週刊こぐま通信
「室長のコラム」今年も、全国幼児発達診断テストを実施いたします
第849号 2023年3月10日(金)
こぐま会代表 久野 泰可
こぐま会代表 久野 泰可

昨年3回にわたり、オンラインによる「全国幼児発達診断テスト」 を行いました。延べ1万人近い子どもたちにご参加いただきました。今年も昨年と同じ方式で、3月・5月(予定)・7月(予定)の3回にわたってテストを実施いたします。昨年度は私たちにとっても初めての経験でしたが、結果を分析し、保護者の皆さまからも多くのご意見をいただき大変参考になりました。そして、いくつかの発見がありました。
- 年長児向けにつくったテストであるため、年中児には少し難しすぎるのではと思っていましたが、結果を見ると大変頑張り、予想以上によくできていました。少し難しい面もありましたが、年中児の皆さまに参加していただく意味は十分あったと理解しています
- 初回は首都圏・関西圏にお住まいの方が多く参加されましたが、回が進むにつれ地方にお住まいの方のご参加が増えました
- 6つの領域の中では、「未測量」領域の問題の正解率が低いことがわかりました
- 生活に密着した「数」「言語」領域の問題は、年中・年長問わずよくできていました
- ふだん幼児教室に通って意図的な学習をしている子どもだけでなく、教室での学習経験のない子どもでも、生活や遊びで培った「考える力」で多くの問題を解いていました
- はじめてテストに参加し、集中して取り組むお子さまの姿をご覧になった保護者さまが、ふだんとは違ったわが子の一面に驚き、感動されていました
今年も多くの皆さまにぜひご参加いただき、教科学習の基礎がどこまで身についているかを把握していただきたいと思います。ここでは今回出題する20問の出題意図をお伝えします。
1 | 水量の相対化 | 相対的なものの見方ができるかどうか |
---|---|---|
2 | 位置(前後)の系列化 | 順序数にかかわる前後関係の系列化 |
3 | 位置(上下)の系列化 | 順序数につながる上下の系列化 |
4 | 方眼上の位置の対応 | 方眼上の位置を対応させて同じ模様を作る |
5 | 分類計数 | 正確に数が数えられるか |
6 | 同数発見 | 3つのものの中から同じ数のものを探す |
7 | 図形模写 | 見本と同じ形を模写する |
8 | 基本図形の構成 | 2つの形を合わせて真四角を作る |
9 | 同尾音 | 同じ音で終わる言葉を探す |
10 | しりとり | 最初が指定されていないしりとりができるかどうか |
11 | 仲間はずれ | 6つの中から仲間はずれを探す |
12 | 重さくらべ | ばねばかりによる重さくらべ |
13 | 左右関係の理解 | 右手―左手の理解 |
14 | 交差点の曲がり方 | 交差点を指示通りに歩く |
15 | 一場面を使った数の多少 | 数を比較する |
16 | つみ木の変化 | 動かしたつみ木の数を考える |
17 | 4枚の絵の時系列 | 時間の経過を絵から読み取る |
18 | 音の理解 | 自然界の音を聞き分ける |
19 | 鏡映像 | 水面への映り方を考える |
20 | 理科的常識 | 果物や野菜の切断面を考える |
第1回のテストで出題する問題は、こぐま会の「セブンステップスカリキュラム」のステップ1~2の内容に即しています。こぐまオリジナル教材「ひとりでとっくん365日」の内容に即していうと、01(基礎1-A)~04(基礎2-B)までのテキストから出題されています。上の20問の内容は、小学校の入試問題をベースとしているわけではなく、あくまでも小学校に入る前の基礎教育として必要な内容を6領域に分けて作ったオリジナルの問題です。もちろんこの中から実際の入試で出題されるものも多くありますが、らせん型カリキュラムの考え方は「教科前基礎教育」の内容が基礎になっています。小学校入試のための模擬テストではないため、これまで幼児教室などで意図的な教育を受けていなくても、生活や遊びの体験を通して理解できる内容になっています。訓練によって身につけた力ではなく、「考える力」がどの程度身についているのかを知っていただくためのテストです。
第1回テストの受験期間は、3月16日(木)~30日(木)です。ご自宅など、お好きな場所でお受けいただくことができます。大勢の皆さまのご参加をお待ちしております。
- 重版決定!! こぐま会代表 久野泰可 著「子どもが賢くなる75の方法」(幻冬舎)
読み・書き・計算はまだ早い!
家庭でできる教育法を一挙公開
子どもを机に向かわせる前に実際の物に触れ、考えることで差がつく。- 食事の支度を手伝いながら「数」を学ぶ
- 飲みかけのジュースから「量」を学ぶ
- 折り紙で遊びながら「図形」を学ぶ
- 読み聞かせや対話から「言語」を学ぶ