の受け方」等をお伝えするセミナーです。そのうえで、願書添削・模擬面接も実施いたします
- 3. セミナー「効果的な家庭学習の工夫の仕方」
- 小学校入試を経験された方にご登壇いただき、現場教師も交えて具体的に学習の仕方をお伝えするセミナーです
- 4. 対談シリーズ「子どもの主体的な学びをどう育てるか」
- 医学的な立場と教育的な立場から子どもの主体的な学びをどう育てるかを対談形式でお伝えするセミナーです
- 5. 親子参加型ワークショップ「楽しく遊んで効果的に学べるボードゲーム」
- 入試対策として「考える力」を育てるために、楽しく遊べるゲームは極めて有効です。問題解決能力や推理能力を高め、ペーパー学習の基礎を培います。ご家庭でも日常的に取り入れていただくことを目的とした親子参加型のイベントです
7月17日に行われた対談シリーズの第1回「子どもの主体的な学びをどう育てるか」には私も参加し、教育者の立場から「主体的な学びをどう実践するか」についてお話をさせていただきました。対談相手としてご登壇いただいたお母さまは、2人のお嬢さまを女子校合格に導かれた小児科の医師です。受験をとおして実践されたことを、極めて具体的に紹介していただきました。その中で、ペーパー学習はアウトプットとして有効であるが、インプットとしては全く意味がないと断言されていました。インプットとして意味のある経験は、生活や遊びの中にたくさんあることをお話しされていて、具体的には学びのフィールドとしてスーパーマーケットを活用したという大変興味深い内容でした。料理を一緒に作るために、材料選びの段階から子どもに積極的に関わらせ、大きな成果を得たということです。料理は、プログラミング的思考を育てるには大変良い経験になると私は思っています。スーパーマーケットで食材を探し、季節の移り変わりや食材の知識を増やし、実際に作ってみることは大変有意義な経験です。また、夕食後に家族4人でボードゲームを行い、考える力を養うことを徹底して行ったようでした。学びの基本が生活や遊びの中にあると主張してきた私にとってもそれを裏付けるお話であり、極めて具体的な内容であるため、参加者の皆さまにはとても参考になったのではないかと思います。主体的な学びを育てるためには、まず楽しくなくてはなりません。そして、他人に言われて行うのではなく、自ら進んで関わることができる活動が大事です。家族4人で話し合って料理当番を決め、作る料理を自分で考え、そのための材料集めをスーパーマーケットで行い、親に手伝ってもらいながら料理をするという経験は、主体性を育てるためにとても効果的だったはずです。ペーパー学習だけでは不可能な「主体性を育てる」教育は、やはり私たちが実践している「事物教育」以外にありません。それを生活の中で実践することの大事さを、今回の対談を通して改めて実感しました。
また、トランプゲーム、すごろく、オセロなどのゲームの有効性についてはこれまで私も主張してきましたが、今回紹介していただいたものは「ブロックス」という、基本的には4人で遊ぶことを前提としたゲームでした。私自身このゲームは全く知りませんでしたが、実際に手に取ってみると、同じような素材を使った問題が実際の入試でも出ていることに気づきました。真四角をいくつか組み合わせてできたブロックを使って陣地取りをするゲームですが、空間認識力や先を読む推理力が育っていくのではないかと思います。私は以前からオセロゲームを推奨してきましたが、この「ブロックス」というゲームもとても優れていると思います。
大森クラブは、卒業生の皆さまのご協力を得て運営していく組織です。限られた時間をどう有効に使い子どもと向き合ってきたのか、これからも多くの卒業生の方にご参加いただく予定です。その中で、実際に経験された入試対策や入学後の学校生活をご紹介いただき、働くお母さま方にとって参考になる入試情報や家庭学習の方法をお伝えしながら、入試の現状を明らかにしていくつもりです。
現在、大森クラブの新企画として次の内容を検討しています。
- 子ども料理教室
- 五感を使う造形・絵画・音楽活動
- 個別学習相談会・個人レッスン
- こぐま会代表 久野泰可 著「子どもが賢くなる75の方法」(幻冬舎)
読み・書き・計算はまだ早い!
家庭でできる教育法を一挙公開
子どもを机に向かわせる前に実際の物に触れ、考えることで差がつく。- 食事の支度を手伝いながら「数」を学ぶ
- 飲みかけのジュースから「量」を学ぶ
- 折り紙で遊びながら「図形」を学ぶ
- 読み聞かせや対話から「言語」を学ぶ