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週刊こぐま通信
「室長のコラム」

夏の学習を合格につなげる

第820号 2022年7月8日(金)
こぐま会代表  久野 泰可

 秋の受験まで、残すところ4カ月足らずとなりました。年長児の皆さまは、すでに基礎段階の学習を終え、過去問トレーニングと難問対策に力を注いでいることと思います。秋の受験において合否を左右する大事な「夏の学習計画」はすでに出来上がっているでしょうか。最大の課題は、生活リズムをどう作るかということだと思います。特に幼稚園に通う年長児の皆さまにとって、夏休み期間中の過ごし方は合否に大きな影響を与えると思います。これまでの経験を活かし「合格に向けた夏の対策」ついて、工夫すべきポイントをお伝えいたします。
  1. 夏休みを勉強漬けにしない。けじめをつけて「よく遊び、よく学び」を徹底する
  2. 朝型の勉強に切り替え、「ラジオ体操」を取り入れる。早起きを努力目標とし、また1日の始まりとして生活リズムを作るきっかけとする。ラジオ体操は、模倣体操や協応動作の練習には最適である
  3. 1週間単位でがんばる生活目標を子ども自身に決めさせ、記録させる
  4. これまでペーパー学習だけをしてきた子どもには、具体物やカードを使って思考のプロセスを言語化させ、本当にわかっているかどうかを確認する
  5. 事物教育を徹底してきた子どもは、この夏こそ「過去問」トレーニング・難問トレーニングに力を入れる
  6. ペーパートレーニングは、実際の入試に近い形で、1セット8枚程度のぺーパーをテスト形式で行う。事前に保護者が子どもの理解度の現状を前提に精査してペーパーを集め、少し背伸びしなければできない問題を2~3枚取り入れる。易しすぎても、難しすぎても意味がない。背伸びさせ、少し難しい問題もがんばればできるという自信をつけさせる。ただ、子どもが1つのことに集中できる時間は30~40分と理解しておく。時間を指定して最後までやらせ、答え合わせは全部が終わった後、1枚1枚丁寧に行う。間違った場合の原因をしっかり把握し、「理解」の問題なのか、「聞き取り」の問題なのかをしっかり確認する。夏を過ぎれば、間違いの原因の大半は設問の理解であり、聴く力が求められる。このセット学習を1日何コマできるかは、それぞれの生活パターンに合わせて行えばよい。実際の入試に近い形で行い、集中力をつける。1時間も2時間もペーパー学習を行うことはかえって逆効果である
  7. 1日何時間机に向かうか、ペーパーを何枚こなすかが問題ではなく、1枚1枚のペーパーを大切に深い学びを実践し、自分の力で答えに到達できるようにする。答えの根拠を自分で説明できれば、完璧に理解できたと考えてよい。マルをもらえるかどうかではなく、本当に理解できているかが重要。教え込まれた方法で正解したとしても応用力にはつながらず、新出問題には対応できない
  8. 「子育ての総決算の入試」である以上、机に向かう時間だけが入試対策ではない。生活や遊びそのものが入試対策の基礎になっていくことをしっかり把握し、生活や遊びの中でものの考え方を鍛えるチャンスをつくることが大事である。
  9. 人やものとの関係で、実際の場面を想定した問題が多く出題され始めているので、幼児が理解できるゲーム、例えば、すごろく・トランプ・オセロ・しりとり・じゃんけん・ピクチャーパズルなどをたくさん経験させてほしい。経験がないと設問の意味が理解できないことが多い
  10. 体験画の基礎として、「絵日記」をお勧めしたい。また、お手伝いの内容を時系列に沿って絵に描き留めておくことや、料理のレシピを作ることなどにも挑戦してほしい
  11. 常識問題の定着は、実際に経験させること。標識などは子ども自身に探させ、見つけたらスマホなどで写真を撮らせるのも関心を育てる一つのやり方である。弱者へのいたわりや環境保護の立場から、標識をもとにした話し合いが三者面接で出される可能性は大いにある
  12. できれば親元を離れて生活する経験をさせてほしい。年長夏の合宿(お泊り保育)は、子どもの成長にとって大きな意味を持つ。キャンプでなくてもよいので、例えば田舎の祖父母の家にひとりで泊まる経験でも意味は大きい
  13. 今年の夏の旅行は、自然体験を多く取り入れるのが望ましい。そこで見たもの、感じたものなどの経験が、願書を書いたり面接を受けたりする場合、エピソードとして生きてくる
  14. 自己表現力が行動観察の評価観点で重視されている。ご家族間でもよく話し合う経験を持つことが大事である。また人の話を「聞く」力を高めておくことが必要である
  15. 難問対策として重点的に学習すべき内容は次のとおりである
    未測量シーソー/つりあい/個別単位の考え方
    位置表象四方からの観察/地図上の移動/飛び石移動
    一場面の総合問題/一対多対応/交換/数のやりとり
    図形図形構成/線対称/重ね図形/回転図形
    言語しりとり/言葉づくり/言葉つなぎ/話の内容理解
    生活 他魔法の箱/観覧車/並び方の法則性


 重版決定!! こぐま会代表 久野泰可 著「子どもが賢くなる75の方法」(幻冬舎)

読み・書き・計算はまだ早い!

家庭でできる教育法を一挙公開
子どもを机に向かわせる前に実際の物に触れ、考えることで差がつく。
  • 食事の支度を手伝いながら「数」を学ぶ
  • 飲みかけのジュースから「量」を学ぶ
  • 折り紙で遊びながら「図形」を学ぶ
  • 読み聞かせや対話から「言語」を学ぶ
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